アンインストール”お父さんは何でも知っているの呪い”
松永まい VS 38億人の男たち
終戦 玉音放送
癒しの道に足を踏み入れてから、パートナーシップ、恋愛を通してかなり長いこと取り組んできたテーマ
この世の全ての男性との、永遠かと思えた戦争
そんな第2次宇宙対戦にポツダム宣言とともに無条件降伏を言い渡したわたしは、その後あれほど抜けられなかった父への嫌悪感から、好きなひとへの怒りから過去に遡って、遂につきあってきた全ての男の許せなかったところを受け入れることができた。
(そんで普通に(とはまあ言い難いがいつも通り)恋人からメールが来るように。)
38億人の男たちに、負けを認めることは、完全に降伏することは、自分にとって、その壁を二度と越えることを手放す・諦めることを意味していた。
この世界のアホな男たち38億人を前に一生越えられないかもしれないという恐怖をやっとこさ抜けた2017年の春のこと...
○
小さかった頃、純真無垢だった不器用な少女は
「お父さんは何でも知っている」
というその呪われた呪文を、物心つくかつかないかか疑うことなく信じていた。
お父さんに何かを訊いたときに、普通に
「わかんない」と言われて
(お父さんは何でも知っているんじゃなかったのか?)
とパニックに陥ったことが何回もあった気がする。
微笑ましく残酷である。
しばらくして思春期にでもなれば、
「”お父さんは何でも知っている”とか、なんでそんな嘘八百を信じていたんだろう?
そんなわけないやないか...」
と自然に目が醒めてもいいところを、実際のところ私は文字通り、30代後半にさしかかる今の今まで信じていた(または信じていたかった)のであった。
父は善良な人間である。ひとを騙したり、カッコつけたり、見栄をはったりしようなどと生まれてこのかた一度も考えたことのなさそうな平和な人間。
しかしわたしは、意識上にも苦しさと確執のあった、長年の母からの呪縛だけでなく実際は、無意識の下で、その善良な父の完全支配下にいたのである。
癒しというのは見事なもので、その前の年に「母」との確執に徹底して取り組み続けた結果、本当に母に対してあっけらかんとした感覚だけが残った。
乾いたスカスカの菓子くらいに風通しがいいのに、ちゃんと食べたらしっかり甘いみたいに、ちゃんと愛情を感じられるところがすごいよなとおもうほどに。
母に対しては、小さな頃から苦しさ・実際の関係の悪さやその他の激しい怒りや悲しみを抱えていたので、癒して当然の部類だったが、ひとは洗脳されているときというのはそこに何か問題が潜んでいることすら気づかないものだ。
それが私と父だった。
2017年の春。好きなひと(山下シリーズにでてくる野々村さん)と復縁したのちに、なぜか爆発的な怒りがとめどなく溢れだし、収集がつかなくなっていた。
ぶつけてもぶつけても、それはシラミのように沸き続けるばかりで
そしてその怒りは、彼に対してではなく
「善良な顔して娘を騙し続けやがって」
という無実の父への逆恨みであることがそのうち明らかになった。
感情を、出して出して、現実の出来事も消化し続けて、
家族や恋愛を司る星、蟹座の力を借りてパートナーシップと父親との関係全てを丸ごといよいよ片付ける最後の段階で、
それは
この世の男たち全員へ向けた無条件降伏となったわけである。
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