基本計画線の新幹線整備に必要なこと(note創作大賞・#創作大賞2022応募用)
この記事は「note創作大賞」に応募するために投稿したものです。元になった記事はこちらです。都合により元の記事は削除せず残したいと思います。では、以下よりnote創作大賞に応募する作品を掲載します。
記事本文
私はこれまで全国の新幹線整備(特に計画だけ立てられたままである「基本計画線」)に関して個人的に考えるルート案を申し上げてきました。
この記事では原点に立ち返り、今後の新幹線整備を進めるにあたって必要だと思われることを申し上げます。
想定する路線は南から
東九州新幹線 九州横断新幹線(及び西九州新幹線と個人的に肥薩線に並列されてほしいと思う新幹線。言うなれば「肥薩新幹線」)
四国新幹線
山陰新幹線 中国横断新幹線 (及び 北陸・中京新幹線 )
羽越新幹線 奥羽新幹線
北海道南回り新幹線 北海道新幹線旭川延伸 (及び北海道の鉄道網をフル規格新幹線の線路と車両によって再整備していくこと)
これまで申し上げてきた新幹線の個人的なルート案を考える際の基本概念でもあります。
<新幹線整備への考え方と誘致活動方法>
1・新幹線を空港経由にして地方同士の交流を。これを新幹線誘致地域同士で共有・協力して誘致
新幹線を誘致する大きな理由の一つとして「自分たちの地域の人口が減り続ける」という状況は閉塞感などを生み、「生活や仕事のためやむを得ず東京や大阪などの大都市に産業・人口流出」という悪循環が起きている… そんな状況を打破して好転させたいからだと思います。
そのため一般住民の方にも「フル規格新幹線が出来ると人口減少に歯止めがかけられ、生活や仕事が成り立ち、より希望が持てるようになる」ことを訴える必要があると考えます。
よく言われる東京・大阪方面への時間短縮も大事ですが、それだけだといわゆるストロー効果で更に人口や産業が衰退する心配を抱かれる恐れもあります。
フル規格新幹線は「新たに線路を敷く」ことなのでその特性を利用し、新幹線路線の沿線空港を途中駅の形で組み込んでいくのです。北海道内も含めた「基本計画路線」の新幹線も同様に沿線空港を途中駅に組み込んで建設していき、そのうえで東京や大阪以外の地方空港を直接結ぶ国内航空路線を就航してもらうようにします。
そして、
●新幹線は
500~700km程度までの移動距離(約4時間以内で移動できる範囲)
●国内航空は
鉄道網では遠すぎたり遠回りになったりするような距離範囲
という役割分担をすれば交通機関同士での棲み分け・連携ができます。こうして、
「新幹線で最寄り空港まで行き、途中の区間は航空、降り立った空港から再度その地域の新幹線と在来線で最終目的地まで移動できる」という長距離交通体系を築く大局観を各自の誘致地域内及び他の新幹線誘致地域にも訴えていく。
こうして、
これまで交流がなかった地域とのつながりを創りビジネスや観光等を促す。「地方同士」の人的・経済的つながりを創ると全国的に大都市圏に移り住まなくても仕事・ビジネスや生活が成り立つようになります。「取引先」や「興味関心」の対象が全国に広がるからです。こういう経済構造にしていくと人口減少流出が止まります。
※(人口減少そのものについては
「日本における日本人の人口はどれくらいが良いか」という議論を起こすと「人口が減り続ける」という一種の洗脳から抜け出せますし、
結婚など「男女」の問題では「女性」だけでなく「男性」が不利な目に遭っていたり差別されたりしている側面 も 認識し解消していく観点や取り組みも重要です。
なぜこの指摘を盛り込んだかというと、交通体系も男女のあり方も偏りがあり、鉄道整備と男性人権への対策や認識が不足していると感じるからです)
