見出し画像

【0回】トルストイ民話集を読む(181224)

クリスマスイブ。毎年きちんとクリスマスを迎えることができることに感謝。やはりこの時期、心が穏やかになる。

さて、クリスマスの物語ではないが、同じキリスト教のものとして、
トルストイ著、中村白葉訳「トルストイ民話集 人はなんで生きるか」(岩波文庫、1932)を。

実際に読み終えて感想を記したのは、2018年12月5日。


「人はなんで生きるか」「火を粗末にするとー消せなくなる」「愛のあるところに神あり」「ろうそく」「二老人」の5篇。

岩波少年文庫で「人はなんで生きるか」「愛のあるところに神あり」「二老人」を読んだので、残りの2篇の感想を。


「火を粗末にするとー消せなくなる」

「おまえたちは何をしているだ、子供たちよ?すぐこんな争いはきれいに水にながしてしまうだ、仕事をうっちゃりぱなしにしちゃいけねえ。そして腹を立てるでねえ。そうすりゃ万事よくなるのだ。そうでなく、腹を立てれば立てるほど、ますますいけねえことになるだぞ」(p63)

忠告を無視して、けんかし続けるイワンとガブリール。彼らは隣の家同士。ひたすら続くけんかの結果は。大火事だ…。

「もしだれか彼にわるいことをする人があっても、彼はそれに仕返しをしようなどとは考えないで、事をいいほうへ向けるようにと心がけた。また、もしだれか彼の悪口を言う人があっても、彼は決してそれ以上の悪口を返すことはしないで、相手に悪口など言わないように教えることを心がけた」(p85)

許すことが安寧につながる。しかし許すことに耐えていけるだろうか。そもそも耐えるというのは、相手に怒りを感じるから起こることなのかもしれない。


「ろうそく」

「もし悪を滅ぼすのに悪をもってしてもいいものなら、神さまがわしらにそういう掟をお与えくだされただが、そうでねえから、べつの仕方が示されてあるだで。おまえが悪をもって悪を滅ぼそうとすれば、それはおまえに返ってくるだよ。」
「災難には負けているがいい。そのうちには災難がおまえに負けるようになるよ」(p123)

なるほど。災いが、負けてくれるというとらえ方は、したことがなかった。
悪には悪ではない。悪には、正しい態度で待ち受けるということか。
強い思いと、勇気があれば、目的に向かって歩んでいけるだろうか。