江戸東京博物館(休館を前に)
■さいしょに
今年の目標は、毎月一回は美術館、博物館、展覧会などに出かけて感想を書く、ということだったんですが、早速2月に行くことができませんでした。
オミクロン株が猛威を振るっており、もしかかってしまうと、自分の乳がんの治療のスケジュールがくるってしまうので、優先順位として、人混みを避けることにしました。
今回、治療のほうはいったん区切りがついたので、安心して出かけることにしました。
■江戸東京博物館とは
平成5年(1993年)に両国にオープンした博物館です。
展示の大半は常設展が占め、江戸時代から現代にかけて、江戸と東京の歴史と文化を資料やジオラマ等で展示しています。
■見学の所要時間
駆け足で見る場合 → 3時間
解説を読んだり音声ガイドを利用したりしながら理解を深めつつ見る場合 →4,5時間
理解を深め、かつ籠乗りや桶担ぎなどの体験に並んで堪能する場合→1日
といったところかと思います。
江戸東京博物館は、同じ日でしたら再入場できますので、まずは朝から行ってみて、じっくりみたいなと思ったら昼食後戻って来るという利用がオススメです。
■お子さん連れの場合の対象年齢
お子さんが小学校中学年であれば、籠乗りや桶担ぎ、纏を回したり、といった体験や、精巧で大規模な模型などは十分楽しめると思います。2時間以内でさらっと見れば、退屈もせず、今後の学習に役立つでしょう。
展示全体をある程度楽しむには、江戸時代以降の歴史について少しは聞きかじっていないとできないと思います。
歴史は小学校6年生で学びますので、6年生から、中学受験で塾に通うなど先取りしている場合には5年生からが良いかと思います。
江戸の遊里についても展示がありますが、性風俗に関しては最低限しか触れていない、子供向けの博物館であるように感じました。
私は中1(4月から中2)の娘と出かけましたが、夢中になっており、午後予定していたすみだ北斎美術館を延期して、午後も江戸東京博物館に戻って見学をすることにしたほど夢中になりましたよ。
■江戸東京博物館の休館
江戸東京博物館は、2022年4月1日から2025年度のどこか(未定)まで休館となります。
平成5年に建てられて老朽化しているとのことで、設備の入れ替えを行うそうです。
今から十日の間に行ってくるか、または、3年後に新たな江戸東京博物館を訪れてみてはいかがでしょうか。
■江戸東京博物館の展示
写真でもお分かりのように、江戸東京博物館は高床式の個性的な建物です。
まず階段(あるいは動く歩道)を上ったところは、まだ屋外。高床式の建物の軒下の部分です。ここにはチケット売り場があります。
チケット購入後にメインエスカレーターを上ると建物内に入り、更にふたつエスカレーターを乗り継いで、6階から見学を開始します。
6階から入場すると、吹き抜けの巨大な空間が現れます。手前には音声ガイドの貸し出しカウンターやパンフレット置き場などがあり、奥には広い展示スペースが見え、行き止まりの壁の巨大スクリーンには江戸城が映し出されます。
ここでなによりも存在感が大きいのは、その展示スペースにわたるための大きな架け橋です。木でできた、江戸時代のものを模した橋です。
その欄干の向こうを見下ろしたところは5階になっています。左手には歌舞伎小屋、右手には朝野新聞社社屋、どちらも等身大の立派な建物です。
胸をときめかせて橋を渡り切ると、そこは江戸ゾーン。江戸城と町割りをテーマにした展示です。
江戸城の全貌や、大名屋敷と町屋の比較などが、ミニチュアのジオラマをふんだんに使って説明されています。
勉強では覚えにくくて苦労する江戸の役職や俸禄などについてはわかりやすくまとまったパネルや実物資料(あるいはレプリカ)で順序だてて説明されています。
5階に降りると半分は引き続き江戸ゾーン。
大工、寺子屋、指物屋など、人々の暮らしが実物大のジオラマで再現されています。
玉川上水、菱垣廻船など、教科書で見たものがぎっしり詰まっています。歌舞伎、遊郭、版画と出版、貸本なども実物資料がふんだんに展示されていました。
先ほど6階で渡った橋の下をくぐると東京ゾーンです。
江戸の300年もそうですが、明治以降の激動の時代をぎゅっとまとめているので非常に濃い展示になっています。
■面白かった展示
この章は私個人の感想として、面白かった展示について書いています。
ジオラマ
