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理趣経ってどんなお経?

それぞれの宗派によって重視するお経が違います。
真言宗では大日経、金剛頂経。
そして最も読誦されるのが理趣経。
なんかいろんな噂を聞いたことがある方はいると思うんですけども。

でも仏教であることは同じなので、あらゆるお経を勉強します。
そもそもお大師さまが唐に行かなきゃと思われたのは、
日本にはまだ入ってきていないお経に何か大事なことが
書いてありそうだということがわかったから。

昔のお坊さま方は自分の宗派の重視するお経だけでなく
様々なお経を広く学んでおられました。

伝教大師最澄さまはお大師さまにいろんな書物を借りて
学んでおられたのですが、「理趣釈経」を貸してください
と頼んだのにお大師さまが断られて、
お二人の決裂のきっかけになったというエピソードも有名ですね。

理趣経のタイトルは
「大楽金剛不空真実三摩耶経 般若波羅蜜多理趣品」。
これは密教経典としては珍しく読誦することに
功徳がありますよ、と説かれているもの。
ですので、真言宗の常用経典として読誦されるものになりました。

これ以外にも観音経や梵網経など、顕教のお経も
場合によって読まれますが、やはり理趣経がメイン。

密教が他の仏教の宗派と異なるところは、
灌頂や行法、曼荼羅などについて規定があり、
経典を読誦するだけでなく行法などによる実践を重視するところに
あります。

ですので、密教の経典や儀軌には灌頂や行法の行い方や
曼荼羅の描き方といったことが書かれていることが多く、
それは通常読誦するにはあまり向かないスタイル。

そういう性質のお経が多い中で、
密教経典だけど理趣経は読誦むき、という訳ですね。
なので、そこに説かれている内容には密教の精髄が含まれています。

密教の精髄はなんなの、というと
「全てのものはもともと本来清らかである」ということ。

これはこれまで何回か書いてきたように、
「煩悩即菩提」とか「即身成仏」とかの基本にある認識です。


ですので、それがわかるように色々と説明してくれています。
お経の内容は、だいたい「いつ」「どこで」「誰が」「誰に向かって」
この説法をしているか、というところから始まって、
その説法の内容がずっと述べられ、
このお経を読むとこういういいことがあるよという説明があって、
最後にわかりやすくまとめた偈文でもう一度そのエッセンスを示す、
という構造を持っているものが多いです。

だいたいいろんなお経の有名なところはこの偈文です。

理趣経のその部分は「百字偈」といわれる部分。
以前挙げた観音経も、一番有名なところはこの偈文のところなのですが、
理趣経ではそれよりも有名な部分があります。

それが「十七清浄句」。
この「十七清浄句」というところにも密教の精髄が
端的に示されているのですが、ここがけっこういろいろな
うわさになってる部分です。

…というところで、次に続きます。

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