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昔と未来の狭間のキーリング

いつか私が死ぬときに、私が集めたものたちが誰かの元へ行けるようにという祈りの代わりの記録。

。。。。。

一つ前に使っていたのはモーテルキーのキーホルダー。白地にベイカー街のシャーロックホームズの住所が印字されていたもので10年くらい使っていた。

古くなって汚れていたけれど、いいものがなくて探してすらいなかったものを代替わりさせたのは、透明なアクリルでできたキーリングがたまたまSNSで流れてきたからだった。

tskifuneさんのkey ring sol. / silver。

透明は好む素材感の一つで、部屋には透明の棚もある。けれどより惹かれたのはリングの形をしていたからだった。

私の中で理想のホテルといえば、(きちんと鑑賞したわけではないけれど)映画の『グランドブダペストホテル(2014)』のイメージだ。今は高価なホテルもほとんどカードキーなのかもしれない。だからベルボーイや彼らの腰に吊るされた鍵いっぱいのキーリングもファンタジーという可能性もある。それでもその想像上のホテルを思い起こさせるキーリングはすぐに後継者に抜擢された。

何よりしっくりきたのが、昔の空気と未来の空気を併せ持ったところだった。

比較的レトロな美術を持った映画の話をしておきながら、私は自分の身の回りの世界観という意味ではヨーロッパのアンティークな雰囲気を特別好んでいるわけではない。一言で表すのは難しいけれど、むしろSF映画の宇宙船の中や、暑い国や砂漠の国の土や漆喰の壁の雰囲気のほうがしっくりくる。

もしもリングが木製や真鍮製だったら欲しいとまでは思わなかった。昔ながらの形を引き継ぎつつ、水を固めたような透明な素材が未来を感じさせてくれる。宇宙船にあっても違和感はない(きっと未来の鍵は、私たちの瞳だったり身体のどこかに入れたチップなのだろうけれど)。

透明が好きな人は多くいるし、これからも消えはしない。まだ鍵が必要な未来ならあなたの透明な道具たちの仲間入り。鍵がいらない未来でも何か小さな必需品を常に持ち歩くことがあるのなら、あなたらしい使い方を見つけてくれますように。

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