客室乗務員の経験を生かして!一歩踏み込んだコミュニケーションが「信頼」を作り出す
ワインのプロたちは、どんな想いでワインと向き合ってお客様と接しているのか?スタッフの想いやこだわりを伝える「わたしとワイン」
銀座店:川村 恵
前職は大手航空会社の客室乗務員(以下CA)だった川村は、フライト先でワインを飲むことが多く、知れば知るほど深くのめり込んでしまう魅力に惹かれていきました。
現地でワインを楽しんでいるうちに、この貴重な体験を価値ある体験に変えるにはワインを極めることだと思いワイン業界へ。
お客様へ最適かつ快適な対応を追求されたCA時代とは、接客に求められていることが違いと話し、そこに面白さがあると。そして、人を幸せにできる喜びと価値のある仕事でもあると。
今回、そんな彼女の仕事に対する思いや大事にしていることを尋ねました。
CA時代に世界のワインに触れた経験
ワインとの出会いは大学生の頃でした。老舗のフレンチでアルバイトをしていて、当時はワインを学ぶというよりはワインを飲むことが好きでした。
大学卒業後は、大手航空会社の客室乗務員になって、海外へ行くことも増えました。フライト先はアメリカが多く、一緒に行ったスタッフたちとレストランで現地のワインを楽しんでいましたが、その頃も、飲む専門でワインの知識はなかったんです。
ワインが好きな人からすれば現地のグルメな料理とともにワインを楽しむという体験はとても価値ある体験だと思いますが、その貴重な体験をしているにも関わらず、私はワインのことを何も知りませんでした。そして、ワインの知識があれば、もっとこの体験を楽しめるのではないかと思ったんです。
更に、ビジネスクラスを担当するようになると、お客様へワインを説明する機会も増えて、「レモンの香りが…」と、自分が感じたことをお客様へ説明するようになってから、ワインのことを極めたいという気持ちが強くなりました。
転職を考えた時、「ずっと学び続けられる職業」というのが頭の中にあって、ワインはヴィンテージという概念もあるし「一生かけて勉強できること」だと思ったので、この業界に飛び込むことを決めました。
お客様のタイミングでワインを提案
この仕事の楽しさは、お客様の喜ぶ声が身近で感じられるところです。
さまざまなお客様がいる中で、どのように案内すれば満足いただけるかということを考えてお客様と会話を楽しんでいます。提案したワインを喜んでいただけた時はやはり嬉しいですよね。
CAの頃は第一印象が大事でしたが、この仕事は、より多くお客様とコミュニケーションを取って満足していただく必要があるので、ちょっとした気遣いや話し方などは常に気を付けています。
他にはメールで案内したり電話で案内したり、あとは手紙を書くこともあります。自分が担当するお客様がどういうコミュニケーションを望んでいるか、そしてタイミングも合わせて、いつ何を案内すれば喜んでいただけるか?ということを考えています。
紹介したワインが「最近、探していたワインなんだよ」とか「面白そうなワインだね」と言っていただけることもありますが、もちろん、提案のしすぎは返って不快な思いを与えてしまうので、日々のお客様とのコミュニケーションの中から、お客様のタイミングを掴むようにしています。
CAの頃、常に顧客視点で考えるということを言われていました。どういう目的で搭乗しているのか?表情やしぐさから、何を欲しがっているのか?を考えて、お客様に接していたんですが、今も「どういう目的で来店されたのか?」を考えた上でコミュニケーションを取っているので、その点はCA時代の経験が活きているかもしれません。
お客様と信頼関係を築くために
お客様とコミュニケーションを取る上で心掛けていることは、会話を楽しむことはもちろんですが、お客様との関係性も大事にしています。
銀座店は1階がジュエリーショップで、ジュエリーショップを通らなければ上がってこられないですし、近くにあるGINZA SIX店ではなく、敢えて銀座店を選んでいただいているということは、何か目的があって来店されていると思うんです。
当たり前のことかもしれませんが、会話の中からお客様のニーズを捉えて的確に商品を提示できるよう会話を大切にしています。
また、一度接客をしただけで終わりになってしまわないように、この後もずっとお付き合いできる信頼関係を築けるように、お客様に寄り添った接客を心掛けています。
以前ご来店されたことがあって、私が接客したお客様であれば会話を思い出して、お客様が何を求めているのか?そして、どうしたら喜んでいただけるのか?ということを常に意識して取り組んでいます。
ワインが生活を豊かにしてくれる
私にとってのワインは、ありきたりかもしれませんが「生活を豊かにしてくれるもの」です。
ワインの勉強をするようになって、ワインだけではなく、いろいろな料理や味に対して考えるようになりました。他にも世界地図や地理的なものにも興味が沸き、旅行に行く機会も増えました。もちろん、今は自粛していますが。
ワインを軸として興味関心の幅が広がっていき、さらに深く掘り下げていくことで、生活に豊かさをもたらしてくれました。ワインが人生を変えたと言えば少々大袈裟になるかもしれませんが、私にとってワインを楽しむことは人生を楽しむことそのものですね。