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精神障がいの評価?GAFについて紹介。

 精神看護の研修を復習しているエポナです。
医療従事者の方はご存知かもしれませんが、精神障がい者の方の全体的な機能を評価する指標としてGAF(Global Assessmennt of Functioning Scale)というものがあるようです。お恥ずかしながら私は初耳でした。

 米国精神医学会の診断基準だそうです。0〜100のスコアで客観的に精神機能の評価をしていきます。精神科訪問看護ではこの数値を報告書などの書類に記載することが算定要件となっています。ところどころアメリカナイズされていて興味深かったので紹介していきます。

一覧はこちら(拡大してご覧ください)

スコアが低いほど重度の障がいです。

それぞれ具体例を交えて解説されているので引用していきます。

0:情報不十分

10-1:自己または他者をひどく傷つける危険の継続(例:暴力の繰り返し)、
または最低限の身辺の清潔維持が持続的に不可能、またははっきりと死の可能性を意識した重大な自殺行為。

→自傷他害のリスクが高く入院適応となるかと思います。

20-11:自己または他者を傷つける危険がかなりあるか(例:はっきりと死の可能性を意識しない自殺企図、しばしば暴力的になる、躁病性興奮)、または時には最低限の身辺の清潔維持ができない(例:大便を塗りたくる)、またはコミュニケーションに重大な欠陥(例:大部分滅裂か無言症)

→リストカットやODなどの自傷行為も含まれるとのこと。強い緊張状態で震えながら大量に汗をかき、一切何も話さない患者さんはいました。

30-21:行動は妄想や幻覚に相当影響されている。またはコミュニケーションか判断に重大な欠陥がある(例:時々、滅裂、ひどく不適切にふるまう、自殺の考えにとらわれている)、またはほとんどすべての面で機能することができない(例:1日中床についている、仕事も家庭も友達もない)。

→うつ病や統合失調症などの急性期の症状に該当するかと思います。症状のコントロールが必要そうです。家庭や友達がない、というのはアメリカではより重症と判断されるのでしょうか。

40-31:現実検討かコミュニケーションにいくらかの欠陥(例:会話は時々非論理的、あいまい、または関係性がなくなる)、または仕事や学校、家族関係、判断、思考、または気分などの多くの面での重大な欠陥(例:抑うつ的な男が友人を避け、家族を無視し、仕事ができない。子供がしばしば年下の子供をなぐり、家庭では反抗的であり、学校では勉強ができない)。

→何とか社会生活にしがみついているけど正常に機能できていない状態ですね。いきなり出てくる「男」がちょっと怖いですが。一応この40点以下までが重症と定義されています。

50-41:重大な症状(例:自殺念慮、強迫的儀式が重症、万引きの常習)、または社会的、職業的、または学校の機能におけるなんらかの深刻な障害(例:友達がいない、仕事が続かない)

→自殺念慮や強迫的儀式(やらないと気が済まない)などは、健常な方でも深刻なストレスを抱えると出現する症状ですね。

60-51:中等度の症状(例:感情が平板で、会話が回りくどい、時にパニック発作がある)、または社会的、職業的、または学校の機能における中等度の困難(例:友人が少ししかいない、仲間や仕事の同僚との葛藤)

→私はこの辺りに当てはまりそうな気がします。症状が日常生活に負の影響を及ぼしている段階ですね。生きづらさを感じている人は該当するかもしれません。

70-61:いくつかの軽い症状がある(例:抑うつ気分と軽い不眠)、または社会的、職業的、または学校の機能にいくらかの困難はある(例:時にずる休みをしたり、家の金を盗んだりする)が、全般的には機能はかなり良好であって、有意義な対人関係もかなりある。

→一気にポジティブな言葉が増えましたね。多くの社会人がこの辺りに当てはまるでしょうか。ただ「家の金を盗む」というのはアメリカンキッズ界隈では常識なのか…

80-71:症状があったとしても、心理社会的ストレスに対する一過性で予期される反応である(例:家族と口論した後の集中困難)。社会的、職業的、または学校の機能にごくわずかな障害以上のものはない(例:一時的に学業で遅れをとる)。

→普通の人ですね。失恋した、ペットと死別した際などに強く落ち込むといった一般的に理解できる反応を「了解可能」と表現したりします。これらは正常な反応です。

90-81:症状がまったくないか、ほんの少しだけ(例:試験前の軽い不安)。すべての面でよい機能で、広範囲の活動に興味をもち参加し、社交的にはそつがなく、生活に大体満足し、日々のありふれた問題や心配以上のものはない(例:たまに家族と口論する)。

→陽キャですね。文章からしてキラキラ楽しそうです(白目)

100-91:広範囲の行動にわたって最高に機能しており、生活上の問題で手に負えないものは何もなく、その人に多数の長所があるために他の人々から求められている。症状は何もない。

→  I'm a perfect human🕶️


 いかがでしたでしょうか。こうしてみてみるとスコアが70以上の方はあまり多くないのかなと思いますし、ライフイベントや置かれている環境、体調によっても大きく変動しそうですよね。自分はまったくのダメ人間だと漠然と考えるより、こうやって数値化してみると少しモヤモヤが整理されるなぁと感じました。皆さんの周囲に100点の人いますか?パッと浮かばないですよね。誰だって大なり小なり悩みながら生きていること、「完璧な人なんていない」ということを再確認できて少しホッとします。

 症状が日常生活に干渉してきて負の影響を与えている、社会生活に支障が出ている場合には治療対象となりますが、それだってやはり曖昧な基準で個人のキャパシティも異なる。精神的に何の問題もない人間はいないんだという事実だけでも変人である私には慰めになります。

 このスケール、ところどころにアメリカらしさが滲んじゃってるのでぜひ日本版も作成してほしいですね笑。

 
 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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