汗をかくと気分が上がる/お父さん
朝早く、畑のそばを流れる川の土手を、娘と二人でジョグしている。
空がとても広く、雲の間からオレンジの光が差している。畑には霜が下りて、すぐ脇の水路では水が凍っている。
一緒に走りながら、この子が、こんなロングを走るようになったのかと感慨にふける。
長女は足が速くて、そのうえ長い距離もきっちり走ることができた。次女は、どちらかというと長距離向き。今でも、一人で2時間くらいのロングをゆったり走ったりしているらしい。
一方、三女はスプリンタータイプで、足は速いのだが、突っ込んで後半ばててしまうことがままあった。
その子が、今、こうしてゆったりロング走を走っている。何だか、不思議というか、こういうことでも人は変わるものなんだと思う。
もっとも、不思議と言えば、一番不思議なのは私自身だろう。
とにかく運動神経が鈍くて、身体能力ゼロで、体育の授業は、
いつも憂鬱だった。
足は遅い。跳び箱は跳べない。体が硬い。バタ足ができない。
家内や娘たちからも、いつも呆れられ、笑われてきた。
そんな私が40歳からランニングを始めたのだ。
お付き合いで、しぶしぶ走ってみたら、案外気持ちがよかった。
汗をかくと気持ちがいいんだなあと思ったのが最初だ。
そして、少しづつ続けてみると、体調がよくなるだけでなく、
仕事のストレスが軽くなるようだった。
走って気分爽快になると、仕事のストレスを忘れられる!
私には新鮮な驚きだった。
体を動かすことで気分が変わるのか。
以来、30年、ささやかなりに自分の記録を更新したり、気が乗らなかったりなど、波はあるけれど、なんとか続けてこられたのは、この体験によるのではないかと思う。
だから、学校の体育も、もう少し楽しくしたらいい。
できる奴は、どんどん伸ばしてやりながら、一方、
できない奴は、できなくてもいいから、とにかく楽しもうと。
汗をかくと気分がよくなるという実感を覚えていれば、大人になった後も、自分に合ったスポーツを楽しんでいくようになるだろう。
学校は、そのきっかけを作ってやればいいんじゃないだろうか。