大切なモノを持つ勇気が欲しい
コーヒーが冷めないうちに という映画をご存知ですか?
あらすじはこちら
舞台は、とある街のとある喫茶店。店内の【ある席】に座ると、望んだとおりの時間に戻ることが出来るという。ただし、そこには『過去に戻って、どんな事をしても、現実は変わらない。』や『過去に戻れるのは、コーヒーをカップに注いでから、そのコーヒーが冷めてしまうまでの間だけ。』などのいくつかのルールがあった。
誰もが一度は経験のある「もしも、あの時に戻ることができたら……」という《後悔》の思い。様々な《後悔》を抱えた客たちが、今日も店を訪れる。
この映画の中では、親子や兄弟、恋人など、大切な人に伝えられなかった想いを伝えるために過去に戻ります。
過去に戻ることで後悔は消えるのか?現実は変えられなくても伝えられることはあるのか?
いろんなことを考えさせられました。
そのなかでも私が1番心に残ったのは有村架純さん演じる主人公の恋のお話。
この映画を見る前は、ラブストーリーなのかな?と思っていましたが、
実際に見てみると、ラブストーリーではあるけれど単純なラブストーリーではない、
“好き”という気持ちだけでは一歩踏み込むことのできない臆病さ、歯痒さが表現されていて
それを周りの力によって少しずつ変化させていく
成長ラブストーリーに感じました。
主人公は、自分のせいで母を亡くしたと思い込んでいる過去があり、そのせいで
“自分は幸せになってはいけない”と、
周りに人を寄せ付けない、優しくはあるがどこか人と距離を保つような性格を持っていました。
私はその部分にすごく共感してしまった。
友達も、恋人も、
どこかいつ無くしてもいいように
自分の中で保険をかけている部分がある。
信じられるのは、
自分1人だけ。
どれだけ仲が良くても、どれだけ好きだったとしても
何か小さなひとつのきっかけで
いや
きっかけなんてなくても
だんだんと疎遠になっていって
あんなに大事だったはずの相手が遠くなっていく。
そんな経験をしたくないから
友達も家族も
どこか一定の距離を置いて接してしまう。
自分を守るためにそうしているはずなのに
たまに、そんな自分が、
自らひとりぼっちになる自分が
ものすごく可哀想に思えて嫌になる時がある。
大切な誰かや何かを持つことは
同時にそれを失う恐怖を持つことだ
と、私は思います。
先日ある人にこの悩みを伝えた時、
『じゃあ死ぬのが怖いから生きるのをやめるの?』
と言われました。
極論ではあるけども、
たしかにそうだ。
死ぬのが怖いから、
今まで積み重ねてきたことが失われるのが怖いから
今を生きるのを諦めるか、といったら
それはなんだかすごく無駄なことのような気がする。
死ぬ恐怖に怯えながら過ごすよりも
どうせ死ぬなら楽しもうと思って楽しく過ごす人生の方が
圧倒的に価値がある。
そう思えるなら、私が怖がっていたものはなんだったんだろう。
失うのが怖いから大切なモノを作らないなんて。
失うかもしれないのなら、
その分今を大切にしよう。
いずれ疎遠になってしまっても、
未来の相手が、”今”を思い出して
かけがえのない時間だった、と思ってもらえるのなら、
未来の自分もそう思える時間だとしたら、
それはすごく人生にとって価値のあるモノだ。
たとえ失う未来があったとしても
今目の前にあるモノを
大切にしていく。
そんな勇気を私も持ちたいと思った映画でした。