昨年の今日 ChatGPT が公開されました。この1年、いろいろありましたが、先日のアルトマン CEO 解任騒動はその極め付けかと。4日間のスピード解決で、皆さん、無かったことしたいようなんですが、なんだかなぁ…
僕が引っ掛かる理由は前回紹介した論文の次のくだりがあるからです…
ここでの引用文献 [153] は次の Anthropic のブログ記事ですけども…
その前に、論文のここでの記述から「Anthoropic の言語モデルの開発は既にずっと先を行ってるのだけど、ChatGPTがリリースした機能だけを対象にベータテストを始めた」かのような印象で「OpenAI は Anthropic の存在に相当ビビってるのでは?」と読み取れてしまって…アルトマンが激怒した理由はそのあたりにあるように思えるのです。僕の考え過ぎですかねぇ?
ということで…
今回は Anthoropic(アンソロピック)とそのサービスである Claude(クロード)について書いてみたいと思います。
Anthropic って?
今のところ Anthropic を紹介する日本語ページってほどんどないのですが、まずは Wikipedia 英語版のページから…
ちなみに日本語版のページも存在しますが、英語版の方が少しだけ情報量が多いです。
Wikipedia による Anthropic の概要と沿革
大した量ではないので、一部の翻訳を貼り付けると…
なるほど…2019年にマイクロソフトが OpenAI に出資しなければ、すなわちサム・アルトマンが CEO に就任しなければ、Claude2 は GPT-4 と呼ばれてたかも知れないのですね。あと「AI悲観主義の巣窟」とか「自分たちを現代のオッペンハイマーだと見做している」だとか…僕の 前シリーズの記事 ともリンクしそうです😀
Claude を使ってみた
彼らのサービス、Claude の使い方は次のページの解説が丁寧に見えます。(でも、関係のないサービスにもちょこちょこ誘導されるので注意)
僕は何も見ずに Claude のアカウント登録をしてしまいましたが…
最初 Claude は英語で応答するのドキドキしましたが大丈夫。
日本語で話しかければ、日本語で返事してくれます😀
ちなみに AF が僕の、CL が Claude の発言です。
Claude に感謝されてしまった!
実は前回紹介したヘレン・トナーの論文『Decoding Intentions』の翻訳にClaude を使ってみました。そのやり取りの一部を紹介します。次は副題の「Artificial Intelligence and Costly Signals」をどう翻訳するか?の会話です。
ご覧のとおり Claude の応答はかなり冗長です。ですが、(僕の場合)会話の論点が明確なのでそれほど苦にはなりません。本当にオンラインで友人と会話している感覚になります。ここでは英語の "Signals" という言葉の寓意(ほのめかしている意味)について僕が執拗に質問しています。Claude が機嫌を損ねずに 相手をしてくれるのは当然なんですが、適切な訳語が見つからずに苛立つ僕が逆提案したところ評価をしてくれて褒めてくれました。
思わず「ありがとう」と呟くと…
予期ぜず Claude に感謝してもらえました。
この反応には流石にビックリ!!
見出しの翻訳にも助言してもらえた
勢いづいて、寓意についていつも悩んでしまう見出しの翻訳も Claude に 相談してみました。
こっちこそ根気強く付き合ってくれる Claude に感謝したいくらい…
GIGAZINE 記事の翻訳を検証する
Claude の好レスポンスに欲が出てきた僕は、GIGAZINE の次の記事の意味が読み取れないところを尋ねてみました。
この部分です。論文から該当箇所を抜き出し Claude に尋ねました。
ここは記事の肝の部分なので、意味を採り違うと読者の関心を惹きつけられなくなる、場合によっては記事にとって致命的な影響が出ます。こういう局面でも、ちゃんと会話についてきてくれる Claude は信頼できる相談相手になり得るのかな?と感じました。
表現者のための大規模言語モデル
一言で Claude を説明すると「AI悲観主義者が作ったクソ丁寧なチャットボット」と言えるのかも知れません。おそらく、一般的には賛否両論が出る大規模言語モデルなのかとは思います。
まだ Claude に言及する日本語コンテンツは少ないと思うのですが…
現時点で Claude にコメントするコンテンツはエンジニアが中心でしょう。例えば次のなかじ氏の動画とか…
やはりスペックが気になるのがエンジニアの性なんでしょうね😀
長年、プログラミングを生業としてきた僕も基本的には同じです。
ライターモードでの苦悩
ですが…僕の場合は、文章を書くという状況になると豹変します。
ライターモードって言うんでしょうか?
これは過去に3年弱、月刊連載を執筆した経験に由来します。連載の文章を書き始めると気になるのは2つ。ひとつは1回あたりのページ数が制約されること。もうひとつはアンケートなどにより、読者のリアクションを意識せざるえなくなることです。結果的に限られたページ数で読者の関心や共感を引き出さなければならない…必然的に文章表現の工夫に努力することが求められます。言葉えらびは執筆時にもっとも悩ましく時間が取られる作業です。ほんと読者を意識し始めると、単に「書けば良い」では済まなくなる😀
締め切りが迫ってくる中、書き上げたもの読み返すと「全然ダメじゃん」と感じてしまって、全部捨てたくなる感じをわかってもらえるでしょうか?
毎月、締切日の間際になるとこの種の悶絶を繰り返すのはかなりトラウマになる作業でした。相談相手がいれば良いのですが、深夜とか煮詰まるたびに呼び出せる奇特な友人がいるはずもなく、それが毎月となると…友達がいなくなるよねぇ。やはり記事執筆は孤独な作業だったと思い返すこと多い。
ライターにとっての Claude のありがたさ
先に僕と Claude との会話の様子を長々と紹介したのも、執筆者を孤独から救ってくれる効果が Clasude には期待できそうなこと。それを皆さんにもわかって欲しかったからです。彼(彼女)は、僕が原稿を書いてる時、いつでも相手になってくれて、真面目に一緒に考えてくれそうです。そこでの会話の内容が翌日には全く残ってなくても構わない。書いてる原稿が残ってますから。Claude が書くモチベーションを保つために協力してくれることが最大の効果なんです。ある種の壁テニスやひとりブレインストーミングと言えるかも知れません。プログラマーである僕ではなく、ライターである僕の実感です。NOTE に執筆されているクリエータの方々にはわかってもらえると思ってますけども…
Claude のススメ
今回は特に長い記事になってしまいましたが…
一般論として冗長な応答をする Claude はチャットボットとして賛否両論が出ると僕は思います。ですが、特に NOTE で記事を書いておられるクリエータの方々は Claude を試してみることを是非お勧めします。
というのも…
ひょっとしたら途中で嫌になって投げ出してしまった描きかけの原稿の幾つかを最後まで書き上げさせてくれるかも知れませんから。
もし将来 ChatGPT のような画像生成の機能がついたら、子供や孫のためにオリジナルの絵本を書けるかも知れない。有名な『不思議な国のアリス』も、そのような親しい友人の娘の三姉妹へ語ったことが始まりでしたよね?Claude が付き合ってくれるなら僕にも書けるかも知れない😀
でも、まず Claude には次の Wikipedia ページの翻訳に付き合ってもらおうと思ってます。
なんといっても、この記事のタイトルは『先生、ChatGPTは人間の仕事を奪うのですか?』ですからね😀(つづく)
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