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「英語全くダメ」から「英語で寝言」になれた8つの方法

現在の私の生活は、家族と話す意外は全て英語だ。読書、ネットサーチ、YouTubeを楽しむのもほとんど英語。私のメモは全て英語。頭の中で考えるのもほぼいつも英語。妻によると私の寝言はいつも英語。 英語で本も出したし、シンガポールの学校に出張講義をしたこともある。もちろん仕事では読み書き、話す聞く、全て英語。職場ではGlobal English。常に出身の異なる人たち(30か国以上)と仕事をしているから、どんな英語訛りも大丈夫。

しかし以前の私は、英語が全くダメ。英語の成績は最低の最低。その証拠が下の写真、大学三年のときの教科書への書き込みだ。専門用語でもない簡単な単語や文の意味が全くわからなくて、最初のページで挫折した。当時はもちろん会話なんてまっぴら御免だった。

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Smith et al, Principles of Biochemistry - General Aspects, 7th Edition, McGraw Hill

こんな私でできたのだから「英語は誰にでもマスターできる」と断言し、ここに必要な心構えと勉強方法をまとめた。

WANT is the engine of learning

英語はコミュニケーションのための手段だ。誰と何について意思疎通したいのか、具体的に目的を設定することが大切。これなしでは勉強は長続きしない。

私の場合、「英語さえできれば、アメリカへ仕事で行かせてやれるかも」という上司の一言がきっかけで、アメリカへ行って仕事をしたいという目的意識が芽生え、英会話スクールに通い始めた。英語嫌いだった自分が嘘のように、英会話学校を優先したスケジュールを組んだ。半年くらいで、アメリカ人の役員と研究報告会で質疑応答できるくらいにはなった。自分自身の中にWANTがあるかないかは、学びのスピードに大きく影響する。

赤ちゃんに学べ

言葉を習得するプロは赤ちゃんである。赤ちゃんは生まれた瞬間から、起きている間中ずっと周りの人の言葉を聞いている。親の言っていることを少しづつ理解できるようになる。「お腹すいた」などの意思を伝えようと一所懸命だ。やがて自分でも言葉を発するようになり、伝えようと何度も繰り返す。「理解したい」「伝えたい」という欲求が学習の原動力になっている。英語学習者の大人は、これを真似すべきなのだ。私はミーティングでは意識して発言するようにした。わからないことは恥も外聞も捨てて聞く。

そして幼児期には文字を読めるようになる。親からどうやって文字を習っただろうか?いかに本を読めるようになったか?どうやって文字を書き、短い言葉を書き、やがて長い文章が書けるようになっただろうか。この自然な学習プロセスを英語学習でも踏襲すればよいのだ。私は仕事ではとにかくメールでのコミュニケーション。本も多く読んだ。仕事に関連する勉強、趣味の本など、自分が興味をもてるものから始めるのがコツ。

Listen, speak, read, then write

英語学習の最適な順序は、聞く→話す→読む→書くだ。コミュニケーションのための英語を身につけるには、会話に重点を置くこと。学校の英語は一旦忘れた方がよい。

私はアメリカで一人暮らしをしていたときは、とにかく家ではテレビを見ていた。ネット時代の前、1993年のことだ。

ただし、学校英語で文法や単語を知っている大人は、読み書きから得たボキャブラリーを会話で使ってみることで、より効率よくそのボキャブラリーを身につけることが可能だ。

会話の時間を集中して作る

何かのスキルを身につける訓練には、一回の時間を十分に確保し、内容を濃密にすることと、毎日繰り返すことの組み合わせが重要だ。忘れる前に繰り返すことで記憶に定着し、やがて「自分のモノ」となる(Fig. 1)。

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Figure 1. Forgetting Curve, original source: Online Flashcards and Games - Learn YOUR Words!

