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楽しいと思えるまでの道のり
先日テレビで見た、平野レミさんの''ニラモチ''がとても美味しそうだったので、早速作ってみました。
オットと二人で顔を見合わせ「ウマ!」と叫んだほど、美味しかった。
初めてレミさんをテレビで見た時は「何だか雑な人だなぁ…」という印象だったけれど、本当に楽しそうに料理をする姿がいまは眩しく見える。
全身から溢れ出す「料理を楽しもうよ!」という思いとちょっと雑な感じが、一体どれくらいの人の心を軽くしたのだろうか。
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私が料理人として働き始めた時、1ヶ月経つか経たないかのうちに二番手が飛び、その数週間後には新卒の男の子も飛び、厨房にはシェフと料理ど素人の私だけになりました。
その後も人が入っては辞め入っては辞め…気付けばいつもシェフと二人。
その頃のシェフは''札幌の暴君''と呼ばれるほど血の気が多く、まぁ…厳しいこと。
女子の私には優しく…してくれるはずもなく、毎日叱られ怒鳴られ色々と投げつけ(!)られ。
よく逃げ出さなかったなぁと今でも思います。
シェフはとても忙しい方なので、仕込みはいつもほぼ一人。
「シェフが来たらあれと、これと、それもお願いして…。それから私が仕込んだあれと、これと、それを味見てもらって…。
これはシェフにお願いした方が良いかな。いや、でもそれじゃあ営業に間に合わないか…。う~…………………自分でやるしかない…!!」
といった具合で、自分の実力を遥かに越える質と量の仕事をせねばならず、毎日必死で、常にパンク寸前でした。
仕込んだものを毎回味見してもらっては、
「なにこれ。この違いもわからないなんてセンス無さすぎるから、今のうちに料理人辞めた方がいいんじゃない?」
と言われ撃沈。
それでもめげずに何度も何度も、作っては味見してもらいを繰り返しました。
そのうちに、何となく美味しいのストライクゾーンが見えてくるようになり、
「うん、いいね。」というシェフの一言がどれだけ嬉しかったことか…!!
今まで出来なかったことが出来るようになり、知らなかった事を知れたり気付けたりする事が、何にも代え難い経験となりました。
そのワクワク感が、私の修業時代を支えていたのだと思います。
ちなみに、あの頃毎度ボロクソに言われた玉ねぎのキッシュは、今となってはwinemanのスペシャリテです。
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その後一度は退職し、東京での修業を経て長尾シェフの元へUターン。
今ではシェフとして店舗を任され、思いと現実とのギャップや、生み出す苦しさを感じつつも、その辛さの中に新たな発見が常にあります。
「あ~あの時の苦しいは、ここに繋がっていたんだなぁ…。」と、ドラマで付箋を回収していくような感覚。
楽しいだけじゃない。けど、辛い、苦しい、しんどいの中にあるからこそ感じる楽しいが、私にとっての料理だと思う。
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レミさんの「料理って楽しい!」とは少しニュアンスが違うのかもしれないけれど、「私も心から楽しんでますよ~!」と、声を大にして言いたい。