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妊娠出産記⑤妊婦だけど、激務も諦められなかった
私が妊娠したのは、初めて管理職のポジションをいただいてから、割とすぐのことだった。まだ新しい役割に慣れず四苦八苦しているところで、つわりをはじめとする妊娠特有の課題も発生し、より苦しい日々を過ごすことになった。その時のことを記録したい。
周囲には言えない、初期が一番辛い
私の場合は、7週目ごろから徐々につわりの症状が出始め、10〜12週ごろが体調不良のピークだった。ひどい二日酔いと船酔いが足し算されたような状態が朝から晩まで続き、あらゆる匂いに敏感になり、ソファから起き上がれないほど疲れやすくなった。
安定期に入るまでは、直属の上長以外、よっぽど仕事上の必要性がない限りは妊娠について公表しなかった。家では常に横になっているくらいしんどいのに、会社に行けばこれまで通り振る舞わなければいけない。朝、家を出る時には「無事に1日を過ごして家に帰ってこられたらそれだけで花丸!」と言い聞かせ、気合を入れていた。
とにかくつわりが終わり、周囲にも言えるようになる「5ヶ月」になる日を待ち望み、日々を乗り越えていた。
ストレス、深夜残業・・・妊婦だけど、言い訳もしたくない
妊娠初期は特に、胎児の重要な器官が作られるので、体を大事にしなければならない、と言われる。しかし、安定期に入るまでは妊娠していることを周囲には言わずに働いている人も多いと思う。私も先述の通り、よっぽど必要性がない限りは公表していなかった。結果、業務の負荷はこれまでと大きく変わらない。
加えて私の場合は、もともと決まっていた新規案件の推進や、急な退職メンバーの発生などがあり、これまでよりさらに仕事の負荷が多くなっていた。
新規案件の推進では、トラブル対応のため土日も社用携帯を手放せない状態。急な退職発生により、一時的に業務を巻き取るため、深夜残業も常態化していた。
猛烈に仕事をこなしたのち、ふと落ち着くと「私は妊婦なのに、こんなに負荷をかけていていいのだろうか。一生後悔するような結果にならないだろうか」という思いが湧き上がってくる。何も答えなんてないと分かっていながら、ネットで「妊婦 仕事 ストレス」と検索して不安になる夜も何度もあった。
ただ、妊婦だから体を大事に、を言い訳に仕事の品質を下げることもしたくなかった。本当にまずい時は、自分が一番よくわかるはず。だから、体の状態に気を配りながら、いけると思うまではアクセルを踏むことにした。
妊娠中期以降は、お腹の張りとの戦い
待ちに待った安定期に入り、雲が晴れていくようにつわり症状は消えていった。お腹も膨らみ、周囲にも少しずつ妊娠の旨を公表し、いよいよ過ごしやすいタイミングがやってきた!と思っていた
ただ妊娠中期以降、お腹の張りが気になるようになった。普段よりよく動いたり無理をしたりすると、お腹が硬くなる。そうでなくても普通に座っているだけで、お腹がキューっとすることが増えてきていた。
調べると、胎児がお腹を蹴ったり動いたりすることでおこる自然な張りがほとんどだが、中には早産につながる危険な張りもあるとのこと。判別するためには、少し横になって張りが引くかや、1時間に何回程度張るかなどを観察しなければならない。1日慌ただしく仕事をしていると、もちろん横になることはできず、会議中や移動中には張りが強くなることも多かった。
張っているときには子宮に圧がかかっている状態のため、赤ちゃんからすると苦しい状態だという。私の都合でこうして朝から晩まで慌ただしく働いているが、本当はリラックスして休めるような環境でいてあげる方が・・・なんて思うこともあった
妊娠期間を空白期間にはしたくなかった
妊娠中起こるさまざまな症状を抱えながら、これまでと変わらずモーレツな働き方をするのはもちろんしんどかった。また妊娠経過や発育に問題がないか、という不安も常に付きまとっていた。
ただ、妊娠がわかってから産休に入るまで、半年以上あり、その間は妊娠した状態で働くことになる。あまりにセーブしすぎてこの半年間で何もチャレンジしない、空白期間にはしたくないと思った。
ママになったら終わりではなくて、並行でキャリアも続いていく。バランスの取り方が本当に難しいのだが、子供が生まれてからもずっと同じようなジレンマを抱え続けるだろう。苦しみながらも、ママもキャリアも諦めない道をこれからも目指していきたいと思う