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離れて、戻って、安心したらまた離れて。公園の法則は成人しても有効なのかも。
息子が一歳半になった頃、俗に言う公園デビューをした。
何をあんなに一生懸命、毎日通っていたんだろうと今は思う。
息子とお砂場おもちゃを自転車に乗せ、午前10時前には公園到着。
ほぼ一番乗りで砂場に陣取ると、後から来るオトモダチに片っ端からあいさつ。
一度会った子にはなるべく名前も呼びかけながら。
いやー、今考えるとちょっとコワイ人だ。
でも、子どものためだと本気で考えていたのだ。この頃は。
まあ、そんなことは当人には関係ない。
家とは違う解放感の中で、うまく喋れないながらも果敢に他の子とコミュニケーションをとろうとしたり、ひとりで黙々と砂のプリンをつ作りつづけたり。
私から離れて(もちろん見える範囲で)遊んでいたかと思うと、何があったわけでも無いのにととととっと戻って来て、ぴたっと隣に座る。
安心すると、また離れて遊ぶ。
その時間や距離がだんだんと長くなり、いつの間にか友達どうしで遊びに行くようになった。
時はたち、成人して独り立ちした次男。この秋に他店への異動があった。
バイト期間も含めると4年間。よく馴染んだ職場からの異動であったので、まあまあな心労もストレスもあったのだろう。
アウェイ感は想像に難くない。
私への電話が増え、ある日一週間くらい実家から仕事に通いたいと言い出した。
こちらとしては、ひとりで悩まれるより安心だし、ちょっと前の生活パターンに戻るだけなので、モーマンタイ。
仕事から帰って晩御飯を作ったり、翌日のお弁当の心配をしない分だけ気持ちが楽になるのなら、気が済むまでいれば良いと迎え入れた。
最初の頃こそ、「帰宅して何もしないで温かいご飯が食べられるなんて…」とか、「洗濯もしてもらっていいの?」とか殊勝なことを言っていたのだが…
ある時、私がごろごろしながらテレビを見ていると、隣に寝転がってきて、
「お母さんの爪、ざらざらだね。畳みたい。ちょっとは磨いたら」などと憎まれ口をきくようになった。
よしよし。良い兆候。
君の通常運転はこの感じだよね。
彼は、予定通り一週間で帰って行った。
で、前述の公園での出来事を思い出したのだった。
成人してもお砂場の法則は有効なのだな。
離れて、戻って、安心したらまた離れて。
その期間が長くなっていって、そのうち、心配されるのは私たち親の方になっていくんだろう。
それまではせいぜい有効活用してもらおうじゃないか。
親は、実家は、そういうポジションでいたいなと思うのだった。