中山 建(Takeru Nakayama)

スポーツとコンディショニングについて考えています。

中山 建(Takeru Nakayama)

スポーツとコンディショニングについて考えています。

最近の記事

精神的疲労の原因を知り燃え尽き(バーンアウト)を回避しよう

 精神と身体のつながりについては余地が大きいのですが、精神的疲労が心だけではなく身体と相関していることはよく知られています。うつ病は、ホルモンや脳内モノアミンと呼ばれる神経伝達物質の不足から起こると言われています。その結果、体調面で不調を来たし、睡眠不足や食欲減退の症状が現れたりすることもあります。  精神的疲労を感じる原因としては、心理的・身体的ストレスのいずれも考えられます。心理的な原因としては新しい環境に適応しようとした際にかかるストレスが挙げられます。例えば、年度が

    • 疲労の内部構造を知り克服する

       肉体的、精神的、神経的と疲労は分類されていますが、疲労の原因は自律神経の中枢である脳にありすべてが同じ内部構造になってます。運動後の息の上がった状態や身体の張りによって疲れや怠さを感じると思われがちですが、肉体的疲労は運動による乳酸の蓄積や内臓や筋肉の機能低下です。  疲労の原因ですが、それは活性酸素です。ヒトの身体は細胞で構成されています。細胞は酸素を大量に消費してエネルギーをつくり出し、そのエネルギーを使って活動をします。エネルギーを作りだす過程で生成された活性酸素が

      • 疲労と回復(アクティブレスト)

         スポーツで思い切り身体を動かしたり、高い集中力を発揮したり、また仕事や遊びの後など、身体に疲労が生じることは極めて自然な生理反応であり疲労すること自体にまったく問題はなく、決して悪いものではありません。  重要なのはその疲労を身体からより早く取り除きしっかりと回復させ、そして次の疲労を迎えるという理想のサイクルを回すということです。アスリートであれば、筋肉はダメージを与えることで成長するものと周知し日々疲労と対峙していると思います。スポーツのシーンでなくとも普段の生活から

        • スポーツってなに?

          disport → [di]sport → sport[s] スポーツという語はもともとフランスの古語で「気晴らし」を意味する「disport:ディスポート」(港から離れる)から来ている。 スポーツ自体は実態の無い概念であり、基本的にはイングランドが起源である。 ではなぜ、フランスやドイツやイタリアではなかったのだろうか? それは英国における階級とライフスタイル、「産業革命」によって及ぼされた影響が大きい。18世紀ごろまでは英国の階級は「王室・貴族」とそれ以外という区分で

          スポーツの顧客

          3種類の顧客「ファン・メディア・スポンサー」 スポーツにおける第一の重要な顧客がファンです。ファンの数が増えるとメディアがそれを取り上げるようになり、露出が拡大しスポーツにメディア価値が生じるようになります。そこには放送権という対価を支払う第二の顧客のメディアも参加してきます。そして、メディア価値を利用する第三の顧客であるスポンサー企業が出現することになります。メディアはファンとスポンサーを繋ぐ媒介役の機能を果たしています。 スポーツを活用したマーケティングは、スポーツに認

          スポーツのステークホルダーを理解する

          ステークホルダーとは、「ビジネス上の利害関係者」を意味します。スポーツビジネスにおいては、ステークホルダー(利害関係者)は多様であり複雑なのが特徴です。また、その多くが関わるだけでなく、幾重にも別の機能を持っています。 したがって複数の利害関係が生じ、ステークホルダー間にも市場が形成されています。それらの複雑に重なり合った利害関係を正確に把握することが、スポーツビジネスを理解する上での基礎本的視点です。 スポーツの主なステークホルダー6つ ➀ 所有者(株主/親会社など)

          スポーツのステークホルダーを理解する

          スポーツマーケティング

          スポーツが持つ意味には多面性があり、場面によっていろんな顔を見せます。私は事業としてスポーツマーケティングを行なっていますが、人とスポーツについての会話をしてると、微妙に論点が噛み合わない事があります。ビジネスになると顕著に現れ、それはスポーツの持つ特異性によるものだと分かります。 スポーツマーケティングはあまり浸透しておらず、まずこの用語の共有と説明を行わなければ、意図が伝わらず同じ方向に話が進まないことになります。そこでスポーツマーケティングについての説明をここで行いた

          スポーツマーケティング

          スポンサーシップをパートナーシップへ

          広告露出型から、スポンサー企業の経営課題や社会課題の解決への貢献を中心とした形へのシフトが始まっています。今後も広告露出型が無くなることはありませんが、企業とスポーツの関わり方が「スポンサーシップからパートナーシップへ」という流れに変化しています。 競技団体やスポーツチームなどの収益の柱であるスポンサー収入ですが、スポーツ側から提供する“対価”が変容しています。多くのスポーツ興行は新型コロナウィルスの影響で中止や延期となり、再開後もリモートマッチ(無観客試合)や入場者数を厳

          スポンサーシップをパートナーシップへ

          スポーツが持つ公共性

          スポーツが持つ公共性がビジネス上、どの様な影響を与えるかを考える事が重要です。また、公共性を担保する上では透明性の要素の理解が大切です。 まずはじめに「公共性」という用語を整理します。公共性とは(公共的に)あるものではなく、(公共的に)つくられるものです。すなわち、「ルールを守る」「他者を尊重する」「自立した思考」「思考と行動の一致」などです。これにより、法律や制度が機能していきます。これらの機能は生物本来の本能とは違う部分です。あらゆる生物の中で人間だけが前頭葉という第三

          スポーツが持つ公共性

          商品としてのスポーツとその市場

          商品としてのスポーツ  結論から言うと、TVメディアの拡大と発展がスポーツの世界化と商品化を促し、スポーツビジネスの市場や産業化とスポーツマーケティングの基盤の形成を行いました。 以前は日本でもスポーツは基本的に娯楽であり、それ以上ではなかったようです。それが発展したきっかけは1964年の東京オリンピックです。海外に衛星中継で放送された初の大会となり、その後スポーツ中継の海外テレビ放送が一般的になっていきました。スポーツ中継は視聴率のとれる優良な番組としてのみならず、広告媒

          商品としてのスポーツとその市場

          スポーツのミッションを確認する

          ミッションは2つに集約される 「競技力を向上させる(強くなること)」上昇方向へ展開 「競技を啓蒙普及させる(ファンを増やす)」水平方向へ展開   ものの見方や考え方を近代(モダン)の「理性・進化・啓蒙」を通して考察しスポーツに置き換えた時には下記の様に捉えられます。 理性=「ルールや規律守る・フェアプレイ」 進化=「パフォーマンス向上」 啓蒙=「競技の普及や振興」 スポーツは近代(モダン)のロジックを体現している構造であると考えられます。例えば競技団体単位での組織でミッショ

          スポーツのミッションを確認する

          スポーツビジネスを理解する

          スポーツ産業と他産業との違い  大雑把に8割方は同じです。残りの2割の違いを生じさせているのは何か?それには「市場構造」と「ステークホルダー」を比較することで理解できます。市場は供給者、商品、顧客、対価、交換、競合という6つの要素から成り立っています。  最も大きな違いはその中の「商品」です。スポーツの商品(プロダクト)には生産過程に特徴があり、また、スポーツ=「公共性」という要素がある為ステークホルダー(特に顧客)が複雑で多くなります。 商品の生産過程における特異性

          スポーツビジネスを理解する