池田恵里 ERI IKEDA

外食、中食などの顧問契約。業務としてプロデュース・社員教育・開発などをお手伝いしており…

池田恵里 ERI IKEDA

外食、中食などの顧問契約。業務としてプロデュース・社員教育・開発などをお手伝いしております。 執筆として、主に 『フードビズ 連載「中食の中身」』18年。YAHOOオーサーとして「美味しさの舞台裏」などで執筆しております。

最近の記事

フリーランスだからこそ、決算書から読み取る企業の本質と成功への戦略

食のお仕事は男性社会であることが多く、女性の個人事業主にとって厳しい環境に直面することも少なくありません。個人事業主であれば他の業界でも同様かもしれませんが、大手企業によっては契約が難しい場合があります。例えば、広告宣伝会社や鉄道会社との契約は個人事業主にとってハードルが高いです。私自身、以前に大手シンクタンクと契約を結んだことがありましたが、これは非常に稀なケースでした。口座開設時の名簿を見ても、大手企業の名前が並んでいる中で、個人名はほんの数名しかいませんでした。 とは

    • メーカーの競争と協力:フリーランスと不可侵条約から学んだこと

      お仕事を通じて、さまざまなメーカーさんとつながり、その中で多くの学びがありました。 スーパーや弁当専門店、外食企業では、自社で開発した商品を、最終的にたれのメーカーなどにコンペをかけることが一般的です。そして、一つの商品に対して2社、3社がたれを提案し、その中から選んで商品化する流れが取られます。 ある600店舗展開の企業のメニューカテゴリーには、煮物、サラダ、中華、カツ丼のタレ、焼肉のタレなどがあります。カテゴリーごとにメーカーの得意・不得意があるため、どのメーカーがコン

      • 東京と神戸、そして次のステージへ:柔軟な生活

        お仕事を始めた当初は関西に住んでおり、仕事は自宅で行っていました。私が仕事を始めた頃は、はっきりと関東と関西の違いがあり、仕事が進むにつれて、関東の情報量の多さには圧倒されるばかりでした。しかし、当時は資金がなく、すぐに東京に移ることができませんでした。 仕事が徐々に増えていくと、自宅で仕事を続けるうちに、延々と働き続けるような状況が生まれてきました。 そんな中、とある方が独立された際に、「オフィシャルとプライベートをどうやって分けていますか?」と質問されました。その方は

        • フードコンサルタント・コーディネーター・ジャーナリストが考える、依存と柔軟性が交差する時代

          以前に、会社の社員の方の離職について、お話ししました。 外部委託のため、直接的な問題ではないものの、その企業へのアドバイスを行っていることから、相談を受けることがしばしばあります。 つい最近でも、従業員の方が離職するという事例が発生しました。 既に、終身雇用という考えは、とっくに消え去ったと言っても良い時代に突入したのかもしれません。 さまざまな企業とお仕事をさせていただく中で、決して良い環境ではないものの、多くの社員が長く続けている企業もあります。その多くは、圧倒的な

        フリーランスだからこそ、決算書から読み取る企業の本質と成功への戦略

          継続する力は才能なり:10年と1万時間の法則

          「この仕事で食べていけるようになるには、10年はかかる」と言われたことがあります。当初は途方に暮れたものですが、今振り返ってみると、ちょうど10年が経った頃からクライアントが増え始めたことに気づきました。そして、10年が過ぎてみれば、その時間は決して苦ではありませんでした。 よく資格取得に必要な学習時間を調べることがありますが、一つのことを習得するには、1万時間あればその分野で大成できると言われています。これは「1万時間の法則」として知られ、マルコム・グラッドウェルの著書『

          継続する力は才能なり:10年と1万時間の法則

          内容を引き立てる話し方:間合いと速さのバランス

          セミナー、講演の依頼から、話す速さについて セミナーの依頼は、今後の仕事につながる可能性があり、非常に重要な営業機会です。今回は、内容だけでなく、話す速さについてお話ししたいと思います。多くの場合、依頼は2時間から長くても3時間です。企業によって求められる内容は異なるかもしれませんが、緊張すると話すスピードが速くなりがちです。そこで今回は、内容だけでなく、話す速さについてお話ししたいと思います。 アナウンサーとの比較 一般的に、アナウンサーは30分で約9,000文字話すとさ

          内容を引き立てる話し方:間合いと速さのバランス

          自分の価格と契約について、フリーが不利ランスにならないために

          この仕事を始めた頃、料金設定に非常に悩みました。どのくらいのフィーを請求すればよいのかがわからず、フードコーディネーターやコンサルタントに相談しづらいことでしたし、実際に教えてもらえることはほとんどありませんでした。 セミナーの料金はいくらにすべきか、顧問契約の料金はいくらが妥当なのか。当時、私はメーカーの冷凍食品のレシピ作成やセミナーの仕事をしていましたが、その商品を事前に試作する必要があり、試作の段階からすでに稼働時間が発生しています。さらに細かいことですが、材料費もか

          自分の価格と契約について、フリーが不利ランスにならないために

          柔軟な対応力と素直さが成功を築く:ビジネスする上での心得

          企業によっては、若手社員(20代、30代)の教育をお願いされることがあり、彼らはまだ成長段階にあります。特に大学を卒業して間もない社員は、当然ながら白紙の状態です。そのため、企業内の製造の仕組みを基本から教えていくことになります。月日が経つにつれ、企業の文化が個々に染み込み、良い意味でも悪い意味でもその人に影響を与えます。これらは後々の仕事に対する考え方や行動にも大きく影響します。 ある有名なデパ地下で企画・開発を担当していた方をアシスタントとして採用しましたが、正直なところ

