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好きなゲーム音楽を語る GBA編


 ゲームで遊んだ思い出を話す時、ボスが強かった、ストーリーの秀逸さ、システム、キャラクターが好きなど人によって出てくる感想は違うが、今回私が推したいポイントは「ゲーム音楽」である。画面に合わせた音楽が私達の進展に臨場感を与え、ゲームの世界を身をもって体感する。音楽に操られるように鼓動が高鳴り喜び、悲しみに暮れる事となる。

 今回は個人的に好きなゲーム音楽をいくつか書いていく。
書くにあたってひたすら好きな曲を挙げたら何十曲となってしまったのでゲームハード毎で分ける事にする。GBA編。


RUNNING THROUGH THE CYBER WORLD/ロックマンエグゼ


 まず、私はゲームボーイアドバンスの音楽が好きだ。ゲームボーイから容量が増え、データとして使える音の数が増えたが決して多過ぎずメロディラインがはっきりしている為曲が印象的。それが絶妙なバランスなのだ。私はGBAが数あるゲーム音楽黄金期の一つだと思っている。

 表題に挙げた曲、RUNNING THROUGH THE CYBER WORLDは2001年にカプコンから発売された「ロックマンエグゼ」作中で流れる曲だ。ゲーム最初のイベントステージで使用されている。本作メインテーマのメロディーを使用したこの曲はタイトルも相まってプレイヤーの体験を引き立ててくれる。
 ロックマンエグゼシリーズは近未来を舞台に主人公の光熱斗とロックマンが現実世界と電脳世界(インターネット)で起きるトラブルに立ち向かっていく物語だ。ゲーム性、ストーリー、デザインなどどれも素晴らしく語りたい事は山のようにあるのだが、今回は音楽についでなので割愛。


 曲が始まって13秒頃からメインのメロディーの後ろで連符が聞こえてくる。私はこの音を聞き、インターネットモデムやルーター、サーバーのランプがピカピカ光っているようなイメージをする。実際に見る機器は静まりかえっているが、音にするとこんな感じではないだろうか。
 主軸のメロディーが特に印象的で、短い中にも疾走感やドラマがある。私の勝手なイメージだが「曲冒頭で冒険の始まり→13秒頃キャラクターが困難葛藤に直面→26秒頃、全てを突破し突き抜けるサビ」だと思って聞いている。作曲者の方に何それと言われても仕方ない勝手な解釈だ。楽しませていただいております。

 キャラクターが曲と共に世界を駆け抜ける。私にとって近未来的、インターネットのイメージと言えばこのRUNNING THROUGH THE CYBER WORLDなのだ。私がダラダラと通販サイトを眺めている時でも実は回線の中でこの曲が流れているのかもしれない。

 繰り返しの記述となるが、表題のメロディーにはこの作品のメインテーマが使われている。ロックマンエグゼは物語の重要な場面でメインテーマが流れる。前へ進むとき、絆を深めるとき、音楽が彼らの輪郭をなぞり彩るのだ。クリアした後はメインテーマを聞くとゲーム中の思い出が蘇り泣いてしまうようになった。

そう、これはただの電子音ではない。二人の物語の音なのだ。


あっあと5のテーマソングと2のバトルスピリットも好きです。


追求〜とっつかまえて/逆転裁判3


 中学生の頃、「遊べ、聞け」とだけ言って同じ吹奏楽部に所属する友人が数本のゲームソフトと関連するサウンドトラックCDを貸してくれた。
楽しく遊んだ逆転裁判のサウンドトラックにはゲーム楽曲のオーケストラアレンジが収録されており、当時音楽の勉強をしていた私には刺激があった。オーケストラの演奏により厚く広がりがある音を受け止めて、電子音と管弦楽器の音が脳内でリンクする。物語性のあるオーケストラ音楽はゲーム音楽との相性抜群ではないか。


 逆転裁判シリーズは一癖も二癖もあるキャラクターに追い詰められ引っ掻き回されるのが醍醐味だ。裁判がテーマの今作は、弁護士である主人公(プレイヤー)があらぬ容疑をかけられた依頼人を弁護し、真犯人を見つけ出す。このゲームは基本的には圧倒的にこちらが不利の状態からスタートする。逆転という言葉通り、法廷で証拠を武器に真犯人を追い詰めていく。

 ストーリー展開とゲーム性が絡み合う。こちらが無実の証明をしても事件の真犯人に状況をひっくり返され、ヤツらはニヤリと笑いそのまま逃げ切ろうとする。駄目だ。ここで見逃してはならない。無実の依頼人を守れるのは私だけだ。さあ証拠を突きつけよう!絶対逃すもんか!そんな最高のタイミングで曲が流れてくるのだ。

 逆転裁判の重要な場面で流れてくる曲「追求」はシリーズとなっており、各作品に登場する。新米弁護士として法廷に立つ1作目の曲は「追求〜追い詰められて」であり、2作目では「追求〜問い詰めたくて」押されっぱなし状態だった所がなんとか切り返せるようになり、数々のピンチを潜り抜けた先である3では「追求〜とっ捕まえて」となるのだ。曲名にキャラクターの成長を見る。もう右も左もわからないあの頃の私たちではないのだ。