「リモート・テレワーク」等が普及するとしても、地方同士を結ぶ交通体系が構築されてこそ地域同士でビジネスをしようという機運が起きるようになります。なぜなら、テレワークだけで完結することは少なく対面でのやり取りや現地視察などが必要な場面も発生し得るので「相手先」と「こちら側」の地域同士を行き来する必要がありますし、交通体系が整備されている地域間で新たな拠点や取引先を探すようになるからです。
実際、今の交通体系や議論・視点は東京・大阪~各地間に偏っています。だから地方同士を結ぶ長距離交通体系づくりが必要です。
なお、
新幹線が沿線空港に経由しないと「地方空港同士を直接結ぶ航空路線」は就航されないままでしょう。なぜなら、空港アクセス範囲が狭いままでは空港自体の利用客が見込めず航空路線の収支が成り立たないと判断されるからです。
新幹線が途中駅で空港を経由すると航空は、空港アクセス範囲が飛躍的に広まるほか、新幹線が空港同士を結ぶ「連絡鉄道」の機能も持ち「複数の空港を跨いだ国内・国際線の乗り継ぎ」という習慣も生まれるので収支構造も改善されます。
新幹線のほうも
空港で乗客の乗り降りが発生するので擬似的に路線沿線以上の人口を抱える状態になり、乗客が増える要素となり収支の改善につながります。つまり、新幹線と地方空港が接続すれば一種の「相乗効果」が発生します。
なお、
途中駅形式での空港乗り入れには列車運行管理や列車運行体系づくりも容易になり鉄道運営をしやすくなる利点もあります。
そして、航空や空港においても航空路線や航空会社の棲み分けも行ないやすくなり、各空港をより活用しやすくなるでしょう。「羽田空港の発着枠」を巡って大手航空会社同士が喧嘩っぽくなったと聞きましたが、「航空路線が羽田発着に偏ることも一因だ」と素人目には映りました。
一旦ここでここまで申し上げたことを図に表してお伝えしたいと思います↓
(話を再開します)
高速道路が局所的に整備され後からつなぎ合わされていくように、最初は空港を経由する箇所などを優先的に「フル規格新幹線対応の構造物」を造り「在来線の線路」を敷いて暫定的に空港経由の鉄道網を造り、後から全線で新幹線線路をつなぎ合わせるような手段も必要になると思います。路線延長が長い路線は特にそうするべきです。
なお、
「基本計画線」の計画すら無いものの在来線の沿線に空港がある場合も「途中駅」形式で在来線が乗り入れると新幹線整備を補完するようになるほか、地方交通全体の維持活性化につながると考えます。
以上のことから、
我先に新幹線を!と求めるよりは他の新幹線誘致地域と協力して全国的に新幹線を誘致実現してほしいです。福岡の土産物商品から知った地方同士の経済交流(取引)の例を図で紹介します。両社取引関係を築く際現地視察や商談などでお互いの会社を行き来したと思われます。
2・新幹線と在来線両方JRで運営でき利便性を高める策を提唱。そのためには「新幹線を在来線と沿線空港に結びつける」ようなルート選定も
これまでの整備新幹線では「並行在来線」がJRの運営でなくなるほか最悪線路自体廃止される区間も出ています。また、特急は停まっていたが新幹線駅が造られなかった駅や地域もあり地域内格差を心配する意見もあることから「いらない」などの不要論が出ると思われます。
一方、
フル規格新幹線を推進する立場の意見は「マクロ経済」的な効果を強調するものの「ミクロ経済」(つまり在来線)との両立を図りながら推進すべきでその方法はどうすればよいか という考察や主張が乏しく感じます。
「新幹線(マクロ経済)と在来線(ミクロ経済)を両立させていく」これは別に経済や鉄道の専門知識がなくても考えつくはずですがこのような観点を持った人は私が見聞きする限りほとんど居ないです。両立できる策を模索しそれを提言していくと不毛な反対や不要論を抑え新幹線を推進する意見が多くなるでしょう。
また、
