本屋開業の種⑤憧れの企業へ再チャレンジ

帰国後、再就職活動へ

ヨーロッパの刺激的な旅から返ってきた私は、しばらく呆けた状態だった。
でも、帰国したからには働かなければいけない。
 
3月に退職し、5月に渡航、7月末に帰国。
ここでようやく、ハローワークに出向き、離職票やら失業保険やらの申請を行う。
 
そして、学生時代、新卒採用の問い合わせをしたら
「新卒は採用しておりません」と回答をもらっていたある企業に、
再度チャレンジしようと、メールをした。

その企業とは
日本初の日本人作家・著者のための著作権エージェント会社
ボイルドエッグズ

 
三浦しをんさんや万城目学さんを輩出したエージェント会社である。


学生の頃の夢は「著作権エージェント」だった。
「著作権」を通して、本を売り、著者を売り、コンテンツを売る。
本にある物語がきっかけとなって、様々な場所へその世界が広がっていく。
そんな世界に、憧れていた。
 
出版取次への就職は、
中途採用の多い著作権エージェントなので、まずは学ぼう、と思い
出版取次に進んだ、という背景もあった。

 
メールを送ると、すぐに「とりあえず会いましょう」、という内容のメッセージをいただく。


村上社長とお会いし、これまでのことや、私自身の思いを話したあと、
今後の指針となる、貴重な助言をいただいた。


「本を売りたいなら、編集を10年やりなさい。」
 

本を売るために、編集の技術が必要なの?
なんで? え、なんで?


当時の私は意味がわからなかった。
でも、社長が言うなら、必要なんだ。


なら、編集という道に進んでみよう。


そこから、編集者になるための取組をはじめることとなる。
が。
編集経験ゼロの20代後半を企業が採用してくれるわけもなく。
 

フリーペーパーで見つけたとある出版社の営業に応募してみたら、
とんでもない失敗をしてしまった。
 

出版社の営業?ですか? 

「弊社は出版社です。主な業務は営業です。」

普通、そう言われれば、「営業」とは書店周りの営業だと思うのが、出版業界の常識だ。

「本を直接売り込む仕事がしたい!」と思っていた私は、自分にぴったりの仕事と思い、志望した。が、実際の仕事は書店への営業ではなく、自費出版を促す営業だったのだ。

俳句や短歌を嗜み、なにかしらの団体に参加している人の名簿を見て、電話をかけ、「あなたの句は素晴らしい。ぜひ誌面に掲載するべきだ」と言って高い掲載料を支払わせる、というもの。

まったくもってやる意義がわからず、5日ほどで早々に辞めた。

編集経験がない自分を雇ってくれる場所もなく、焦っている中で見つけた求人。しかし、やはり焦っている中で見つけてはだめなんだ。

やりたいことがあるなら、ちゃんと時間をかけて見つけなければ。

と痛い思いをした出来事であった。


その後は、焦ることはやめ、再び出版関係の仕事を探す日々。

と、未経験のうちから仕事を探しても見つかるわけがない、と気づき、編集を学ぶ学校に行こう、と思い立つ。


今日は、ここまで。


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絵ノ本ももこ
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