もたいまさこ/あきちゃん
図書館にある日行ったら、
目に入った群ようこさんの
「パンとスープとネコ日和」。
やさしいほわりとした小林聡美さんの横顔と
ムッツリこちらを見ている、いや睨みつけている、もたいさんを思い出した。
わたしは、もたいさんがだいすきだ。
初めて観たのは「きらきらひかる」というドラマの死体役。
川であがった水死体のもたいさん。
見事な死体役だった。
全く正気が感じられない。青ざめたもたいさん。
強烈に印象に残っている。
次に観たのが、「パンとスープとネコ日和」。
主人公の小林聡美さんが営むカフェの前にある喫茶店のマスター役。
「きらきらひかる」は私が小学生の時のドラマ。
そして「パンとスープとネコ日和」は
わたしが30過ぎてから製作されたドラマである。
およそ20年ぶりに見たのに、
もたいさんのあの圧倒的な存在感は変わらない。
何が好きかと言えば、あの目と、
おそらくからだ中の毛穴から発せられるなにかであろう。
あの目に睨まれると、ぐっと何か堪えなければならなくなる。
そんな一歩引いてしまうほどの、あの目に引き込まれてしまうのだ。
もたいさんの演じるキャラクターは、
いそうでいなくて、いなくて、いそう。
そんな圧倒的リアルとふっと吹き出してしまう虚像の中間のようなキャラクターだ。
一度見たら、忘れられぬのだ。
あの目も、あの毛穴から出てるなにかも。
そして、なによりの魅力は、どんな嫌みを言っても、「憎めない」
そんな存在として、ドラマの中に住んでいる。
もしかしたらの話だが、
いそうで、いなくて、いなくて、いそう、
そんな’リアルな虚像’はもたいさんの”リアル”なのかもしれない。
憎めない、そんな脚本を製作陣に描かせるのも、もたいさんのリアルな人柄にあるのかもしれない。
もたいまさこ、恐るべし、なのだ。
そして、たった2回しか観ていないのに
こんなに語れることも、
やはり恐るべし「もたいまさこ」だ。