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「共感力」について考えてみた

最近「HSP(Highly Sensitive Person)」がよく話題になっている。

今回は、自分がHSPなのかどうかを考える過程で、「共感」について考えてみたことについて書いていこうと思う。

HSPの4つの特徴「DOES」

HSPの提唱者は臨床心理士のエレイン・N・アーロン氏である。
アーロン氏は子どもたちの観察から「HSC(Highly Sensitive Child)」の概念を提唱し、HSCが成長しても同じ特徴を持ち続けることから、次いで年齢を問わない概念「HSP」を提唱した。

アーロン氏によると、個々のHSPの性格は様々であるが、4つの共通する特徴があり、この4つをすべて満たす人だけがHSPといえるそうだ。
この4つの特徴は、その頭文字を取って「DOES」と呼ばれている。

HSPの4つの特徴「DOES」
Depth 深く思考する
Overstimulated 刺激に圧倒されやすい
Empathy 共感力が高い
Stimuli 感覚が鋭い

私は前からHSPの概念を知っていたが、自分はHSPではないだろうと考えていた。
DOESのうちD・O・Sの3つは当てはまるが、Eの「共感力が高い」は当てはまらないと感じたためである。

私は的確に空気を読む力がないし、他人が何を思っているかなんて結局のところわからないし、共感力なんてないと思っていた。

また、これまで読んだHSPについて取り上げた記事はその生きづらさばかりに目を向けており、自分はそこまで困っていないなという思いもあった。

HSCのエピソード

しかし、そのような考えを吹き飛ばすようなものに出会ってしまった。

おがたちえさんのWEBマンガ
「繊細すぎて生きづらい~私はHSP漫画家~」第5話である。

https://www.yomonga.com/title/420?ascending=true&page=0
(「よもんが」に会員登録すれば無料で読めます)

この回は、HSC(作者の息子)についてのエピソードであるが、ここで描写されるHSCのありようが少年期の私にそっくりであったのだ。

HSC・HSPは先天的なものであり、HSCが成長すればHSPになるし、HSPはかつてのHSCである。
少年期の私がHSCなら、今の私もHSPということになる。

「共感力」とは何か、改めて考える必要があると感じた。

「共感力」とは何なのか

私の持っている「共感力」のイメージはこのようなものであった。
要素1相手の感情を察知する力
要素2相手の感情を自分の感情のように感じる力
要素3場の空気を読む力
要素4空気を読んで最適な行動を選ぶ力

HSPはすべての要素があるので、これらのことが得意なのだろうと考えていた。

しかし、よくよく考えてみるとこの観念は疑わしくなってきた。
HSPが「空気を読み、最適な行動を選ぶ」のが得意であるならば、世間で言われるような「人間関係で問題を抱えるHSP」が大量に存在しているはずがないのである。

どうやら、HSPの文脈で使われる「共感力」とは、要素1と要素2に限られるようだ。

そして、自分の共感力について考えてみると、
要素1 感情によってむらがある
要素2 強い
要素3 弱い
要素4 弱い
となる。

要素1について考えてみると、喜びや怒り、恐怖のような基本的な感情については察知しやすいが、そうでないものは察知しにくい。

それはなぜなのか。
今までの感情を察知できず、知らないうちに人の感情を無視し、人を不快にさせていた例を思い浮かべてみた結果、ついに原因にたどり着いた。

幼少期の私が問題児であったことは前にも書いた。はじめは私に対して両親も厳しかったが、やがて型にはめることを諦めたのか、自由に育てられることになった。
これこそが根本的原因だったのだ。

自分に育てられたことは、トータルではプラスに働いたと思う。厳しいままでは、どれだけ精神的ダメージを受けることになったかわからない。
しかし、型にはめなかったがゆえに世間一般の人の価値観と距離が開いてしまい、「(世間一般の人は)こういう状況のとき、こう感じるものだ」という知識をあまり身につけることができなかったのだ。


「価値観が近い人は理解しやすい。価値観が離れている人は理解しにくい」のは当たり前のことである。HSPは先天的なものだから、判断基準となる「共感力」も、価値観とは関係のない先天的な部分を指しているのだろう。

2021年1月4日追記
HSPの「共感」について引き続き調べていたのだが、HSPは他人の感情をそのまま察知することができるらしい。

私の共感は、
①その人の置かれている状況を考える
②「その状況ならば、この人はどう思うか」を考え、その人の感情を割り出す
③共感する
という手順で行われるので、
HSPの「共感」とは異なると思われる。

私は「人が何を思っているかなんて、究極的にはわかりようのないことだ」と思っていたから、HSPの「共感」はほとんど超能力のように感じられる。

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