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Eat, Live and Love.

<マガジン味付>ジャンク☆☆☆☆☆ 甘さ☆☆☆☆ 外国で暮らしたときにみつめてきた風景や、瞑想に参加したときの記録・海外出産のときに目にした出来事などをストーリー仕立てでお届け…
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#女神の台所

Eating, me and...

ごはんを作るシゴトをしている。 毎日、毎食、毎回真剣だ。 何十食も立て続けにフライパンを振っていると 次第にやっつけシゴトになってくる。 レストランで働いたことのあるひとはわかるとおもう。 日々当たり前に 山のように捨てられる残り物や食材達。 にんじんの端っこや 容器からあぶれたインゲンは まだ人の口へ行くのを楽しみに待っているのに 色んな理由から 次々とゴミ箱へ捨てられてゆく。 だから私は一日に 何十本ものにんじんやたまねぎを 腕に抱えてめちゃくちゃに愛を注

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はじまりの朝

おむつの濡れた、鳴き声を長い時間聴いて 遅くおきる朝 ゆっくりおきて はじまりの朝を迎える いつもと違う朝 いつもと同じ朝 安い、雑な black teaじゃなくて 美味しい紅茶を淹れよう。 山もりに散らかった カウンター下のお茶コーナーを漁って 長いあいだ足を運んでいないお茶好きの店主のお茶やさんで買ったお茶の袋がいくつか、目に入った。 ひとつに、「始まりの福紅茶」と書いてある。 丁寧に、白いホーローに湯を沸かす。 湯、ひとつ沸かすのも、もちろん丁寧

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”それでいい、わたしの人生”

”少しの野菜とくだものと、そしてハグとキスがあればそれでいい、 わたしの人生。” 2010年頃から長い間 掲げていた、わたしのタイトルがこれだった。 その生活は ほんとうに シンプルなもので でも質素だったが 地味ではなかった。 わたしの料理のひとつのルールに どこまでもシンプルに、 でも決して野暮ったく地味にはしないというものがある。 それはいつも、 洗練されていてほしい。 それはいつも、 美しくなければいけない。 それがあって 初めて

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Champagne grapes

わたしが ニューヨークなんて場違いな場所に住んでいる理由というのは 10個か500個くらいあるのだけども そのうちのひとつは やさいとくだものが、 日本よりもよっぽど安くてクリーンなものが たらふく食べられるというとこにある まあ世界のどこもかしこも オーガニック流行りにゃ変わりないのだろうけど 日本に帰ったときに 食べ物がとっても割高で にんじん一本100円した日にゃ 目玉が飛び出るほど驚いてしまったのをおもいだすわけです ◯ 季節ものの小さなつぶつぶ

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夢は、アイスクリーム屋さん

 Put your records on/ CORINNE BAILEY コリーヌ・ベイリー・レイ「プット・ユア・レコーズ・オン」 コリーヌの一番大好きな曲。 嬉しいときも、気楽なときも、悲しいときもずっと大好きで 昔も今もずっとかわらずに好きな聴いてきている曲。 わたしはものすごく根暗なんだけど、 そのもっと奥は相当な根アカなんでしょうね。 なんていうか、悲観してセンチメンタルに浸り、 悲しみ泣いて、ロマンチックに自分の陰の部分にどっぷり溺れて 海のそこを泳ぐの

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レモン味のキスと月夜のアーティチョーク

マンハッタンの島から出て一駅くらいの Queensboro Plazaの駅で、黄色から紫の線に乗り換えるために一度プラットホームに降りて、 そうしてもうじき次の日になるような深い時間でも、絶え間なく動いている人達の間で私はずっと月を探していた。 みえるのは、Citi bankのよく目立つ高いビルの光だけで、 あとはあまり何も見えなかったし、いつもは五月蝿い各国の声もあまり耳にはいらなかった。 長い一日が終わって、私はずっと彼のことばかり考えていて、雲隠れした月を見つけ

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一杯のスープというご馳走

秋。 季節が入れ替わり、まずわたしが始めることは スープを作ることだ。 わたしにとってのご馳走は、シモフリとかフォアグラではなく 自分でこしらえた 一杯の野菜のスープ。 夏のご馳走だったら、果物だけで作ったスムージーだったり 庭でちぎってきたレタスとかトマトを常温でお皿に盛って レモンとオリーブオイルと塩をかけただけ とか 年中だったら オーブンから上がったばかりの スコーンであったり 上質な一杯の紅茶であったり そういうもの。 わたし

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