ハーバード社会起業大会(Harvard Social Enterprise Conference)でパネル登壇しました。
3月2日, Harvard Social Enterprise Conference (SECON) ハーバード社会起業大会でパネル登壇してきました。(毎年開催されるこの大会、今年が20回目とのことです。)
私は現在ニューヨークに住んでおりますが、ボストンに住み、Babson大学MBA就学中の2014年にBinnovativeというNPOをボストンで立ち上げ、主宰しています。Binnovativeのミッションは、Collaborate to Innovate – Binnovative は、協創体験の提供を通じて、日本及びアメリカのアントレプレナーシップの向上を目指します。 - 様々なオープンイノベーションのイベントを開催することで、参加者のアントレプレナーマインドセットの火付け役になりたい、といわゆる草の根活動を行なっています。
代表的なイベントであるNASAのInternational Space Apps Challenge(ISAC) 、通称NASAハッカソンは、Binnovativeが主催した最初のイベントであり、かつ2014年にボストン拠点を立ち上げて、以降毎年開催しています。
(その他の活動内容は binnovative.org をご参照ください)
1. Harvard SECONって何?
Harvard Social Enterprise Conference (SECON) ハーバード社会起業大会は、今年で20年目ということですので、1999年から毎年開催されているコンファレンスです。日本からも毎年スタディツアーといって、この大会に参加をする為に渡米するグループがあるとのこと。(今回大会で知り合った田辺さんは、2003年から毎年参加されているということで驚きました。)
その田辺さんが率いているツアーの本大会に関する説明書きを引用させていただくと、
正直、ボストンに住んでいるときにも、このコンファレンスの存在は知ってはいましたが、一度も足を運んだことはありませんでした。。。(チケットも結構高いし)。おそらく、自分が理解する「ソーシャルアントレプレナー」の意味合いと、自分自身を重ね合わせてあまりピンと来なかったんだと思います。
2. NASA ISACについて
NASA International Space Apps Challenge(ISAC)は、NASAが毎年一度開催しているハッカソンです。NASA incubator innovation programの一つで、パブリックにNASAのオープンデータを解放し、NASAが出す問題(チャレンジ)の解決策を広く募るイベントです。まさにオープンイノベーション。チャレンジの数は豊富で、内容も、宇宙、地球、ヒューマンなど、NASAという言葉の響きに対してすごく広い分野をカバーしています。形式としては、NASA ISAC Globalの事務局が、「ローカルホスト募集〜!」と声をかけ、世界各国から都市の拠点リーダー候補が名乗りをあげます。基本的に、1都市に一人・一団体のローカルリードが承認され、そのリードがその都市でのNASA ISAC Local eventを主催するのです。ですので、去年(2018年)の参加拠点を見ていただくと分かるように、世界中の「ローカルイベント」が各都市で立っています。(https://2018.spaceappschallenge.org/locations/)
2012年から毎年開催されているこのイベント、年々参加者、参加都市が増えていっています。2018年は、75ヶ国200ロケーションから 18,000 以上の人が参加しました。
このNASA ISACのグローバルオーガナイズをNASAから請け負っているのがSecondMuseという団体で、そこでNASA ISACのオーガナイザーを数年前から担当しているのがMatt Scott。
そして、2014年くらい、BinnovativeでISAC Bostonを立ち上げた頃の担当で、最近Mattにバトンタッチして現在主に別の職務に従事しているのがBlake Garcia, 彼もパネリストの一人で参画していました。
ですので、今回のパネルは、パネリスト4人中2人+モデレーターがNASA ISACの関係者ということで、プラス政府関係者かつコラボレーションの経験を熱く語れる人たち。オープンイノベーションの実施にあたりとてもプラクティカルなディスカッションになることは間違いない!と思いました。
3. SECONに登壇することになった
NASA International Space Apps Challenge(ISAC)のボストン拠点を2014年から主催していると書きましたが、Binnovativeが何でこのイベントをやっているかというと、日本からリモートでISACボストンに参加する人たちを募って、ボストンの参加者と日本の参加者のコラボチームを作っています。
NASA ISACは、Globalに同時開催しているんだから、他の拠点とのコラボレーションも奨励!!と言ってますが、我々は彼らがそれを声を大にして言い始める前の2014年からやってますw。日本とのコラボは、時差の壁、言葉の壁、、様々な壁がありそんなに容易いものではありません。しかし、Binnovativeのスタッフに頑固なまでに通ってる一本筋というか、「アントレプレナーシップマインドセットはコラボレーションから醸成される!!!」との思いから、過去5年間連続開催してきました。ハッカソンの2週間前にオンライン日米チームビルディングセッションを行い、スキルと興味のバランスの取れたチームを構成するところから、本番までの手厚いサポートと、ミッション達成の為に奔走するBinnovatie staff。
そして参加した後その素晴らしい経験がやめられず(笑)リピーターでまた参加してくれるファンの方や、毎年メンターやジャッジでサポートしてくれるスーパー専門家の方々(ボストンって土地は、、その辺のバーで普通に隣でビール飲んでる人が天才だったりしますから、本当に。。)、毎年スポンサーしてくれる企業様などのおかげで、何とか毎年続けていっています。また、日本側のコラボ参加者オーガナイズ 関係者の方々には本当に感謝しております。
(それを考えると、参加するパネルのタイトル“Innovators Everywhere: Pathways to Progress through “Unlikely” Problem Solvers”は至極しっくりきました。)
とはいえ、NASA ISACのグローバルのオーガナイザー、Matt Scottからかなーりカジュアルなメールが届いたのは2/5。大会から1ヶ月をきっており。。。
“Hi Eriko, お久しぶり、元気? おたずねなんだけど、3/2って空いてるかな?よかったら、ハーバード社会起業大会のパネルで喋んない?”
