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はじまりの朝


おむつの濡れた、鳴き声を長い時間聴いて

遅くおきる朝



ゆっくりおきて

はじまりの朝を迎える



いつもと違う朝


いつもと同じ朝



安い、雑な black teaじゃなくて

美味しい紅茶を淹れよう。



山もりに散らかった
カウンター下のお茶コーナーを漁って

長いあいだ足を運んでいないお茶好きの店主のお茶やさんで買ったお茶の袋がいくつか、目に入った。


ひとつに、「始まりの福紅茶」と書いてある。


丁寧に、白いホーローに湯を沸かす。

湯、ひとつ沸かすのも、もちろん丁寧に。


どこにでも、nene は存在する。



始まりの福紅茶は、その朝のためにちょうど、いっぱいぶんだけ残っていた。


いつ行っても売り切れの食パンを売る、
小さなパン工房で買った

ナッツがいっぱい入ったベーグルと

レンコンしめじのいっぱい入ったベーグルを、半分に切って

半分づつだけ、オーブンに入れて


始まりの福紅茶を淹れた。



ゆっくりと時間が流れて


バナナジュースを飲み干した息子に

あんこの入った小さなミニ食パンをプレゼントする。



食べないので、


"チョコレート"だよ

と嘘をつく。


嬉しそうに、手にとって

美味しそうに、

アンコを食べる息子に、


「アンコだったわ」と小さな声で訂正をすると、


「アンコ、ちょこでーとみたいだねえ」と言った。


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