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品川女子学院の皆さんと学生向け家計簿アプリをLet’s make it!~文化祭発表までの裏側~

こんにちは!マネーフォワード 広報の石田です。

2021年6月、品川女子学院中等部の生徒から「私たちと共同で、学生向けの家計簿アプリを開発することは可能ですか?」というお問い合わせが届きました。
(※品川女子学院は、クラス単位で株式会社を設立する起業体験プログラムなどライフデザイン教育に力を入れている中高一貫の女子校です。)

中学生が企業に問い合わせるというのは、当時の自分の感覚からすると、とても勇気のいることだと思います。「立派だなあ」と思いながら話を聞いてみると、校内でお金に関するアンケートを取った際に、ある”課題”に気づき、そこから学生向けの家計簿アプリを開発したいと考えているとのことでした。

「これは面白い!」「ぜひ協力したい!」ということで、今回、アプリの企画からプロトタイプ制作を共同で進めることになりました。この共同開発を通して気づいたことや彼女たちが文化祭でアプリのプロトタイプを発表するまでの裏側について、当社のメンバーと品川女子学院の生徒の皆さんにインタビューしました!

<プロフィール>
■マネーフォワード
・亥子 友基
マネーフォワードエックスカンパニー/カンパニー執行役員
システムエンジニア、ITコンサルタントを経て、2018年マネーフォワードに入社。金融機関や事業会社と共に、その先の個人・法人のお金の課題解決をミッションとし、様々な共創サービスの立案・導入に関わる。長女はもうすぐ中学生。

・佐藤 忠輔(以下、ちゅうさん)
マネーフォワードエックスカンパニー/Money Forward X本部 UXデザイン部 MFSDグループ リーダー
千葉工業大学/大学院でUXデザインを学び、2016年にデジタルマーケティング企業にUXデザイナーとして入社。その後大手旅行代理店でのサービス企画などを経験し、2019年にマネーフォワードに入社し、2020年12月からはMFSDグループのグループリーダーを務める。

・遠藤 茜(以下、まめさん)
マネーフォワードホームカンパニー/HOME本部 デザイン部
大学・専門学校卒業後、ヤフー株式会社にUI/UXデザイナーとして新卒入社。その後、IT系事業会社3社に転職し、2020年にマネーフォワードへ入社。『マネーフォワード ME』を代表とするtoC向けサービスを主軸とするマネーフォワードホームカンパニーに配属。

■品川女子学院中等部の生徒の皆さん
尾田さん、黒須さん、高橋さん、勝又さん

始まりは、ふと気づいた自分たちの「お金の使い方」

石田:今回、文化祭に向けた起業体験プログラムで、”お金”をテーマに設定したのはなぜですか?

尾田さん:校内で、お金に関するアンケートを取ったのですが、約6割の生徒が「何にいくら使ったか分からずお金を使っている自覚がある」ということが分かり、お金の価値がちゃんとわからないまま大人になったらいけないなと思ったのがきっかけです。

石田:実際に、皆さんの普段の生活でも、使いすぎているなと思うことはあったんですか?

高橋さん:親からおこづかいを貰っても、コンビニでちょこちょこ買い物をしてしまって、気づいたらおこづかいが足りないということが周りでも起こっていました。
アプリを使って自分でお金を管理できるようになったら、無計画に使いすぎたなあと後悔することがなくなるのかなと思いました。

石田:自分たちのお金の使い方を課題視して、改善しようと思えることが素晴らしいですよね。テーマをお金に決めた後、マネーフォワードに問い合せしてきてくれたのはなぜですか?

高橋さん:自分たちで家計簿アプリの会社を調べる中で、マネーフォワードさんが利用者数1位という記事を見て、色んな人が使っているアプリなのかなと思いました。その他の会社にも連絡してみたのですが、実はマネーフォワードさんが唯一受けてくれたんです。

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(左:勝又さん、右:高橋さん)

黒須さん:他の家計簿アプリもいくつかダウンロードしてみたのですが、マネーフォワードさんのアプリが使いやすかったというのもあります。

石田:それは嬉しいですね!マネーフォワード側の皆さんは、今回なぜ協力してくれたのでしょうか?

亥子さん:僕は、10代の子がお金に対してどういうイメージを持っているのかを聞いてみたいと思いましたし、純粋に面白そうだと思ったからです。オンラインで皆さんがプレゼンしてくださった時に、「企画が想像以上にしっかりしている…!」と驚き、ぜひサポートしたいと思いました。

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(亥子さん)

ちゅうさん:僕も、亥子さんから話を聞いた時に、面白そうだなと思ったのが始まりですが、以前別の企業と”金融教育”をテーマに親と子の投資の体験をつくるサービスを考えていて、その時から金融教育に興味があり、今回の話を聞いて若年層のマネーリテラシーを上げる取り組みができないかなと思い、参加しました

まめさん:私は、ちゅうさんがSlack上のデザイナーチャンネルに投稿した「こういう話があるんですが、どなたか一緒にやりませんか?」というメッセージを見たのがきっかけです。もともと知り合いの人にデザイナーのスキルアップ支援をしていたんですが、大人だとすでにキャリアとか色んな経験があるので、そうじゃない学生たちに教えることに興味がありました。

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(まめさん)

コンビニではなく「推し」にお金を使いたい

石田:実際に、文化祭でアプリのプロトタイプを発表することを目指して、どのようなことから始めていったのですか?