新幹線整備や鉄軌道等の維持活性化に肯定的な「専門家」を探す際も「新幹線と在来線を両立する、両方を組み合わせて活用する」という考え方を明確に持って相談や交渉などに臨むと良いのでは。「専門家」ですら「新幹線と在来線を両立する・組み合わせて活用する」考えを持った人が居ないかもしれないからです。
そこで、私が考えている両立策を申し上げます。
1・新幹線と在来線が相乗効果を発揮できるような駅の設置位置や列車の運行体系を模索
どうしても新幹線駅が設置されない特急停車駅は発生します。利害関係が発生するので我田引水的な地域内対立が起きがちです。そのため、新幹線駅が設置されない地域・路線を補完するため
快速列車の多頻度運行や各駅停車の充実も行ない、「新幹線と在来線の接続利便性を保つ観点」を早いうちから共有されるとルート選定で揉める可能性は低くなり反対意見など不毛な論調も抑えられ議論の中心は新幹線と在来線の乗継ぎ利便性対策になるでしょう。
なお、
「新幹線の各駅停車」と「在来線の列車」どちらも短編成で良いので両方とも片道あたり1時間に2本以上(30分間隔)の頻度があるのが理想です。接続が悪くても最大 30分程度で乗り継げるからです。
2・早いうちから住民を含めた各自が今の在来線に乗車し、地理的な把握と運行体系を体感的につかんでおくよう提言する
前述した新幹線の空港経由の観点と併せ、
鉄道や空港の配置関係や列車運行体系、そして地理的な把握ができると空港や既存鉄軌道路線・市街地の位置や地形を基準にした価値基準が生まれます。そうしたら我田引水レベルの争いが減り、より合理的なルート選定議論が行われ新幹線の実現性も高まります。
このような見地を他の県や他の新幹線誘致地域など全国的に提言や提唱できるとなお良いでしょう。
列車時刻を調べる際はネット検索と併せ、みどりの窓口に置かれているような市販されている「紙の時刻表」(書店にあるはず)も必要に応じて使うと路線全体の運行体系(特急等の停車駅の違いなども)を掴みやすくなります。
この記事を投稿した令和3年11月時点はコロナウィルス問題の最中ですので実際の乗車・旅行は状況をみないといけないことに注意が必要ですし歯がゆく思います。
なお、
特に 政治家 や 特に行政としての意思決定も担当する役職の公務員 などの立場に居る方はできる限り「自分の給料」から旅費等を出すと良いです。マスコミ含めて「政治資金」的な面からの政治的攻撃を避けられ、極めて不毛なことに労力・費用・そして時間を浪費せずに済むからです。
3・「整備新幹線」においてJRが支払う「貸付料」のうち数%の額を在来線の増便・駅の新設やより適した場所への移設などに充て、在来線の利便性も高め在来線と新幹線両方の乗客や収入を増やし相乗効果を促す制度にする
回り回って新幹線の乗客(「貸付料」の負担元)も増えると考えますし、JR在来線の維持発展もしやすくなると考えます。在来線の利便性向上は新幹線整備にも通じると思います。
3・理想と思う運行系統概念図等も用い視覚的にも伝える
新幹線誘致活動や実現に関して、例えば「ルート」や「並行在来線問題」など新幹線と在来線の在り方に関する話題などが出るとします。その話を関係者同士や一般発表向けに話す際は視覚的にもわかる「運行系統概念図・路線図」等も用いると良いでしょう。残念ながら特にインターネット上では口の悪く心無い輩は発生するでしょうが、運行系統概念図等を用いてでも他の人たちに伝えるべき事は
新幹線と在来線を両立していく・地域内格差抑制を図るルート案や列車の運行体系を考えていく
という観点です。この観点を要点的に図面に明記すると曲解されにくく新幹線や地域・全国の維持発展への熱意が伝わり、それが整備計画格上げ→実現という流れにつながるでしょう。
「2・」
で申し上げた内容と重複するのですが、これまでの整備新幹線では必ずしも私鉄含めた在来線との接続は重視されているとは言えず、新幹線と接続しなかった地方鉄道が廃止される例も起きています(例:長野電鉄屋代線・十和田観光電鉄。どちらも新幹線との接続駅を設置でき得る線路配置だったが駅は設置されず後年に廃止)
