フェアトレードはなぜ重要なのか?フェアトレードの認証やそのメリットとは?
5月はフェアトレード月間ということもあり、
改めて「フェアトレード」について、
またその「必要性」について見直してみようと思いました。
■フェアトレードとは
グローバル化が進み、私たちの洋服や食べものの殆どは労働力の安い途上国へと生産をお願いする中、価格競争に負けないよう、効率や生産性が最優先されるようになりました。
そんな途上国では労働に対する正当な対価を得られないことから貧困が進み、子どもを学校へ行かせることもできなくなる人も現れました。
また、生産効率や生産性の追求から大量の農薬使用や森林伐採、危険な労働環境などを生み、生産者の健康被害や環境破壊といった問題原因にもなりました。
これらの貧困がさらなる貧困を生み出す悪循環と、不平等を解決する手段として生まれたのが「フェアトレード」です。
■フェアトレードの歴史
ビジネス、そして消費の選択肢としてフェアトレードが生まれた歴史は古く、戦後すぐの1946年。アメリカで始まったとされています。
Ten thousand villageという国際協力のNGOが、プエルトリコの伝統工芸品などの手芸品が始まりだと言われています。
1958 年にはアメリカで「フェアトレード」ショップがオープン。最初は弱きを助けるといった慈善事業が強いものでした。
1960年以降に先進国を有利とした不平等な取引から貿易間の平等を掲げる取り組みに変化していきました。イギリスやオランダを中心に「オルタナティブトレード」として広がりを見せ、多くのNGOやNPO、ショップなどが立ち上がりました。
倫理的消費者といわれる消費者を中心に、一部で広がりを見せますが、途上国を応援する気持ちが強いあまり、商品品質に対する妥協が生まれ粗悪なものでも取引されていたため、一般的に広がらずフェアトレード商品は衰退していきました。
そういった反省から以降 、一般の消費者の方にも手に取ってもらえる品質の向上と営利性を含む取り組みに変化。
非公式ですが、世界中で会議や会合も開かれるようになりました。
画期的だったのが、フェアトレードラベルのアイデアです。ラベリングの開発と並行して、監視システムも導入され、国際認証化や国際基準の制定なども進んでいきました。
1990年以降仕組みが成立していくと、商品は徐々に一般の商品と並んでスーパーなどでもコーヒーを皮切りに、お茶、ココア、砂糖、ワイン、フルーツ ジュース、ナッツ、米、スパイスなど見られるようになり、
サッカーボールや洋服など、途上国が生産を担っている用品でも見ることができるようになりました。参考: wfto, FTO
■フェアトレードの主な認証制度
国際フェアトレード認証ラベル(Fairtrade International)
●発起元
Fairtrade International(国際フェアトレードラベル機構)
●1997年ドイツで発足
●認証の種類
・製品に対するフェアトレード認証
・製品が国際フェアトレード基準を遵守していることを証明
・第三者機関による定期監査を実施
●世界 71か国に流通
●認証がついている製品数 30,000 以上
●主な作物
コーヒー、紅茶、カカオ、スパイス・ ハーブ、砂糖、大豆、 蜂蜜、 ナッツ類、 果物、 果物加工品など
「国際フェアトレード基準」製品を認証
<経済的基準>
フェアトレード最低価格の保証
フェアトレード奨励金の支払い
長期的な取引の促進
必要に応じた前払いの保証 など
<社会的基準>
安全な労働環境
民主的な運営
差別の禁止
児童労働・強制労働の禁止 など
<環境的基準>
農薬・薬品の使用削減と適正使用
有機栽培の奨励
土壌水源生物多様性の保全
遺伝子組み換え品の禁止 など
世界フェアトレード連盟(WFTO) マーク
●発起元
FAIR WORLD TRADE ORGANIZATION(WFTO、世界フェアトレード連盟)
●1989年オランダで発足
●認証の種類
品目ごとではなく、 団体に対するフェアトレード認定
製品へのラベル掲載には別途認証取得 が必要
●世界 76ヵ国355団体
●企業の運営とサプライ チェーンを通じて支えられている
965,700 人の生計
1. 生産者に仕事の機会を提供する
2. 事業の透明性を保つ
3. 公正な取引を実践する
4. 生産者に公正な対価を支払う
5. 児童労働および強制労働を排除する
6. 差別をせず、男女平等と結社の自由を守る
7. 安全で健康的な労働条件を守る
8. 生産者のキャパシティ・ビルディングを支援する
9. フェアトレードを推進する
10. 環境に配慮する
■フェアトレードが広まるきっかけ
以下の出来事がフェアトレードに基準を設けるための動きを加速させ、広く認知されるきっかけとなりました。
①発展途上国の生産者の貧困と不公正な取引条件