私は、英会話スクールの予約の全てを1-on-1(先生との一対一)レッスンにした。その理由は単純。4人のグループレッスンだと、50分の授業のうち、自分の実践時間は12分程度であとは無駄な時間だからだ。

デジタル社会の今なら、英会話スクール以外にも、タダで訓練する方法はいくらでもある。meetup.comやFacebookで興味のあるグループを英語で検索してみたら良い。自分で勝手にボランティアで観光ガイドをやったっていい。互いに自分の言葉を教え合うパートナーを見つけるためのサイト(例:myLanguageExchange.com)も多数ある。

何らかの方法で毎日、会話の時間を十分に確保することが重要だ。

一緒に学ぶパートナーを見つける

英語はコミュニケーションの道具だから、会話には相手が必要だ。読み書きもメールなど相手があったほうがスキルアップには効果がある。

私の最初の修羅場は、アメリカでの一人暮らしで仕事をしていた時だ。しこういう経験に恵まれない人なら以下の方法で代用できる。

英語をマスターしようという共通の目標をもったパートナーを見つけること。職場でも友達でも家族でもいい。できるだけその人と長時間過ごすことが大切だ。そしてその人とのコミュニケーションは、読み書き話す聞く、全てを英語にすると決めてしまうこと。一旦決めたらすぐ実行。

私は10年ほど前、まだ日本にいたころ、職場の上司と英語で話す取り決めをした。その時の目的は、周りの新入社員のための英語環境をつくることであったが。英語が二人の間で恥ずかしくなく、自然に感じるようになるのには1日かからなかった。逆に社外の人を交えた時など、日本語になると違和感を覚えたものだ。

英語は英語で勉強する

英語を英語として理解する脳の回路を形成すること。そのためには徹底的に英語漬けの毎日にすること。最初は難しいのは当たり前。幼児向けの英語の本を読むのもアリだが、私のおすすめは、自分の興味のあることを、本なりウェブサイトなりで見つけ、それを徹底的に攻略することだ。映画もYouTubeビデオも英語に限定だ。

そして辞書は英語辞書を使うこと。英単語が別の英単語で解説されている。それを理解できなければ、それをさらに辞書でひく。わかるまでこの繰り返しだ。英語辞書はアプリである。Oxford Dictionary of English、American Heritage Dictionaryなどだ。英和辞書に頼らないケジメが必要だ。

英語を日本語で解説した教科書やTOEIC対策本などは、実践英語の観点からは最も効率が悪い。英語を日本語で理解する癖が抜けないからだ。通訳者を目指すのでない限り、日本語でなんというか知らなくても困ることはない。そもそも英語と日本語が一対一で対応している言葉のほうが少ない。英語をマスターしてくれば、英和・和英辞書の訳語がしっくりとしないことがわかってくるはずだ。

覚えるのではなく、使いこなして身につける。

ボキャブラリーを増やしたければ、たくさんの本を読むこと。しかも様々な分野にまたがって読むこと。英語辞書片手に読んだら良い。ボキャブラリーは徐々に増えてくる。新しい言い回しを知ったら、会話で使ってみること。メールで使うのも良い。高度な文法を身につけるのも、実際に使うことを繰り返すことで本物になる。反復訓練が大事なのと(Fig. 1)、コミュニケーションの道具としての英語なのだから、相手に伝え、フィードバックをもらうことも大切だ。

近道はない。受験で鍛えた「単語・熟語の暗記」という方法がいかに無意味であったか、痛いほど経験を積んだはずだ。急がば回れなのだ。小学校から高校にかけて、自分が日本語の大人のボキャブラリーを得た過程を踏襲すること、つまり実際に英語を使うことが大切だ。

英語づけになる環境を作る

使いこなすためには、圧倒的に英語にふれる割合を増やすこと。

まずはスマホとパソコンを英語モードにしてしまう。メニューもヘルプも全部英語になる。GoogleやSNSのアカウント設定も英語にする。そうすれば検索窓も英語になる。もちろん日本語でも検索できるが、英語をなんとかしたいのだから、検索ワードは英語のはずだ。

SNSを英語で発信し、英語でやりとりする相手を増やす。話してみたい相手をみつけたら、いつでもビデオ通信で会話はできる。英語のためよりは、趣味の世界から広げるのがよい。

メモを英語でとる。日本語で会話しながら、英語でメモをとるのは高等レベルだから、はじめはお勧めしない。まずは、英語で会話しながらメモを英語でとることだ。これで英語で聞いて、英語で考え、英語で発信(話す、書く)する脳の回路が作り始められる。毎日つづけることが大事だ。

まとめ

以上が、「英語全くダメ」から「英語で寝言」になるまでの私の英語マスター法だ。繰り返すが、近道はない。莫大な時間の積み重ねと、実際に英語をコミュニケーションの道具として使用することがモノをいう。

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