マスコミ等によるネガティブキャンペーンだけでなく、特急停車や接続が無くなることによる地域内格差、存続できたかもしれない地方鉄道の廃止問題も起きていることもあり新幹線整備に関して不毛な不要論が出るものと思われます。
一方で、南部縦貫鉄道は東北新幹線に接続できる可能性(七戸十和田駅)がありながら新幹線開業に間に合わず廃止されてしまいました。芸備線・木次線などJRローカル線も似た状況にあると思われます。新幹線整備自体は早急に行なわれ地方鉄道・在来線との接続で鉄軌道路線維持発展につながってほしいです。
参考としてこれまでの記事で使った画像を掲載します↓
伝えたい要点の書き方を工夫し画像切り取りなど偏向報道されにくい図面を描けるか力量が問われるでしょう。
4・安全保障上からも新幹線による貨物輸送や夜行旅客列車運行の提唱と実現を
昼行の旅客列車だけでなく夜行旅客や貨物輸送も行えると公共事業としての整備新幹線の社会的意義や価値が増し「公共事業の費用対効果」の点でも実現性が高まるのではと思いました。
在来線の寝台特急はJRが複数社に分かれていることで収益分配や列車運行の負担などが問題になったこともあり無くなったと聞きました。新幹線は2社間までなら跨いで運行されているのでJR西日本~JR九州など2社間までなら夜行列車もできそうです。
夜行の本質的な商品価値と意義は「夜遅め出発・朝早い到着」です。昼行列車のみよりも長距離移動もできて客単価を高めやすいです。昼行列車や在来線との乗り継ぎで時間的に効率よく津々浦々の移動も促せます。(つまりより隅々まで新幹線開業効果をもたらせる利点があります。午前の早い時間に着くので目的地で目的を果たす時間を多く取れます)
なお、
意外と盲点だと思われることがあります。乗客から見るとJRは実質「一社の交通機関」でもあるということです。高速バス・航空利用では途中で必ず「運賃の乗り換え」も発生します。ですがJRは出発地から目的地次第ではJR一社のみの交通機関利用・一社のみへの運賃支払いで行くこともできます。
夜行列車運行にあたり問題となる夜間時間帯(0~6時は新幹線の営業運行止まる)は騒音対策や保線作業の安全確保のため最高速度を在来線並みに下げて運行できる制度改正を提唱していくとよいと思います。このことに関して先日ですが「夜間時間帯(0~6時)は完全に列車運行を止め、6時から運転再開するべき」という方法案も聞きました。
それを聞いて私は、
0~6時の最高運転速度は在来線並みに抑えて運転することにしたうえで、例えば1時半~4時半の3時間を完全に列車運行を止める時間帯とし、その3時間は線路保線に専念するという方法も良いと思いました。(0時~1時半・4時半~6時は在来線並み速度の運行と線路保守を同時に行う時間帯となる。安全のため在来線並み速度で運行。現在も在来線では貨物も含め夜行運転する列車あり)
新幹線による貨物輸送についてですが、
所要時間的に鉄道貨物輸送の付加価値が飛躍的に高まります。また、旅客・物流含めた鉄軌道の「交通分担率」を高めていく観点からも新幹線による貨物輸送は意義があると思います。
なぜなら、自動車の動力源は電力に代わる流れになりつつありますがそうなると今よりも多くの電力が必要になります。しかし原子力・火力発電ともに社会情勢的に充分に使えない可能性も。
鉄道は自動車よりも同じ人や物を運ぶ際のエネルギー使用効率が良いことで知られています(いわゆる「環境にやさしい」)。交通分野におけるエネルギー効率を鉄道利用によって高めていくことでエネルギー資源の輸入依存度合いを少しでも抑えていく。
そうすると、資源外交の面で日本が今までより優位に立ちやすくなり、他国からの圧力や政治的攻撃を受けにくくなる。それが武力戦争等の回避や外交での有利な交渉条件を引き出すことにつながりやすくなる。
