第12回(2024.11.21)の授業のフィードバックから
こんにちは。
この授業のメインパートである認知主義は前回で一旦終わり。今回は、認知主義を始め心理学の諸理論を検証してきた心理学実験とはどんなものなのか、をお話ししました。
実験の時に暗幕をするとあったが、逆に暗幕をすることによって暗幕があるなと感じて普段とは違う結果が出てしまうこともあるのではないかと疑問に思った。心理学実験は人間を対象にしているので、こういったことを同じにするのがとても難しいなと感じた。 また、研究室で実験をする時の謝礼は誰が出すのか気になった。実験者が払うのか大学が払うのか。
全員が「暗幕条件」で実験を行えば条件は同じになります(統制されます)。
なお、本学では私費による研究は禁止されています。謝金は種々の大学の研究費から出ます。
心理学実験を実際に受けてみることで、どのようにバイアスがかからない工夫をしているのかや統制条件がどのようになっているか等、体感してみたくなった。
今日の授業を受けて心理学実験に参加してみようと思いました。
「(心理学)実験とはどんなものか」理解するには、参加してみるのが一番理解が早いし深いです。うちの研究室の実験に限らず、機会があれば参加してみてください。
1度心理学実験に参加したことがあるが、結構手間のかかるプロセスを経ていたのだと驚いた。また、被験者の人権に配慮することが、被験者の安心への繋がり、最終的には心理学の発展につながったのだと感じた。
はい。被験者の人権が守られるという一線が守られているからこそ、実験する方も参加する方も安心して実験ができるのです。
印象に残ったのはやっぱり映画の内容が印象に残りました。言葉でどんな実験を行ったか聞いただけでも結構恐ろしいなと思いましたが、実際に映像にされると本当にすごい、、、としか思えないものでびっくりしました。 実験結果としては興味深いものでしたが、そうであっても被験者の権利を無視するのはよくないことで、現代ではそれが守られているというのは聞いて安心しましたが、逆にそれによって得られなくなってしまったデータもあるのかな、、、と感じました。
心理学を含む人間を対象とする研究倫理のターニングポイントとなった実験を代表する二つ、ミルグラム実験とスタンフォード監獄実験について映画化されたものを少しずつ観てみました。
例えばある物質の毒性を調べようとしたら、人体に投与して死ぬかどうか見れば良いと考えるかもしれません。しかし現代ではそれは許されません。「科学の進歩」のために人間を犠牲にしてはならないというのが現代の「科学倫理」です。
心理学実験で日本で有名なものがあれば、教えて欲しいです!
今回紹介した2件は、倫理の議論のきっかけになったくらい「悪名高い」実験です。日本では私はあまり聞いたことがありません。
「実験によっては最初の説明をぼかして終了後に詳しく説明することもある」というのは悪用されかねないのではないかと思いました。
この点についても、最初にどのように被験者を募集して最初にどのように目的を説明するかも含めて、本学では人を対象とした研究倫理審査委員会にきちんと計画書を出して審査(チェック)を受けます。
心理学の実験が仮想空間によって行うことができたら、被験者の権利を守るという制約がない以上今まで以上に実験の幅が広がりそうだなと思った。
仮想空間で行う実験も、(アバターなどを通して)人間を対象とする限り、倫理審査委員会の審査を受けます。うちの研究室でも仮想空間での実験をおこないますが、必ず審査を受けます。
心理学実験が実際にどのように行われているのかが詳しく知れて面白かった。また、ロボットの実験の例の様に、完全に正解な実験方法が存在しないことが難しいと感じた。
実験をどのように設計するか、特にどの要因を被験者間にしてどの要因を被験者内にするか、は、永遠の悩みです。研究方法の設計は研究者のセンスと技量が試されるところだと思っています。
少し驚いたのはスタンフォード監獄実験の被験者が40人と想像より少なかったことである。看守、囚人役ともに20人だと1人想定していない人が混じると大きく結果が変わりそうだなと感じた。実際の心理学実験ではどれくらいの人数で実験を行うのが一般的なのか気になった。
授業中の説明の数字が誤っていました。70人の中から21人を選び、11名を看守役、10名を囚人役にしたそうです。(出典: ウィキペディア)
実験者も被験者から影響を受ける可能性はあるのでしょうか。
実験者も人間ですから被験者から影響を受けることはあるかもしれませんが、基本的に実験者はどの被験者にも同じように接するように準備をしています。
実験において、被験者の権利が守られていることがわかったが、他の生物などの実験で動物を扱うのはどうなっているのか気になった。
私は動物を使った研究をしないのであまり詳しくありませんが、 animal wellfare (動物福祉)について盛んに議論されているようです。
被験者の選定と、どのように実験を受けさせるか決める際に、仮設検定などを用いて被験者の集団の特徴がなるべく母集団に近くなるように計算するものなのでしょうか。複数の部屋に被験者を分ける実験では、被験者をランダムに部屋を分けて実験するというのを都度行うことで比較的同じ分布の標本になりそうだなと思ったので。
機械的にランダムにグループ分けすることが多いようです。
十分な費用と時間があれば、順番や学習の効果そのものを測る目的の実験でない限り被験者間変数を設定する方が良いと思うのですがどうでしょうか。
まず「十分な費用と時間がある」ことは極めて稀です。あと、やはり個人差との交絡は永遠の課題です。
今回の授業では心理学の実験について学んだ。 実験の結果が変わる要因がどこにあるのか探るときにその要因を被験者間にするのか被験者内にするのかという内容があった。大まかな見分けはつくが両方を横断する要因のときどうするのか興味を持った。
ある要因を被験者間、ある要因を被験者内とする混合計画という方法もあります。
さて来週と最終回は、認知主義の限界について議論した上で、最近おこって来た新しい流れについて紹介します。次回は非認知能力についてです。お楽しみに。