 今回は個人的に思い出の強い3の曲を挙げさせていただいた。カプコンのゲームは基本3でひとまず物語の区切りがつく(ように思う)のだが、逆転裁判でも3で一度物語が纏まりラストスパートを迎える。もちろんシリーズそれぞれ単独で遊べるのだが、1作目から順に遊んできたプレイヤーはより深く楽しめる。4以降の作品も展開され、初代発売から数十年経った今でも根強いファンが多く、ゲーム実況で盛り上がりを見せ、定期的にコンサートなどが行われる作品なので未プレイの方はぜひ遊び、その時は音楽も体感してみてほしい。


あの頃の友人、ゲームとCDを貸してくれてありがとう。今の私も30代になったので人生をゲームナンバリングで例えると3ぐらいだろうか。



awake/悪魔城ドラキュラ Circle of the Moon


 悪魔城ドラキュラシリーズの音楽は、おどろおどろしくも神秘的で美しく、まさに「ドラキュラが出てきそう」な音なのである。音で世界を表現することはゲーム作品にとって最重要項目だ。

 悪魔城ドラキュラCircle of the Moonで使用されたAwakeは最初のエリアである地下墓地の曲。初めて遊んだ時、その音質に驚いたものだ。調べると「音源データに容量を割いているのでは」と言うネットの見解に多いに納得した。限られた容量の中での重きを置かれた(であろう)ポイントなので毎度しっかり拝聴したい。


 本作はオリジナル曲がとても少なく、歴代のシリーズの曲が使用されているのだが、私は初めて遊んだ悪魔城ドラキュラシリーズがCircle of the Moonだった為、他シリーズを遊んだ時に「えっこの曲はこの作品からだったの!?」を経験する事となる。Circle of the Moonで繰り返し聞いた大好きなTHE SINKING OLD SANCTUARYもVampire Killerも他作品で再び聞く事となる。二度美味しい音楽アハ体験である。


 話をAwakeに戻そう。Awakeと言う単語は「目覚め」と翻訳することができる。私の初の悪魔城ドラキュラはこの曲と共に目覚めたのだ。イントロの軽やかなメロディーに心を惹かれ、キャッチーなリズムに背中を押されるようにゲームをスタート。私はヴァンパイアキラー。ズンズンと迷宮のような地下ダンジョンに潜っていく事となる。


 ちなみにAwakeは「大乱闘スマッシュブラザーズSpecial」にアレンジバージョンとして音楽が使用されている。まさかこの曲がスマブラで使われるとは思っていなかったので、スマブラAwakeを聞いた時とても驚いたのだ。その瞬間、私は三度目のアハ体験に襲われた。


荒野の向こう/ファイナルファンタジータクティクス アドバンス


 名曲揃いのFINAL FANTASYシリーズ。沢山のシリーズを遊び、音楽を堪能してきたが、個人的に音楽で一番印象的なのはこのFINAL FANTASY TACTICS ADVANCEだ。
 雪に覆われた小さな街。そこに暮らす彼らは人に馴染めず冷たい風が吹いていた。ある日、偶然見つけた古びた書物を開くと街は一変する。乾いた広大な大地、そこは剣と魔法の世界。主人公は元の世界に戻す為に、異なる種族の仲間達と問題を解決していく。


 「荒野の向こう」を聞く。
彼らの元の世界、元の街に荒野はない。突然目の前に現れた知らぬ道を、悩み戸惑いながら自身の意思で踏み抜いていく。この先に求める正解があるか定かではないが、留まらず進んでいく。メロディーとタイトルで彼らの心情を表現したようだ。
 ゲームで初めてこの曲が流れてきた時はとても感動し、暫くGBAを机に置き音楽だけを楽しんでいた。側から見ると端末型ゲーム機をつけっぱなしなのに触らずぼんやり何処かを見つめているなかなかに怪しい奴だ。弟に「さっきから何してるん?」と聞かれた。


 その他「まけない心」「こえていく壁」「さけられぬ運命」「希望への戦い」などどの曲も素晴らしく、今回どの曲を表題として紹介しようか迷ったぐらいだ。
ちなみに後日発売されたFINAL FANTASY TACTICS A2封穴のグリモアにもこの「荒野の向こう」が使用されている。より豊かな音なのでぜひ注目していただきたい。


 昔、某ゲームで主題歌を担当した。ゲーム媒体の取材で私は「ゲーム音楽は経験の音だ」と答えた。同じくゲーム音楽が好きだと言っていたインタビュアーが深く頷いてくれた。ゲーム音楽が遊びの思い出と共に、我々の経験として染み付いていく。

映像を思い浮かべると、音楽が聞こえてくる。
その瞬間、我々はメロディーに連れられ異世界への扉を開くのだ。




 今回はGBAの好きなゲーム音楽を書いてみました。
今後別のゲーム機編も更新予定です。

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