障害者雇用で3ヶ月④ 就労移行支援事業所のおじいちゃんと面談
私の面倒を見てくださっている社員さんからある日メールが届いた。
それによると、どうやら私が通所していた就労移行支援事業所のスタッフが2名、会社までやって来るのだという。
いついつ何時から面談をするので同席してください、とのことだった。
なにか問題行動でも起こしてしまっただろうか、いったい何を話すのだろうかと思ってハラハラしていたのだが、
当日スタッフのおじいちゃんが開口一番元気よく切り出したのは、今うちの事業所にがんばっている人がいるんです!ぜひ次も雇って!というアピールだった(笑)
その後も私の話は一切出ず、次の採用はいつなのかとか、
求人を出すにはこういう方法にしたほうがよいとか、
ここ数年で法定雇用率が上がるよとか、
よく分からないのだがとりあえず場がなごむ雰囲気を作り出したのだった
(社員さんは戸惑っていたが)。
そのあとでおじいちゃんはおもむろに「では、(私と)お話をさせてください」と切り出したので社員さんは退席されて、私の調子くんだりをしゃべることとなった。
つまりなんでもない話から始めたのは、社員さんがいたらしゃべりにくいだろうという私への配慮だったのだろう。
30分ほどざっくばらんに近況を話して、半年経ったら就労定着支援があるからよかったらうちに来てねというアドバイスをいただいて、おじいちゃん達はニコニコしながら帰っていかれた。
おじいちゃんのいうように、就職して半年経つと事業所に定期的に出向いて専門員と面談をするという制度がある。
前々から「来るといいよ」と言われていたり、ほかの障害者の先輩も1~2ヶ月に一度面談に通っていると話していたりしてなんとなく知っていたので、私もいずれはと思っていた。
しかしなにより、今の会社が全面的に賛成してくださるのも大きい。
人事部でお世話になっている障害者の先輩はOutlookのスケジュールに「就労定着支援に行く」と公表し、15:30くらいに「事業所行ってきます」と周りに伝えてあがっていかれるくらい、ほかの社員さんたちにも通所はオープンに認められていた。(通所のときは就業時間に関わらず、面談が終わったらそのまま帰っていいのだという。)
これは温かい体制でなんともありがたい。
制度を活用することになんら後ろめたさを感じなくてすむのだ。
そして実際のところどんな話をするのかを社内の何人かの障害者に聞いてみると、みな口をそろえて「たわいもない話」とにこやかに答えてくる。
たわいもない話をするために、堂々と早上がりして直帰するのか、会社も全面的に応援するのはどういうことかと首をかしげだのだが、
さっきのおじいちゃんは、「職場では言いにくいこととか溜めこむより外に出した方がいい、外部だから言いやすいしね」と言っていた。
よくよく考えてみると、会社にとってもストレスを溜めこまれるより外でガス抜きしてもらってさっぱりしてから業務についてくれるほうが、よっぽどいいのだろう。
ほほう。
これはもう、ほぼほぼ通う気になってきた。
はやく半年経たないかな。
堂々と早上がりできるし帰りに寄り道したりできるし、月に一度のお楽しみになれば、朝の出勤も鼻歌交じりでスキップしてるくらい明るい1日になるかもしれない。
もうこうなると行くしかない。
決意をあらたにして、申請書が届くのを心待ちにしているのである。
追伸:
おじいちゃんから面談の数日後にメールが送られてきた。
「先日の訪問時、顔色も良く、職場に
溶け込まれている感じを受け、安心しております。」
就職が決まるまではこの先どうなるか不安で自信がなくて、側から見る私はおどおどしていたのだろう。
だから以前の私を知っているおじいちゃんの客観的なコメントを読んで、私も心の底から安堵したのだった。
ーーーーー続く