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Book Challenge 7: The Rising Sun: The Decline and Fall of the Japanese Empire, 1936-1945

7日間に渡っての本の紹介の最終日。単なる自分のお気に入りだけでなく、noteのマガジンの主題に沿って、グローバルに活躍することを目指す若者に勧めたいものを選んできた。戦争の記録を取り上げて締めくくりとしたい。多様性を尊重するには、物事を客観的にかつ様々な立場から理解できることが大切だからだ。

客観的な事実は一つでも、1) その解釈は立場によって異なる。子どもの頃、喧嘩をしたときは、相手の立場になって考えるように、親からきつく言われてきた。自国が関わった戦争の歴史を相手国の立場から理解できることは、グローバル社会で生きて行くには必須だと私は思う。2) 代々語り継がれてきた「事実」は、真実からずれてくる。 「伝言ゲーム」を体験すればわかるであろう。一次情報に基づいて理解することが重要だ。歴史の重大局面に居合わせた当人の証言や、徹底的な取材や調査に基づく書物だ。

ここにあげたThe Rising Sunはピューリッツァー賞受賞作品である。

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日本の政治が軍部に握られる出だしの二・二六事件の前日にはじまる。太平洋・アジア各地での激戦の詳細が、兵士一人一人の目線で、しかも連合軍側と日本側、双方の視点から描かれている。その一方、ルーズベルトやチャーチルなど政治のトップ、日本の内閣・軍幹部・枢密院と天皇の微妙な力関係から天皇が終戦を決断するまでの詳細までも描かれている。

日本語版は、文庫で5冊に分かれている。

ただし本書だけで、客観的に多様な視点で事実を把握できるとは思わない。だから私はかなりの数の太平洋戦争関連の本を読んでいる。最後にそのいくつかを列挙した。

歴史が大嫌いだった私が、歴史本を読むようになったのには明確なきっかけがあった。Daytonのアメリカ空軍博物館で見たB-29と、原爆の模型展示につけられていた「日本を降伏させるための正当な手段だった」との説明だ。聞くところによると、アメリカの学校ではそのような教育もなされている。

アメリカ赴任の帰路、ハワイへ立ち寄った際には、真珠湾に沈む戦艦アリゾナ・メモリアルのツアーにも参加した。日本人は私たち家族だけであった。

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そして今住んでいるのはシンガポール。シンガポール人のほとんどは親日だが、ここはかつて大日本帝国が3年半にわたって占領し、中国国民党(台湾の元々の流れ)支持や、イギリス植民地政府に協力した一般人が粛清された場所だ。犠牲者の数は2万人とも10万人とも言われている。

その一方日本では、広島・長崎以外の東京大空襲などを「非戦闘員の大量虐殺だ」と非難する論調は皆無だ。学校で習ったことだけを鵜呑みにしていると、歴史の真実は見えてこない。

断っておくが、私は右でも左でもないしアメリカ支持でもない。歴史の真実にできるだけ近づき、客観的にかつ様々な立場から理解することの重要性を指摘しているまでだ。

以下に、私がこれまでに読んだ、徹底的な取材や本人の証言による記録をあげておく。日本語版があるものは併記してある。

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