旅は、いつも人生で大切なことを教えてくれる
先日、鎌倉へ母とともに旅にでかけました。
今回は母の誕生日が近かったので宿泊も兼ねて鎌倉へ。詳細はまた折に触れて、お伝えするとして「いつかは鎌倉に泊まってみたい」という母の願いがようやく叶いました。
とあるホテルの宿泊したのですが、私たちはずっと足を曲げたままお風呂に入る習慣に慣れてしまったので(家が狭いことがバレバレですが)足を伸ばしてもまだスペースがある広い浴槽に2人してやたらと感動していました。
とくに私は身長がやや高めなので、自宅も実家も足はかなり曲がったままなので、のびのびしようと思っても限界があることを普段は不満に思っていたのです。
ところが実際に旅にでて、私たち親子にとっては贅沢な環境に身を置くことになるわけですが、最初は「すごーい!」とホテルのひとつひとつのつくりに感動していたものの、慣れるまで、ひたすらソワソワ……。2人してあちらこちらに行って、なかなか慣れないお互いの姿に、つい笑ってしまったり。
旅先で寝られないことはあまりないのですが、お風呂の豪華さに最初はるんるん気分だったけれど、自宅に帰っていつものお風呂に入ったとき、足は曲がったままでも、やたらと落ち着くこの感覚はなんなのだろうと思うほど、そこには安心感がうまれていました。
旅は、いつも私たちを肯定してくれます。よく、がんばったね、よく、乗り越えたねと。また、がんばったらここに来れるかもしれないね、と。過去の思い出も含めて旅が認めてくれるのです。
つらい時期を乗り越えたあとの旅、もしくは、これから大きな挑戦が待っているときは、旅をすることによって心身ともに整います。
大きな買い物よりも、美しい日本の景色と神仏習合のエネルギーが心を癒してくれます。私はとくに覚悟を固めたいときに旅にでかける傾向があります。
けれど、普段、一緒に過ごしてくれるこの部屋も、私の人生にとってはもちろん、なくてはならない大切な存在。豪華絢爛の世界でもなければ、ミニマリストさんのように物がない世界でもないし、どちらかというと、物で溢れている部屋だけど、ほんとうに心地よいのです。
何度も「もう無理だ」と思ったときに、神棚があるせいか、いつもこの部屋が一緒につらい夜を乗り越えてくれています。
たとえお風呂は小さくても、それでいいのです。むしろ、鎌倉旅から帰ってきて最初にお風呂に入ったとき、また足は曲げなければいけないけれど、いつもの光景に、体が馴染んでいる部屋に帰ってこられた幸せも含めて、旅のお土産のような気がします。
旅は、いつも私たちに人生で大切なことを教えてくれます。些細な瞬間に、そして日常の何気ない瞬間に大きな気づきが発生します。
鎌倉旅の詳細はまたタイミングを見ながらご報告できればと思いますが、ひとまず、母と楽しい思い出をまたひとつ残せたことは、空の上にいる父たちも、きっと喜んでいるでしょう。
今晩も、ほんの少し足を曲げて、お風呂にゆっくり浸かります。
何気ない今この瞬間が、一番尊いのだと、心深く感じながら。
太陽の恵みに感謝。
今日一日を、今この瞬間を
大切に。
ERICA YAMAGUCHI