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フラッシュバックと闘うには

あまり記憶がないんだけど、スマホの写真を見返してみたら、動けなくなってから7年経っていた。おお!20代まるまる支配されていたんだなと驚く。寝たきりでトイレに行けない時期もあった。一番良くなかった時は家族に黙って失踪したり、断薬したり、そして強制入院させられたり……それでも私は人に愛されて、そして自らも赦そうと努めて、生き延びてこられた。我ながら奇跡のように思う。

7年かけてやっと治療が落ち着いてきて、段々と大きな事件も起こさなくなった。だけど、心の中ではいつも闘っている。一人になった途端、フラッシュバックが止まらなくなるのだ。ひとり時間というのは、包丁で胸をグサグサ刺されるような痛みと対峙する時間でもある。特にシャワータイムは、ラジオをギャンギャンにかけてパーソナリティーに味方についてもらっても敵は優勢だ。そんな時には、暴言を連呼して、なんとか邪気を追い払おうとする。もしモニタリングされていたら、放送できない姿になっているだろう。しかしこれが案外効果的なのだ。一時的にではあるが、自分の口の悪さに呆気に取られて、フラッシュバックを追いやることができる。あくまでも“一時的に”ではあるが……。

忘れることはできないのか。日常の記憶はないのに、10年分の苦痛ばかり覚えているのは、みんな同じなのだろうか。
過去を愛せるようになりたい。過去の苦悩と共に生きていきたい。今生きているのは過去があったからなのだから。わかっているけど、なかなか上手くいかないのが常である。

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