ミニチュアのジオラマや実物大ジオラマはどれも発見が多く想像力を掻き立てられる展示方法でした。動画なども分かりやすいのですが、決まった時間拘束されてしまいますし、振り返りにくいというデメリットがあると思います。
ミニチュアのジオラマの『俯瞰』や、実物大のジオラマの『実物がそこにある』というのは、大変優れていると思いました。
くいっぱぐれのない職業とは
もし自分が江戸時代に生まれた男だったとしたら、大工になったと思います。
江戸の大火がどこでどう発生したのか、それによって街並みがどう変化したのか、また火消しについてなどの展示もあり、江戸時代の火災の多さ、江戸のの町の火災への弱さがよくわかりました。
火災だけでなく、上水道の模型を見ると木の樋でできてるし、腐ったり虫に食われたりすることもあったでしょうから、江戸の町は土木が多かったと思います。大工は、良い仕事だったんじゃないでしょうか。
他にも、城の精巧な図面などが展示されているのを見ると、こういった教育は全ての人が受けられるようなものではなかっただろうな、と思いました。今では設計用のソフトがあったり、設計に関しても本が出版されていたり、学校もちゃんと建築家や建築士になるためのレールが確立されていますから、江戸時代のそれとは比べ物にならないくらい取り組みやすい道になっているのではないでしょうか。(なり手が多くて困る、という面はあるかと思いますが)
江戸時代に江戸に生きて、何かになりたい、と思ったら、よっぽど小さなころからその仕事で奉公に出るとか、家業として継いでいくとか、とにかく一筋でないと、庶民が手に職を付けのは難しかったのではないでしょうか。
商家で丁稚奉公から初めて、いくつになったらトップに上り詰めることができるのか、といった役職の年譜の資料などもありました。
トップって皆がなれるわけじゃないですから、ここまで行かなかったひとたちはどうなっていったのかしら、と思いを馳せるなど、人間と職業について考えさせられました。
本当に、どうしていたんでしょうね。
こつこつため込んだお金で長屋でも立てて、賃料を取りながらご隠居にでもなったんでしょうか。
娘や息子の家で孫をあやしたり、床屋や風呂屋で友達としゃべったり、してたんでしょうか。
力士の版画
複数の力士の版画があり、身体つきは同じで版画を再利用したのかな、顔や化粧まわしだけを別刷りして時短をはかったのかな?など想像できて楽しかったです。やはり、百聞は一見に如かずというとおり、映像の展示は気付きが多いですね。
関東大震災の火災の広がり方
9月1日に発生した関東大震災による火災は9月3日の朝10時まで鎮火しなかったそうですが、その火の周り方を地図の映像で見せてくれる展示がとても勉強になりました。
でも、これはどうやって分析したんでしょうね。
原題ならばヘリコプターとか、衛星写真とかあると思うんですけど、大正時代ですからね。
新たに知りたいことができました。
東京の空襲
3月10日の東京大空襲を含め、どのように東京に空襲があったのかがわかる、これも地図を用いた映像の展示がありました。規模感がわかりやすいと感じました。
それ以外に、一覧表を見ると、結構八丈島なども空襲されていて、硫黄島から回ってきて砲台が狙われたのかな、などと想像を膨らませることができました。
これはちょっと調べればわかると思いますので追記したいと思います。
籠がモノグラム
籠のデザインかっこよくないですか。
モノグラムだ!と思いました。
■食レポ
霧島でちゃんこを食べました。
関取コースにしました。すごくおいしかった。
特につみれ。
ちょっと煮すぎたかな?と思ってもふんわりやわらかく、噛むと中から美味しい味がじゅびじゅびしみだしてくるんですよ。
青梗菜、白菜、もやし、シイタケ、えのきだけといった野菜も美味しいし、豚肉、鶏肉、つみれ、タコと白身魚のつみれ、えび、魚、あぶらげ、豆腐、とタンパク質がたっぷり。そしてぷるんぷるんの葛切りのおいしさよ…。
〆のうどんまで、すっかり堪能しました。
■さいごに
お相撲は3月は大阪場所なので、国技館は閉まっていました。
今回は江戸東京博物館を見るためにすみだ北斎美術館に行けませんでしたが、次回はお相撲を見がてら行くのも、楽しいかも。
これでしばらく江戸東京博物館とはお別れになりますが、両国の町が遊べる場所なのは変わりないですね。
では、また4月に更新します。
よろしくお願いいたします。