一杯のスープというご馳走
秋。
季節が入れ替わり、まずわたしが始めることは
スープを作ることだ。
わたしにとってのご馳走は、シモフリとかフォアグラではなく
自分でこしらえた
一杯の野菜のスープ。
夏のご馳走だったら、果物だけで作ったスムージーだったり
庭でちぎってきたレタスとかトマトを常温でお皿に盛って
レモンとオリーブオイルと塩をかけただけ
とか
年中だったら
オーブンから上がったばかりの
スコーンであったり
上質な一杯の紅茶であったり
そういうもの。
わたしは昔から料理が好きだが、凝ったオシャレなプレートには興味がなかった。
手間のかかるごはんは確かに美味しいので
お店で食べて幸せを享受することはあるが
何年かニューヨークの食文化の中揉まれた間も、
自分が学びたいと思うものはとても素朴なものばかりだった。
スープとか
サラダとか、そういうものは特に日本において非常に脇役的な存在であるため、
おまけとしてついてくるだけでヤル気のない場合が多い。
シンプルで、なんでもない一杯のスープにこそ
本当はどこまでも愛情を注ぐべきなのに。
365日飽きないバリエーションのスープやサラダなど本当は無限にある。
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