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【-17回】本郷和人「上皇の日本史」

本郷和人「上皇の日本史」を読み終えた。

なぜ上皇が存在したのか。
なぜ院政があり、なくなったのか。

中公新書ラクレだから気楽に読めるだろう。
ところが、結構深いところまで書かれていた。高校日本史教科書を見直していなかったら、わからなかったのではないか。

外国は「人」より「地位」を重んじる。
しかし日本は「地位」より「人」を重んじる。
知らなかったことが多く、おもしろかった。
ただ、著者は、研究会でも少数派の立ち位置にいるらしい。
そのため、他の研究を読む必要はあるだろう。




知り得たこと

・持統天皇が初めての上皇。自分が望む血統を残すため上皇に即位。

・平安時代、貴族は過去の行事を繰り返すだけで、新しいことも興味なく、今を生きるだけ。むしろ新しいことは悪。年中行事の見方も変わってしまった。

・土地と税と支配の関係をおさえておくことが、日本史でとっても大切。

・摂関政治のもろさ。いくら娘を皇族にあてがえても、息子が生まれなければ、崩れてしまう。

・天皇家の頂点にいるものが上皇として権力を握った。院政とはいえ、権力は強くなかった。

・鎌倉時代になり、朝廷は天皇の権威だけでは誰も税を払ってくれないことに気づいた。サービスの提供を開始した。

・鎌倉幕府を倒す!といったばかりに後醍醐天皇は浮いてしまった。

・永仁の徳政令は、とんでもない法令だった。→徳政令を改めて知りたい。

・鎌倉幕府は後醍醐天皇の一声ではなく、勝手に崩壊した。

・足利義満は天皇をこえる力を手に入れた。

・新しいシステムが生まれないために、天皇は存在し続けた。

・応仁の乱後、お金がないので、上皇を即位する礼もできず、上皇になることさえできなかった。

・織田信長は生きていたら天皇家をつぶしていたかもしれない。

・江戸時代、後水尾天皇が上皇になったのは、江戸幕府にキレたからだった。

・江戸時代、生活が高まると、歴史などを学び始める一般の人々が増えてきた。すると、天皇というのは実は、昔から日本の歴史とともにあるということが知られるようになり、将軍よりも偉いんじゃないの?という思想が高まった。

・光格天皇が現在に続く、天皇家の式次第を整備した。また、光格天皇以後、生前退位は行われなくなった。→今上天皇が平成31年で生前退位!

・明治から上皇をおかず、終身在位となったのは、人物重視の日本の流れで、上皇と天皇がいると、上皇派と天皇派にわかれて国が分断されてしまう可能性が考えられたから。

・明治以降は、天皇には権力を与えず、政治の場から距離を置かせるようにした。単に国家をまとめる存在とした。→今の象徴天皇につながる。

・明治以降、国民は天皇と生きるという社会になっていき、天皇が時間となった。だから、明治が終わったらひとつの時代が終わるという捉え方になった。




僕は天皇家が好きだ。
災害があって、天皇が被災地を訪問された時の映像を見たとき、なぜかジーンときた。
天皇家は続いてほしい。
天皇家がなくなったら、内閣総理大臣をはじめ、政治家が独裁しているイメージが強くなってしまうのだ。
ただでさえ、能力ではなく、世襲で政治家が決まっているような感覚があるのに。




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