南方熊楠(鶴見和子、講談社学術文庫)
南方熊楠(1867-1941)に関する書籍である。
熊楠自身も面白い人で、大英博物館に篭りながらNatureに投稿してたという偉大なる先人だ。
熊楠が寄稿していたのが、Notes and queries という雑誌。
(引用)
「創刊号の巻頭言(無署名)にると、カトル船長の金言「発見したときに書き留めておけ」をこの雑誌のモットーにすると書いてある。そして、「発見するまでは、まず質問を発しよう」と付け加えている。文学、芸術諸科学のすべての異なる分野で活動している人々は、思いついた時に、思いついたことを書き留めておかないと、忘れてしまう。覚書のようなものでいいから書いておこう。そして知らないことは、きいてみよう。知っていることは分かち合おう。なるべく違った考えをぶつけあわせよう。そして、将来論文や、作品を書く時のアイデアを発酵させる場所にしよう、というよびかけなのである。」
(引用終わり)
今でも、月間誌として続いているというのにもビックリ。
https://en.m.wikipedia.org/wiki/Notes_and_Queries
1849年に発足した由緒正しい雑誌である。
私の、想像だが、南方熊楠がこのコンセプトを実に気に入っていて、ここに寄稿する事を学問の原動力にしていたのではないか。
逸話めいたベールで覆われ、語られる(ように見える)熊楠だが、今に伝わる話だけでもかなり親近感が湧くというものだ。