このような広い意味での安全保障を確保し「平和」を保つためにも新幹線による貨物輸送の意義があると思いました。
この「広義的な安全保障」に加え、全国広範囲の移動の機会を確保する「広域的な交通権保障」の観点から、新幹線だけでなく在来線の廃止・未成線からLRTなど都市鉄軌道まで、必要な鉄軌道は今からでも造るべきと思っています。
住んでいる土地から遠方の地に訪問した際の移動手段は公共交通が中心になります。特に鉄軌道はその地の地理に疎くても利用しやすいです。鉄軌道があるとより広範囲の行き来ができ、先に申し上げた地方同士のビジネス等も行われ易くなります。
5・鉄道網にも迂回予備(リダンダンシー)機能を持たせる意義を理解し訴える
新幹線の意義として、新幹線と在来線両方とも迂回予備機能を確保する見地も訴えると良いと思いました。
東北新幹線は東日本大震災などの際、被災し運休も起きたと聞いています。その際は日本海側の新幹線が迂回路線として機能することになります。また、同じく東日本大震災後の復興に関し、がれき等の輸送で貨物列車が活躍したとも聞いていますが鉄道貨物は衰退していたので貨物列車の一時的な運行再開に苦労したと聞いた記憶があります。
西日本豪雨でも貨物列車が山陰本線を迂回しましたが、ディーゼル機関車の調達に苦労したほか連結両数も限りがあり、山陽本線経由での貨物輸送と比べると輸送力に劣ってしまったと聞いています。
鉄道も道路と同じく社会資本社会基盤(インフラ)と明確に位置付け、「狭軌在来線車両」及び「標準軌フル規格新幹線車両」の列車通行経路を確保する迂回予備機能を強化するべきと考えます。そのため、鉄軌道整備の費用対効果等の計算などにも 迂回予備(リダンダンシー)機能を盛り込むと、鉄軌道の整備効果や存在価値が大きくなると思います。
<開業後の持続性も見据えた整備手法>
6・建設・維持管理費、運行や保線等の技術的難易度を抑える方法を採る
財源的な問題や開業後の維持管理や列車運行の難易度を下げる方法も今後の新幹線実現に必要な考え方だと思います。実現性を高め開業後も持続的に路線運営をしていくためです。そのためには
[最高速度を控えめにする]
むやみな最高速度追求にこだわらなければ、線路や車両の劣化を抑えられ一日当たりの走行距離も短くなり車両検査修繕の周期も伸ばせると考えます。架線など使用する部品類も最高品質から一段階程度廉価な製品を使用できるようになるのでは。
携帯電話で例えるならば12万円する最新機種ではなく最新から一つ前、8万円で買える機種で対応できるようなイメージです。
直感的には最高速度を時速240km以下、時速200~240km位の速度域で運転すると良いのではと想像しましたが、工学など専門的見地からの検討が必要になると思います。
従来の新幹線よりも速度を控えめにする代わりに「新幹線では長距離」の移動は先程申し上げた通り、空港接続をした上で国内航空と連携するようにしていく。
※最高速度控えめを提唱しましたが、既存新幹線路線を中心に高速運転するほうが適している路線区間ではそうするべきです。
「超高速な最高速追求」にこだわらなければ費用効率化への様々な工夫が出来るでしょう。
具体的には
●一部区間を単線にする
但し、例えば北陸新幹線と山陰新幹線が共同で利用する北陸新幹線などは複数の列車系統が合流するのでそのような区間は完全な複線にするべき。
駅や信号場では長編成列車の迂回や安全確保等のため列車交換の線路を数km程度は確保
また、「先行整備区間」もフル規格複線以上で造っておく。暫定的に在来線を単線で通しておき、その後列車運休なく全線開業を図る狙いから複線以上の線路路盤を確保しておく。
●新幹線上で共同利用区間を取れる場合は積極的に取り建設総延長を効率化し建設費も効率化する。
