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芭蕉: 蝉の声は事実、岩に吸い込まれた

Facebook 2020-07-19

家人が入手してきた今年のカレンダーの今月の画像が垂水遺跡(不動尊)という場所のもので、その奇岩の様(さま)にあまりに驚いたので調べてみた。芭蕉のかの有名な句、「閑さや岩にしみ入る蝉の声」は、山形を代表する観光地の山寺(立石寺)で詠まれたものと伝わっているが、正確にはこの垂水不動尊の奇岩の傍で詠まれたものではないかと想像した。この凝灰岩と呼ばれる岩の壁面はまさに吸音材よろしく、細かな蜂の巣のような穴が現れていて、まさに音が染み入って吸収してしまうような様相を呈している。

騒がしい蝉時雨が、ここではこの岩に吸い込まれて、こだまもせず、今まで体験したことのない静謐さが顕現したのではないかと想いが至ったのだった。自分はこれまで、日本庭園にあるような苔むしたような硬い岩石にさえ沁み入ってしまうほどの蝉時雨なのだな、と理解していたが、文字通り岩に沁み入っていくのを活写したものではないかと確信に変わった。やはり現場を見ないと理解できない(逆に言えば、現場/現実を知らないから好き勝手に理解できる)ことはあるのだと痛感した次第である。

画像出典:https://twitter.com/damunyan/status/1163042497540476928/photo/1

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