外部委託と新規事業について:信頼関係の構築と課題解決の重要性
外部委託業務におけるリスクと対応策
外部委託業務では、単なるタスクの丸投げに終わるリスクがあり、結果として業務の幅が広がりにくいという問題が生じることがあります。さらに、費用面でも「○○円もかかるなら、池田に頼まなくても良いのでは」と思われることがあり、ダンピングのリスクが伴います。
このような状況を防ぐためには、単なる切り売り的な仕事で終わらせず、クライアント企業が私に依頼する意図や背景を理解し、それを最大限に活用することで、相手企業の営業や開発部門の成長を促進するきっかけを提供することが重要です。
新規事業の提案と信頼関係の構築
新規事業のオファーにおいては、その企業に所属する方々が新規事業に対してどこまで理解しているかが鍵となります。業務の開始前に軋轢が生じることも多いため、まずは現況を把握し、現状の課題を解消することで信頼関係を築き、その上で新規事業を成功に導くことを目指しています。それがたとえトップからの指示による新規事業の立ち上げであっても、現状、営業における問題がクリアできないと疲弊されてしまい、本末転倒になりかねないのです。
例えば、あるメーカーでは家庭用製品が強みであり、外食事業には参入しているものの、中食事業にはまだ進出していない状況でした。
徹底したヒアリングから、現状把握
このようなケースでは、徹底したヒアリングを行うことが重要です。各営業所の方々に対し、直接、現状の業務状況や新規事業に対する考え方などを率直に言ってもらい、その中から問題点を抽出します。
すると、現行業務が手一杯で新規事業に取り組むのが難しいという声が多くありました。
営業所によっては、「少ない人数で業務をおこなっているのに、これ以上、仕事は増やさないでほしい。無理です」と言った声もありました。
エリアによっては、交通の便が悪く、車での移動時間がかかり、営業活動が難しい地域があることも分かり、営業がしづらい地域があったのです。このように新規事業についてのヒアリングではありながらも、現状の問題点が明らかになったのです。
そして、これらの問題点の中で、他の企業でも同様に発生しているのかも調査し、もしもそうであれば外的要因ですので、本部でどのようにすべきかを考えることが必要となります。
本部での仕事:第一段階
今回、取り上げた交通の便が悪く営業が困難な場合ですと
訪問回数をどう設定すれば良いのか。
回帰分析からの営業回数を導き出す。
ただ闇雲に訪問するのではなく、回帰分析を用いて効果的な訪問回数を調べることも必要です。
回帰分析とは、ある変数(この場合は訪問回数)と成果(売上など)の関係性を統計的に分析する手法です。これにより、効率的な営業活動が可能となります。
その際、訪問回数を減らした場合に生じる問題点も抽出し、それを本部で補うことができるかを検討します。エリアごとのマニュアルを作成し、顧客が求めるデータに基づいた商品提案を何度も練り直し、本部で資料を作成・配布することで、営業の方々が仕事をしやすくなるようサポートします。
これを実施することで、本部の方針が変わり、以前より営業の方にとって負荷が軽減され、これが信頼関係につながります。と同時に、新規事業に対しても積極的な姿勢を引き出すことにもつながります。
新規事業に対してセミナーを開催
さてこれと同時期に、定期的に営業、開発、企画の方々に向けて、新規事業の現状、競合他社の動向、クライアントの価格動向などをセミナー形式で共有し、基本的な知識を浸透させていきます。
またベンチマークを行い、以下のような情報を発信していきます。
ベンチマークしている企業について
価格の推移
容量の変動
商品構成の変化
地域ごとの傾向
地域特性として、クラスター分析、つまりその地域の属性を検出し、その結果をもとに、定期的に資料として配布します。少ない人数で営業をしている場合、これらが有効になります。
これらを愚直に続けることで、最終的には新規事業に対する先入観を取り除き、信頼関係をさらに強固なものにできると考えています。
いかに効率的にという想いがあったとしても、こと人間関係は、このように少しづつ牛歩のように作りあげていくしかないと思っています。
「他の人でもできる」と思われてしまうと、最終的には依頼が来なくなります。その為にも常に「どうすれば一緒に仕事をしたいと思ってもらえるか」を考え、外部だからこそできる提案を相手の立場に立って考え抜くことが大切です。相手が困っていることは何かをまず考え、その中で私ができることは何かをその人の立場になって考えぬく、ごく当たり前のことですが、これが信頼関係が築け、これが最終、長きにわたりその企業とのお付き合いが出来ると思っております。
ある企業との27年間の関係を振り返ると、最初の依頼から大きく変化しています。現在もお手伝いできているのは、社員の皆様との試行錯誤を重ねた結果だと感じています。開発だけにとどまらず、人と人とのつながりを大切にすることで、レシピ以上の価値が生まれ、これが長期的な関係維持に繋がっているのだと思っています。