その区間はダイヤ・安全上完全複線にすべきだが、全体の路線延長を短くできる分節約になる。
●曲線(カーブ)を今造られている新幹線よりきつくすることも認める
工事しやすい地質や用地買収しやすい箇所を選びやすくする。現在建設されている新幹線のカーブは原則半径4000m以上、最初の新幹線(東海道新幹線)のカーブは原則半径2500m以上とのこと。
●新幹線の優等列車も停まるような沿線中核都市駅の前後に限り、在来線線路用地やそのそばの土地も活用し、地上に線路を通したり場合によっては踏切の設置も認めたりする。「沿線中核都市駅前後は全ての列車が低速で走る前提のため踏切も認められる」といった考え方を採り入れる
●箇所によっては在来線と「並列・併設」したり新幹線線路建設の際、近くにある在来線と「並列・併設」の線路路盤を造ったりすることで在来線改良も兼ねる。局所的に既存在来線への並列もあり(新幹線側の線路はフル規格で最も大きな車両まで通れる建築限界に改修または線路敷設)
新幹線の風圧等が問題になる場合は線路と線路の間の空間に余裕を持たせる等の工夫をする
予算交渉の際にこのような考え方で新幹線事業費の予算を勝ち取れると良いのですが…。
なお、法律省令の面において、新幹線の最高速度自体は鉄道会社が「控えめ」から「超高速」まで自由に設定できるような制度改善をすると鉄道会社も新幹線運営に対しより前向きになれるでしょう。
<社会全般の意識・制度改革>
7・「MMT理論」など「緊縮財政」の見方に異議を唱える主張や論者を研究
新幹線整備が進まないのは財政や財源の問題も大きいです。近年「MMT理論」などを用いて国の財政赤字や「緊縮財政」の価値観やその見方に異を唱える主張も出始めています。新幹線整備についても国費投入で進めるべきと聞いたこともあります。そのような主張を研究し上手く誘致に活かせると良さそうです。
8・「バラマキ」批判の見直し
マスコミ等が執拗に「バラマキ」批判と会社経営等における「選択と集中」という洗脳めいた価値観の刷り込みを行なってきたことも「新幹線いらない」の一つ覚えを誘発しているのかと思いますし、経済や各種政策・地域格差などで様々な不公平や不均衡を招いているのではと思うようになりました。上手く申し上げられないのですが、この観点もあると新幹線実現だけでなく社会の様々な矛盾の是正にもつながるような気がします。
9・交通基本法的な考え方も浸透してほしい
フランスの「交通基本法」では公共交通を優先する考え方も採り入れ「採算」を求めないと聞いています。「交通権」という概念を定着させていく観点もあると間接的に新幹線の実現や社会的価値の補強につながるのではと思いました。
特に日本で欠けているのは全国広範囲の移動機会を保障する観点です。「その地域内」の交通に関しては細々とした乗り合いタクシーなどはあるようですが、北海道の広域的在来線の存廃問題でも「全国からその地域に訪問できる」という観点がないまま鉄軌道の価値が過小評価されているように思えてなりません。
ところで、
プロブレムQ&A─どうする? 鉄道の未来〔増補改訂版〕[地域を活性化するために]
鉄道まちづくり会議[著] 緑風出版 ISBN978-4-8461-0903-5 C0336
という本について紹介します。
上記の本は10年以上前の出版で若干古くはなっていますが、在来線や私鉄等の存廃問題を採り上げていますが、鉄軌道は採算や赤字黒字で過小評価されてしまう一方、高速道路整備は赤字でも長期効果などを強調し正当化する論調がめずらしくない といった今の交通整備や価値観の問題点も指摘されていたほか、道路や鉄軌道はインフラであり連携していくのが有意義であること、交通弱者を含め人々の交通権を増進する観点が必要・・・など示唆に富む内容が数多く載っていました。
鉄道整備を促しうる制度も検討されたことがあったらしいが残念ながら実施されていないことも知りました。