ちゅうさん:まず、品女の皆さんにマネーフォワードの本社に来てもらい、UX(顧客体験)を考えるワークを行いました

石田:具体的にどのようなことを行ったのでしょうか?

ちゅうさん:「こういう機能がいい」「こういうことを実現したい」とか、皆さんの頭の中にあるものに対して、そもそもユーザーにどういう体験をしてもらいどういう状態になってほしいのか、というところから深堀りをしていきました
その後、普段の生活で「ここでお金を使いすぎてしまう」とか、「ここが課題だよね」というアイデアを出した上でコンセプトを作り、絵にしていきました。僕らは、皆さんが考えていることをきれいに整理する立場で、サポートしていたという感じです。

ワークショップ

ふせん

石田:実際に、生徒の皆さんは、どこが一番お金を使うポイントだったんでしょうか?

亥子さん:やっぱり”推し”じゃないですか?(笑)

ちゅうさん:遊ぶ時は”推し”にいっぱいお金を使って、学校生活では登下校時やお昼休みなど、お腹がすいたタイミングでコンビニに行って買い物してしまうという話でしたよね。

石田:ちなみに皆さんの中では何を推してる子が多いんですか?

尾田さん:色々あるんですが、韓国を推してる子がいたり、アニメとかジャニーズなどですね。

石田:今、若い世代で流行っている”推し活”というやつですね!

ちゅうさん:100円、200円とか、管理するほどでもないけど、小さな額が積み重なってくると、月の後半にはお金がない上に何に使ったか振り返ることができない。結果、”推し”などの、本当にお金を使いたいことに使えないというのが一番の課題になっていました。

石田:毎日気づかない程度の額でも、気づくと大きな出費になっているのはすごくよく分かります…。

親や友だちと「お金の価値観」を共有したい

石田:文化祭当日は、どのようなものを展示したんですか?

黒須さん:どういう工程で、どういうアプリを考えたかを模造紙にまとめて展示しました。マネーフォワードさんと共同開発しているということに興味を持ってくださる方も多かったです。

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(文化祭で展示した資料)

石田:それは嬉しいです!見に来てくれた方からは、どんなコメントがありましたか?

尾田さん:保護者の方からは、「娘に使わせたい」という声をいただいたり、生徒からは「これだったら使ってみたい!」と言ってもらえました。学生でも使いやすい家計簿アプリが世の中に存在しないので、同世代から好評をもらえたのは嬉しかったです。

石田:自分達が考えたものが、実際に役に立つんだって感じられると嬉しいですよね。学生目線で特に好評だったポイントはどういうところでしたか?

勝又さん:親からおこづかいを貰うために、毎月何にいくら使ったかおこづかい帳をつけて共有しないといけない子がいるのですが、私たちが考えた”親との共有機能”を使えば、毎回おこづかい帳に記録しなくても、スマホで簡単に共有できるから手間が省けて便利と言っていました。

親との共有画面小さめ (3)

(親との共有画面)

尾田さん:あとは、”友だちと共有できる機能”も好評でした!誰かに見られていると思ったらお互いにちゃんとやりそうだよね、みたいな(笑)あと、友だちと遊びに行こうという時に、”お金がない”というのも人によって感覚が違うので、それを言葉で伝えなくてもいいのは楽なんですよね。例えば、みんなの”お金がない”は大体1,000円くらいだと思うのですが、私の”お金がない”は、マイナス5,000円だったりするので…。

一同:(笑)

まめさん:親や友だちとお金の価値観を共有したいというのは、『マネーフォワード ME』にはない発想で面白いですよね。

亥子さん:10代とのカルチャーとも合っているんだなあと思います。特に友だちとの共有は、今時ですね。

尾田さん:自分の好きなことを親に理解してもらえないとおこづかいを貰えないので、例えば、自分の”推し”が自分にとってどれだけ大事かということを、使った金額など、言葉ではないかたちでうまく伝えられたらいいなと思います。

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(左:黒須さん、右:尾田さん)

アプリのアップデート
―「作った側が考えた”私たちの体験”」を意識するように

石田:今回プロトタイプを制作してみて、実際にどんなことを感じましたか?