1980年代以降、発展途上国の生産者は国際市場で低価格に苦しむようになりました。彼らの労働条件や生活水準の悪化が報道され、世間の関心を集めました。
②コーヒー市場の崩壊
1989年から1992年にかけて、コーヒー価格が急落、コーヒー生産者の収入が大幅に減少しました。この問題はメディアによって取り上げられ、フェアトレードの必要性が広く認識されるきっかけとなりました。
③アジアの児童労働問題
1990年代初頭、アジアの一部の国で児童労働の問題が浮き彫りになりました。児童労働の実態が報道され、フェアトレードにおいて児童労働禁止の基準が重要視されるようになりました。
④国際的な運動とNGOの活動
1990年代には、フェアトレードに関心を持つ国際的な運動が広まりました。NGOや市民団体がフェアトレードの普及と基準の確立に取り組み、メディアや公共の場で注目を浴びるようになりました。
⑤国際的なフェアトレード機関の設立
1989年には、フェアトレードの普及と認知度を高めるための国際的なフェアトレード機関であるFairtrade International(旧称:TransFair International)が設立されました。この機関がフェアトレード基準の策定と認証制度の確立に取り組みました。
■フェアトレードを広めるには?まだ主流になっていない理由
①情報が少ない
フェアトレードについての情報が広まっていないため、多くの人がフェアトレード製品のことやそのメリットについて知りません。
②高い値段
フェアトレード製品は、一般の商品よりも少し高価なことがあります。そのため、値段を比べるときに迷ってしまう人もいます。
③買い物できる場所が限られている
フェアトレード製品を手に入れるのが一般の商品よりも難しいことがあります。スーパーマーケットやお店でフェアトレード製品があまり扱われていないため、手に入れるチャンスが少ないです。
④意識の違い
人々の意識や関心はさまざまで、フェアトレードの重要性についての認識や関心が異なります。価格や品質を重視する人がいて、社会的責任や持続可能性についての意識が低い人もいます。
⑤慣れているものや習慣の影響
地域や文化によって、特定の商品やブランドを使うことが一般的で、フェアトレード製品に変えることが進んでいない場合があります。
また、長い間使ってきた習慣や買い物のやり方も変えるのは難しいです。
これらの理由から、フェアトレードがまだ主流になっていないのが現状ですが、情報が広まったり価格や入手のしやすさが改善されたりすると、フェアトレードが広まる可能性があります。
■フェアトレードを選ぶメリット
①公正な取引に寄与
フェアトレード製品を選ぶと、生産者に公正な報酬が支払われます。生活水準が改善され、労働者の評価も公正に行われます。
②責任ある消費に貢献
フェアトレード製品を選ぶと、社会的責任を果たすことができます。選択が公正な経済や持続可能な開発に寄与します。
③労働者の権利の支援
フェアトレードでは労働者の権利や労働条件の改善に力を入れています。製品を選ぶことで、労働者の安全な環境や適正な労働時間を支援できます。
④品質と信頼性の確保
フェアトレード製品は品質にこだわっています。適切な農業や生産プロセスを通じて、高品質な商品を提供します。
⑤環境への配慮に貢献
フェアトレードは持続可能な生産方法を奨励しています。農薬の適切な使用や環境保護に取り組んでおり、環境に配慮した商品を選ぶことができます。
⑥社会的な影響力
フェアトレード製品を選ぶことで、社会的な変化やポジティブな影響を促進できます。自分の選択が生産者や地域社会の発展、教育や医療などのプロジェクトに貢献することが期待されます。
これらのメリットにより、私たちは自分たちの選択が社会的な価値や影響を持っていることを実感し、フェアトレード製品を選ぶことで個人的な意義や哲学、心の満足感を得ることができます。
■まとめ
「フェアトレード」は現行の貿易システムの代替として、小規模コミュニティの経済的発展や権利を守り、貧困撲滅の一役を担ってきました。
富の集中、不平等の拡大、根深い貧困、差し迫った生態学的危機。
現行のビジネスや社会構造が原因で生んでしまった社会問題は沢山あります。
これまでのビジネスを再考し、ビジネスで代替案をつくることが、持続可能な社会につながると信じています。
わたしたちが毎日着ている洋服、ファッションも同じです。
これまでのファッション産業が生んでしまったものは、別の代替案を必要としています。
途上国の貧困解決につながる1つのソリューションとして、今後もEnter the E @enter_the_e は洋服を通じてフェアトレードの発展に寄与したいと思います。
フェアトレードについて、また今取り組んでいるファストファッションの代替となるブランド「TEN」についても是非興味を持ってもらえたら嬉しいです。
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