新幹線とは直接関係ないかもしれないですが参考になると思いました。
10・既存高速道路一般道路の敷地構造物と共同利用も。また道路拡幅等の際に鉄軌道と一体的建設
たとえば
トンネルは道路・線路本体用の坑道以外にも工事や換気・避難口用に掘られた坑道があるようです(斜坑など)。新たに工事をする際、既に造られた道路トンネル斜坑や工事用道路などの付帯的構造物を共同利用することが出来れば、工事費用を安く出来たり各種資源の有効活用になるかもしれないと素人ながら思いつきました。
また、
ルート選定の際、一般道路の真ん中に鉄軌道の線路を敷くことで市街地の用地買収をし易く出来ないか、
道路整備と一体となった新幹線やその他鉄軌道を建設できれば公共事業全体として財政や各種資源の有効活用になるのではと考えました。例として北九州市のモノレールは一部区間で高速道路・一般道路とモノレールが同じ敷地に造られ高速道路とモノレール構造物が一体になっている所もあります↓
(道路と鉄軌道が一体的に造られた例。北九州モノレール城野~北方間)
具体的なルート選定の際、
道路と一体となった整備も検討するほか、道路と鉄軌道一体的な建設や財源制度の在り方を行財政改革(いわゆる「緊縮財政」とは限らない)があると、本来鉄軌道があると望ましい地域にも新幹線含む鉄軌道が建設され易くなると考えます。
<地元で気を付け取り組むべきこと(全国的に通用)>
11・地域間・地域内対立に囚われないよう気をつける
インターネット上では地域問わず地域間の対立を煽る書き込みや特定の地域・地方に対する一種の差別意識がこもった書き込みも見られます。このような意識は現実社会においても建設的な議論の邪魔になる可能性があります。
「地域間・地域内対立」に陥るような意見や意識に気をつけてほしいです。先ほど紹介した本にもこれに関する指摘があったと思います。
12・新幹線駅・在来線駅周辺に生活や仕事をする施設を集めていく
富山県富山市の都市政策・交通政策は
●道路・自動車交通社会の浸透化で拡散した市街地拡散を抑制し、行政コスト省力化
●自家用車を使えない「交通弱者」の社会生活の質的向上
などの観点で鉄軌道駅・路線バス停の周辺に住宅含めた「生活に必要な施設」を集める取り組みをしています。この政策を「お団子と串」と呼んでいるそうです。
これはほぼ全国にも通用すると思いました。東京・大阪等大都市圏に人口が偏る原因の一つは自家用車を運転・保有できない人は公共交通がかろうじて残っている大都市に住むしかないという側面もあると思います。
出来る範囲でも良いので、道路整備に偏った交通政策や財源・制度的な在り方を見直し、新幹線在来線共に鉄軌道の維持や新設をし易い制度づくりを研究したり提言したりしていく観点があると望ましいです。
なお、
2020年頃からの新型コロナウィルス騒ぎにより公共交通の混雑緩和が叫ばれ「時差通勤」も推奨されています。時差通勤だけでなく、「都心部」とは反対方向の「郊外側」の駅周辺にも「事務所(オフィス)・工場・倉庫・店舗・公共施設」など「仕事をする施設」も長期間かけて集めていく。こうすれば新幹線の基礎となる在来線路線網の維持も図れるし、地方でも自家用車を使えなくても生活しやすくなり人口減少を抑えていけるでしょう。
この話は不動産にも関係することですので地道で何十年とかけてでも取り組み、長期的にみる姿勢が必要です。
おわりに
とても長い文章になりました。ここまでお読みいただきありがとうございます。
この記事をはじめ、これまで申し上げてきた新幹線ルート案における考えが実際の新幹線実現と社会の質的向上につながることを強く願っています。
なお、このアカウントでは各地の新幹線ルート案(個人的な考えであり公式のものではありません)を描いた記事も投稿しています。よろしければ見て頂けると嬉しいです。