。。そこからの1ヶ月弱はあっという間だったのは言うまでもなし。
モデレーターのMattとパネリストの4人と何度もメールをやりとりし、事前のコールも重ねて、親近感ばっちりの状態で当日臨むことができたのは、モデレーターのMattのおかげです。
4.パネルの内容について
パネルのタイトルは、“Innovators Everywhere: Pathways to Progress through “Unlikely” Problem Solvers” (様々なところにいるイノベーター。「ありそうにもない」問題解決者の活躍への道)
そしてパネルの説明は、
複雑な社会問題(complex social problems)を解決する為の、いわゆるOpen Innovation2.0*についての議題です。
Open Innovation1.0*は、問題提供、問題解決を一対一の関係性で行うものであるのに対して、Open Innovation2.0は、社会解決の課題を解決する新しいタイプのオープンイノベーション、共創型の課題解決法です。(”コレクティブインパクト”のコンセプトとも言えるかと思います)今回のSECONのメインテーマも、Unlikely Allies, とあるように、様々なコラボレーションから、社会課題にも破壊的なイノベーションが求められていることがよく映しだされています。
私たちのパネルは、政府の関係者、政府とスタートアップを連携させる取り組みをしている人、国際開発の人など様々なバックグラウンドの人が混じっており、その様々なバックグランドに同じ「コラボレーション」という軸を刺して何が出てくるかというとても興味深いセッションでした。
NASA International Space Apps Challenge (ISAC) のグローバルオーガナイザーであるMatt Scott氏がパネルモデレーター、数年前までグローバルオーガナイザーを担当していたBlake Garcia氏もパネリストとして登壇。私は、5年間ISAC Bostonを主催しているBinnovativeを代表して、国や文化、バックグラウンドが激しく違う人たちのコラボレーションでオープンイノベーションプロジェクトをやっている立場で参加しました。パネリストは以下の4名。
・Blake Garcia, Manager of Cities Operations at SecondMuse
・Clarence Daryl Edwards, Senior Advisor of International Development at the Australian Department of Foreign Affairs and Trade
・Eriko Nishimoto, Founder and CEO of Binnovative and Boston Local Lead for NASA's International Space Apps Challenge
・Kristen Honey, PhD, PMP, Innovator in Residence in the Office of the Chief Technology Officer, Immediate Office of the Secretary at the U.S. Department of Health and Human Services
コラボレーションから破壊的イノベーションが生まれるのを切望して、様々な切り口からのコラボレーションを行う潮流が出てきているここ最近、何が難しい点で何が成功のポイントなのか。
私は、Binnovativeを立ち上げた理由も、活動を続けている理由も、「個々のアントレプレナーシップマインドセット」が全てのキーだと思っています。何故なら、コラボレーションだってイノベーションだって、人がやるんだから。企業の中のオープンイノベーション担当、政府のイノベーション担当。スタートアップのCEO。日本人。アメリカ人。
で、他のパネリストも、結局は「マインドセットが大事」と、人レベルに落ちてきているところで、すごく共感しました。
素敵なピアパネリストの皆さんと楽しい時間が過ごせたことを感謝。この素晴らしいパネリストチームを選りすぐって招集してくれたMatt Scottに感謝。
そして、この場に私はBinnovativeの代表で出たわけですが、一緒にイベントを作って実行してくれている、そしてパネルにも応援に来てくれた仲間に感謝。
また、この大会のために国外(日本やインドなど)からわざわざ飛んできている方にお目にかかりました。Social entreprise に対する真剣さには頭が下がります。冒頭でもご紹介した田辺さんは2003年から毎年来られているということで脱帽です。この大会にはそれだけの価値があるのだということです。(その田辺さんによると、日本人女性がこの大会で登壇するのは大会で初めてだそうです)
5. 内容振り返り
冒頭にも書いた通り、正直自分が理解する「社会起業家・ソーシャルアントレプレナー」の意味合いと、自分自身を重ね合わせてあまりピンと来なかったので、今回の登壇にあたって自分自身について色々と考えさせられました。
「社会起業家・ソーシャルアントレプレナー」、「非営利団体、NPO」の定義って何? 私がやりたいこと自体はまさに人々や社会に貢献することなんだけど、そうして色々と考えていくうちに、それを「社会起業」とした途端、何故普通の「起業」とかけ離れたものとして考えないといけないと思っちゃうのか?
NPOでなくたって、社会貢献を目的にしている会社は存在するし、むしろ最近はそういった志が主流になってきている。
そして、日本からこのコンファレンス参加のために来られていた日本人の方(大学生や、社会人の方)から色々と質問を受けそれに答えながら、また様々な意見交換をしながらも、私たちがどうも「枠組みに囚われている」だけなんじゃないかな、と思って仕方がないのです。
ちなみに、コンファレンスでの色々な立場の人(パネリスト)との「社会問題解決のためのコラボレーション」に関してのディスカションでは、お互い合意することだらけ、結構皆言いたいことが被りまくりでした・・笑
このコンファレンスは有料で、かなり高価な入場料をみなさん費やして来場されてるので、全ての内容を掲載することはしませんが、また別にディスカッションポイント、また自分自身感じたことやパネル登壇経験通してのTake awayを書こうかなと思っています。
先達の社会起業家の方々に私なんて全然足元にも及ばないのに、この素晴らしいコンファレンスに日本人初の登壇となったことは、例え偶然の重なりみたいなものだったとしても、きっと何か意味があるのだろうと思い、何かの役目を果たさないといけないぞ、と。。。
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