商品としてのスポーツとその市場
商品としてのスポーツ
結論から言うと、TVメディアの拡大と発展がスポーツの世界化と商品化を促し、スポーツビジネスの市場や産業化とスポーツマーケティングの基盤の形成を行いました。
以前は日本でもスポーツは基本的に娯楽であり、それ以上ではなかったようです。それが発展したきっかけは1964年の東京オリンピックです。海外に衛星中継で放送された初の大会となり、その後スポーツ中継の海外テレビ放送が一般的になっていきました。スポーツ中継は視聴率のとれる優良な番組としてのみならず、広告媒体として注目されていきました。
スポーツという商品は、メディアバリュー(媒体価値)に支えられた商品としてのスポーツを前提としています。
メディア価値の加わったゲーム
スポーツで生産される商品はゲーム(試合)ですが、それが全て商品となるわけではありません。競技愛好者が集まるサークルやクラブチームなどの活動はスポーツであり、ゲームを生産していますが、スポーツを商品とする対象のゲームではありません。商品化の観点から見るとその差は競技力ではなく、ポイントはメディア価値の差です。世界レベルのパフォーマンスでも、商品価値は劣るケースもあります。
例えば、2019ラグビーW杯を例に挙げると、決勝戦であった「南アvsイングランド」の試合よりも、日本における商品価値は「日本vs○○」のほうが高くなるケースがあります。商品を構成する中核にあるのはゲームでありますが、対象によってメディア価値が変わっていきます。
生産されたゲームにメディア価値が加わって商品の内実が整います。それを取引するためには「メディア価値」によって加工され、「権利という形態の商品」にし、取引は契約書によって行う必要があります。
スポーツにおける商品化とは一定の認知を得た(=人気化した)スポーツゲームのメディア価値を権利化する事です。メディア価値を構成する基本的な要素は認知であり、それを得るために最大の影響力を持っているのはメディアです。
提供する商品(サービス):スポーツの興行権や肖像権など、そこから派生するメディアバリューに基づく諸権利
提供する側:➀競技団体➁チーム➂選手個人➃エージェント➄プロデューサー(広告代理店含む)➅メディア
対価を支払い購入する側:➀スポーツファン➁スポンサー(企業、メディア)
提供する側と対価を支払い購入する側の間で相互理解を高めることにより、市場が創造、拡大していきます。その市場における商品としての付加価値を高める手法を「スポーツマーケティング」といい、その業務を行うのがエージェントとプロデューサーです。
スポーツファンは、間接的にも対価として様々な媒体やサービスに対して対価を支払い購入しており、応援によって競技者のパフォーマンス向上に一役買っていることから、最も重要なステークホルダーと位置付けられます。そしてメディア価値の基本的な構成はファンの数で決まります。ファンがいるからこそスポンサーがつき、TVなどで放送されます。したがって、動員こそスポーツを商品化するスタート地点であり、基本的な前提条件となります。