勝又さん:私は、パソコンの使い方が分からなかったので、とくにタイピングが大変でした。でも慣れてくると、「こうしたい」という欲がどんどん出てきて、それを叶えるためにはどうしたらいいだろうって考えると視野が広がる感じがして、少しは成長できた気がします。タイピングはまだ指一本ですけど、それでも最初よりは早くなりました。

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(マネーフォワードのメンバーが品川女子学院校舎に伺い、
PCやAdobeXDの操作を教えている様子)

黒須さん:私も最初はパソコンの使い方が分からなかったんですが、タップしてページ遷移するためのボタンも、見る人が一目で分かるように簡潔で分かりやすい言葉にしないといけないんだなあと学びました。普段自分が使っているアプリも、デザイナーさんがそういうことをいっぱい考えてこの言葉になっているんだなあと思って見てみたり。おもしろかったです!

尾田さん:私は、みんながそれぞれ思っているやりたいことが、マネーフォワードの皆さんからヒントをもらって言語化できたときに、これだったらいける!と確信したときが一番楽しかったです。

石田:そのように言ってもらえて、私たちも嬉しいです。

高橋さん:あとは、最後にみんなでつくったものを見返した時、なんだかサンプル感が強くて…。やっぱり本当のアプリみたいなものを作ってお客さんに見せたいと思って、最後に何度も直しました。大変でしたけど、やってよかったです。

まめさん:私も正直ちょっと心配だったんですが、最後のみんなの追い込みのパワーがものすごくて…!いつの間にかクオリティが高いものに仕上がっていて、感動しました。

亥子さん:皆さんが使っているアプリで、クリエイター目線で視点が変わったなと思うことはありますか?

尾田さん:以前は、SNSアプリなどがアップデートされるたびに、「なんか使いにくくなっていない?」とか、「ここの位置を変えたのはなんでなの!?」と、ちょっと不満に思う時もありましたが、今は”作った側が考えた私たちの体験”みたいなものを考えるようになりました

まめさん:作った側としては、嬉しいですね!

ちゅうさん:不満に思われないよう、気を付けてアップデートします…。

一同:(笑)

10代の新しいお金の見方や、デバイスの使い方の違いを知った

石田:今回の取り組みを通して、今後のサービス開発などで活かせそうなポイントはありましたか?

ちゅうさん:普段、私たちが金融機関の方とサービスづくりをする際は、40~50代で投資やお金の管理もきちんとしている方と関わることが多いので、今回、10代の方がどういう価値観を持っているのかを知れたのが良かったです。特に、お金の価値観を共有するということについては、僕らだとクレジットカードを使いすぎているとか貯金がいくらとか、人に言いたくないことも多いですが、そういうのを人に共有するという考え方が新しかったです。
また、若いうちからこうやってお金のことを考える機会があれば、人生でお金に悩むことが少なくなるんじゃないかと改めて思いましたし、全体を通して事業に活かせる可能性がありそうです。

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(ちゅうさん)

まめさん:私は、最近のデバイスの使い方にこんなに差があるんだという気づきを得ました。私たちは、小学校の情報の授業でパソコンのタイピングから覚えましたが、今の子たちはスマホやiPadなどから触ることもあり、デバイスの入力の仕方が、声やタップフリックなどのもっと簡単な動作を意識していることに違いがあり、自分たちのサービスでももっとUIを考えなければと思いました。
また、10代の子は抽象的な考え方でお金を見ていて、親に交渉したり、友だちと支えあってお金を管理したり、お金を通して人とコミュニケーションするという新しいお金の見方を知れました。

亥子さん:僕も、10代の子の価値観を知れたのは貴重な経験でした。あと、みんな最初は分からないけど、少しアドバイスをしただけですぐに慣れて、ものすごく成長するんだなあと。学生のうちから企業とたくさんコラボしてサービスづくりを経験できたら、社会に出る前にスキルもいっぱい身につくと思いました。

石田:将来何をやりたいかを考える時の選択肢も増えそうですよね。ちなみに、黒板に貼ってある模造紙に書いてあるアプリのロゴは、皆さんが考えられたんですか?

Mロゴ

尾田さん:そうです!”M”は、アプリの名前であるMoney-gement(お金を管理する「Management」から考えた造語)のMで、真ん中の丸はお金で、”お金を通して私たちと家族や友人みんなが繋がっている”ということをコンセプトに込めました。

石田:とっても素敵ですね!!皆さんのアイデアは私たちにはない観点が多くて新鮮で、学ぶことばかりでした。数か月間でしたが、一緒に取り組めてよかったです。
本当にお疲れ様でした&ありがとうございました!


今回、品女の皆さんと学生向け家計簿アプリを制作してみて、世代によってデバイスの使い方やお金の価値観が大きく異なることが分かり、勉強になることが多かったです。

今回の学びをもとに、今後も、”すべての人のお金の課題解決”を目指し、さまざまな世代の方の生活に役立つ利便性の高いサービスを開発していきたいと思います!

集合写真

(左から:高橋さん、亥子さん、黒須さん、まめさん、尾田さん、ちゅうさん、勝又さん)

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