          柔軟な対応力と素直さが成功を築く:ビジネスする上での心得

          努力の限界と可能性:ピアノから学んだビジネスについて

          「努力すれば報われる」とよく言われますが、実際にはそうでないことも多いのです。 私はピアノを通して、努力では補えない現実を痛感しました。 実は、私がピアノを始めたのは遅く、中学から本格的に取り組み始めましたが、テクニックがまったく伴わず、ミスタッチばかりでした。頭の中では「こう弾きたい」と思っても、指が思うように動かず、そのもどかしさは計り知れません。 何とかテクニックを挽回しようと、練習に明け暮れました。 しかし、テクニックは筋肉が発達するに応じて身に着けるものであると

          努力の限界と可能性:ピアノから学んだビジネスについて

          配置転換:人はお金ではなく、コストよりも重要な要素

          「これって大丈夫なの」 来社すると、以前と雰囲気ががらりと変わり、どんよりとした空気が漂っていることがあります。 会社の玄関に行った途端にわかることも。 とある部署の配属を変えたことで、一つの部署の稼働率が途端に下がっていることが後にわかりました。 部署の長、Yさん(以下Yさん)曰く 「どうして、あのような人をうちに配置したのか、わからない」とのこと。 Yさんの部下として、Aさんが配属されたのですが、その配置先、つまりYさんの部署の知識もないままAさんが勝手な行動し、Yさん

          配置転換:人はお金ではなく、コストよりも重要な要素

          サザエさん現象 期待しすぎない伝え方

          セミナー、社員教育の一環で、お話すること、多々あります。 セミナー後、アンケートをなさる企業もあり、感想をみせてもらうのですが、アンケート結果で「ここ?」と思えるような箇所を書かれていることもしばしばでして、驚くこともございます。そこで今回は、期待し過ぎない伝え方について、思うことを書きたく思っております。 セミナーでたとえ「伝えたい」一心でいろいろ詰め込んだとしても、聞き手は消化不良に起こしかねないので、ある程度、ポイントを決めて、お話するようにしております。 為になる

          サザエさん現象 期待しすぎない伝え方

           営業活動、行動パターンの見える化

          少ない人数で営業なさっている企業は多々あり、前回、お話したように、それをいかにしてフルに稼働してもらうための本部機能の在り方について、少し触れました。 今日は、「各営業の動きの見える化」について、お話をしたいと思います。 関東エリア、関西エリアは、当然のことながら、他の地域より、圧倒的に企業が多く、お客様が多いものです。 しかし、それにもかかわらず、売り上げがなかなか上がらないケースがありました。 原因は何なのかを考え、他のエリアの営業担当者にそれとなくお聞きしても、明

           営業活動、行動パターンの見える化

          川下から川上まで 一気通貫することの大切さ

          レイヤーをどこに置くか 前回、お仕事内容を変えていく 大切さを新規事業を通して、少しだけ触れました。 外部委託と新規事業について:信頼関係の構築と課題解決の重要性|池田恵里 ERI IKEDA (note.com) まず、みずから自分の立ち位置を段階ごとに変えていくことが大切と思っております。 駆け出しの頃は、開発を主体にしており、知識ゼロの状態でしたので、顧客に近いところでの開発提案、つまり店舗内調理が多かったのです。業務内容として、厨房内としての開発を指します。

          川下から川上まで 一気通貫することの大切さ

          外部委託と新規事業について:信頼関係の構築と課題解決の重要性

          外部委託業務におけるリスクと対応策 外部委託業務では、単なるタスクの丸投げに終わるリスクがあり、結果として業務の幅が広がりにくいという問題が生じることがあります。さらに、費用面でも「○○円もかかるなら、池田に頼まなくても良いのでは」と思われることがあり、ダンピングのリスクが伴います。 このような状況を防ぐためには、単なる切り売り的な仕事で終わらせず、クライアント企業が私に依頼する意図や背景を理解し、それを最大限に活用することで、相手企業の営業や開発部門の成長を促進するきっか

          外部委託と新規事業について:信頼関係の構築と課題解決の重要性

          フードビジネスで成功するための立地の知識:フリーランスとしての第一歩

          総菜のお仕事は、私にとってオリジン弁当から始まりました。安沢会長からまず教わったことの一つに「立地における戦略の在り方」がありました。予てから「売り上げは、立地が7割、商品が3割」とよく言われていましたが、私は当初、商品が大きなウエイトを占めると思い込んでおり、理解が難しかったのです。しかし、会長曰く「商品や人材の力をつけるには時間が必要だが、立地はすぐに結果が出る」とのことでした。そして「立地のプロなんだから」と自負されていました。実際、マクドナルドで採用されているGISを

          フードビジネスで成功するための立地の知識:フリーランスとしての第一歩

          中食ビジネスの参入障壁を超えるために—外食との違いを理解する

          ファミリーレストラン、惣菜企業2社、そして食品メーカー1社との契約を通じて、少しずつ仕事が広がってきました。しかし、暗中模索で始めた惣菜ビジネスは、外食とは全く異なるレシピ作りや商品開発のアプローチが求められることに気づきました。 現在では、粗利を見込めることから、他業種や外食業界から中食市場に参入しようとする企業が増えていますが、多くの企業が途中で挫折してしまいます。これは、中食ビジネスの参入障壁が高いからです。では何故、参入障壁が高いか。今後、中食の開発に取り組みたいと

          中食ビジネスの参入障壁を超えるために—外食との違いを理解する