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【感想】映画『Fly!/フライ!』

※ネタバレ注意
公開されてすぐの作品なのでワンクッション!!!

こちらは前売り券であるムビチケ。


【あらすじ】
アメリカ北東部、ニューイングランドの小さな池に暮らすカモの家族。父親のマックは、興味本位で池を飛び出したカモの悲惨な末路を子どもたちに語って聞かせるのが日課で、池にいれば一生幸せに暮らすことができると信じていた。ところがある日、彼らの暮らす池に移動途中の渡り鳥が立ち寄り、その自由な姿に妻や子どもたちは大興奮。自分たちも外の世界を見てみたいと言い始めたことから、一家はカリブ海の楽園ジャマイカを目指し、3000キロの大移動に乗り出すことになるが……。

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監督:バンジャマン・レネール
制作:イルミネーション

日本語吹き替え版キャスト
マック:堺雅人
パム:麻生久美子
チャンプ:ヒコロヒー
ダックス:黒川想矢
グウェン:池村碧彩
ダンおじさん:羽佐間道夫
エリン:野沢雅子
デルロイ:関智一
グーグー:鈴村健一
キム:芹澤優
ジャン:谷山紀章
エリー:喜多村英梨
グーグーの仲間:愛河里花子

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予告動画や公式による事前情報だと、カモ一家と渡り鳥ぐらいしか出ないものだと思っていたんですが、サギにハトにどんどん出るわ出るわ鳥類たち!

実は私、インコや鶏を飼ったり、花鳥園に通うぐらいには鳥類が好きでして、そのうえ今回は推しである堺雅人がカモ役をするとのことで、もうドキドキが止まらず……!
そしてやっぱり、吹き替えそのもの本当に上手すぎて文句なしでしたね。イルミネーションのアニメは表情が豊かなものが多いだけに、抑揚の付け方ひとつ間違うだけで、違和感も普通の吹き替えより増幅されてしまうと思うんです。けれど、口や体の動きに合わせた声のトーンや音量の強弱も合っていて、予め作った映像に声を当てているのではなくて、声に映像を合わせているんじゃ?と勘違いしそうになりました。


さて、この作品は、食べ物も水場もあって天敵もいない安全な場所で暮らしていたカモの一家が、渡り鳥と出会うところから始まります。
渡り鳥たちは、カリブ海のジャマイカへ行くらしい。そこでは想像も出来ないほど素晴らしい景色が広がっているという。
その話にすっかり魅了された妻のパムと子供たちは、一家の大黒柱であるマックに『私たちも旅に出よう!』と訴える。
しかし、マックは常々こどもたちに外の世界は危険だと説いていた。『臆病だと言われてもいい、臆病だからこそ今日まで生きてこられたんだ!』と力説する彼の言葉には確かに説得力がある。
実際、出発直後に出会ったサギからも割と怖い目に遭っている。結果的にサギが優しい鳥だったから良かったけれど、もし本当に悪い鳥だったらジャマイカどころかNYに着く前に冒険が終わっていたかも知れない。
最初は旅に出ることに反対していたマックが、一転して『旅に出よう!』と意見を変えた部分が唐突過ぎると言っているレビューも見かけたが、私は特にそうは感じなかった。
マックは最初から最後まで、家族が平和で安定して暮らせるかどうかしか頭にない。しかし自分以外の家族はみんな『旅に出たい』と口を揃える。叔父に脅されたように、家族が自分から離れ『ひとりぼっち』になってしまっては意味がない。
一家の大黒柱であるマックは、劇中『こんな僕でも』と自分の在り方は良くないと自覚しながらも、とにかく家族を守るために必死なのである。
どうしてここまで消極的で外の世界を怖がるのか?と考えた時、最初に浮かんだのは、マックの吹き替えを担当した堺雅人さんがインタビューで語っていた考察だった。

堺雅人:カモは1回の繁殖期につき10羽くらい子どもが孵るそうなんですけど、マックとパムには、ダックスとグウェンという2羽しか残っていない。きっとパムは以前ほかの子どもを失ったことがあって、とても悲しんだと思うんだよね。そんな悲しむパムの顔をマックは見たくないから、子どもたちのことも危険から遠ざけて守りたいと思っているんじゃないかと。そう考えたら、物語がグッと僕の中でヒリヒリするものになったんですよね。だとしたら、そんな思いをしたパムが「冒険に出たい」と言った時に、マックはきっと「えー!」と思ったと思うんですよ。「いいの?」って。そうだったら素敵だなと思って。

『クランクイン!!』より

確かに、カモのこどもっていっぱいいますよね。そしてこどもの成長に合わせて行進するように大移動して住処を変えているイメージがあります。なのに、劇中で出てくるマックとパムのこどもは2羽だけ。少ないなぁ……という印象はありました。

もしかすると……冒頭で暮らしていた住処も、安定した暮らしを求めて旅をし、途中で何羽もこどもを失いつつも、ようやく見つけた安住の地だったのかも知れない。
そういった経験があったのなら、マックのこどもたちに対する教育も、普段の臆病っぷりも理解が出来るし、特にグウェンはまだ幼い。
そして、こどもたちに危険が及びそうになると誰よりも先に飛び出すのは、いつだってマックだ。
つまり、マックはただ単純に臆病なわけではないのだ。もしかしたら昔はもっとポジティブで勇敢、なんなら命知らずだったのかも知れない。だからこそ守るべきものが出来て、消極的な考え方に転じてしまった。そんな風にも見えた。

そして、様々なピンチやトラブルを命からがら脱しながらも、強く逞しく成長していくこどもたち。問題を解決する度に家族の絆も深まっていき、新しい出会いと、知らない景色と体験を得る感動。
それらはどれも、あの池に住んだままだったら知ることもなかった、一歩踏み出したからこそ得られたかけがえのないもの。お子様向けアニメらしく、難しい考察も要らず、分かりやすく楽しいロードムービーだった。


帰り際に購入したパンフレット。
うん、かわいい。



ところで……結局エンディングで、迷子のペンギンたちを南極に送る旅が始まるんだけど、堺雅人って何回南極行かされるん???

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