バックステージと師匠 / ⑦
師匠にアシスタントに就いていた期間は2年半ぐらいだったと思う
その2年半、本当に毎日毎日いろんな事があって
書こうと思ったら話は尽きない
そろそろシリーズが長くなってきたので、まとめに入ってもいいのだけど、まだまだ思い出話、したいので、書きたいだけ書きます。
私がついていた間にTGCのバックステージに入る仕事が、多分4回ぐらいあった。
当時、世の中は赤文字全盛期、ギャルの大ブームで、カリスマショップ店員がモデルになったり、読者モデルが出てきたり、モデルがタレントみたいにテレビに出始めたり、デザイナーとして洋服やコスメをプロデュースしたりしはじめたそんな時期だった。
そんな中で、Tokyo Girls Collection がすごい人気になっていた。
まだ東京でしか開催されていなかった頃かな??
私も東京に出てアシスタントするならTGCのバックステージは見ておきたいと思っていたものの一つだった。
それが割とあっさり、アシスタントに就いて割とすぐに実現した。
もちろんそれは師匠が赤文字の雑誌をよくやってたというのもあるし、
そもそもTGCの全体のヘアメイクの総指揮をしていたのが、師匠の師匠だった。
そんな事全く知らずにいた私はそこでもまたびっくり。
師匠ってそういうルーツだったんだーと後から知るという。。
(普通は多分、師匠がどんな人かとかどんな経歴かとか、誰についていた人かとか下調べいっぱいして就くんだと思うので。。)
本当に失礼というか、勉強不足なまま勢いでアシスタントについていた。
バックステージはそれはもう、
すごいことになっていた
とにかくすごい。
もうお祭り騒ぎ状態
私はいつも通り師匠の後について師匠のヘアメイク道具をゴロゴロと必死に引きずりながら代々木体育館の楽屋入口から裏導線を、迷子にならないように道順を覚えながら師匠についていく。
メイクルームとされる場所についたらそこにはもうたくさんのヘアメイクさんやモデルさんがいて、師匠は色んな人から声かけられてりして、久しぶり〜〜とか言ってハグし合ってる。
私は師匠の指定された場所にいつも通りとにかくスピード命でヘアメイクの準備をしていく。周りを見る隙もない。
事前に資料がきていて、前から何度か入らせてもらっている大好きなモデルさんをすることになっていた。
私の楽しみといったら、今日そのモデルさんと会えること(会えるといっても話もほぼできないけど、、)そしてそのモデルさんに師匠がどんなヘアメイクをするかだけに興味があった。
でも、コレクションのバックステージはいつもと全然違った。
当たり前だけど、有名なモデルさんがあっちにもこっちにも。
そして有名なヘアメイクさんもあっちにもこっちにも。
私は顔と名前が一致するヘアメイクさんはそんなに知っている方ではなかったけど、(ほんと知識ない。)明らかに有名なメイクさんたちもすぐそばにいたりして、それにも興奮した。
そしてどうやらそのバックステージに入ってるヘアメイクにも色んなタイプ?チームに別れている事に気づいた。
軽くゾーンにわかれているみたいで、
師匠の師匠が仕切っているチーム、そのほかのチーム、そして指名で来ているヘアメイク。
師匠はどうやら指名のほうだったらしい。
師匠がする予定のモデルさんは2人と聞いていた。
1人はさっき書いたように何度か会っている方。
そしてもう1人はその方と同じ事務所のモデルさんだという事だった。
師匠の所にそのモデル事務所のマネージャーさんがきて、新人だけどよろしくお願いします。のような事を話していた。
そして来たのが、
今ではスーパーモデルになっているあのモデルさんだった。
TGCのバックステージでは毎回そんな出会いがあった。
雑誌でもそういう新人モデルさんと一緒になる事もあったけど、TGCのバックステージではもっと色んなジャンルのモデルさんに入る機会が多かったように思う。
後から師匠は「あの子、すごい」と言っていたのは今でも覚えている。
その通り、すごいモデルさんになっていった。
私は師匠が指名枠で来ている事で、他のアシスタントより、ちょっとだけ優越感もあった。。
指名の2人を仕上げたら、ステージサイドに移動して、出番直前まで手直しして、師匠はモニターとステージをチェックしに行き、私は裏で待機。
そしてそのモデルさんの出番を見届けて、楽屋に帰る。
指名のモデルさんが終われば、次のブランドのチェンジまでは自由時間だったので、そんなにうろうろはできないけど、周りをやっとキョロキョロ見渡せる。
他のメイクさんの使ってる道具とか、動きとか、アシスタントがどんな感じかとか、どんな動きしているかとか、何人アシスタントついているかとか、遠目で様子を見るのが面白かった。
師匠もすごく楽しそうで、色んな人と話しながら、うろうろしている。
そんな中で、何人か、師匠にメイクを直してもらいたいと言ってくる事もあった。
確かに、メイクの仕上がり具合も色々だった。
もちろんショーなので、かなり濃いめの、がっつりしたメイクなんだけど、それでも何か、違っていた。
もちろん担当するブランドコンセプトの元で、メイクのイメージを決めているんだろうと思うけど、それを崩さない程度にこっそり手直ししていた。
それも誇らしかった。
自分の技術では全くないし、それは師匠の実力なんだけど、そんな師匠につけている事が嬉しかった。
そしてそういったショーや、ライブフェスみたいなお祭り騒ぎのような仕事の時の師匠は、
優しかった。
合間の時間には、自由にしていいよと言ってくれたり、
ケータリング美味しいから食べてきたら?と言ってくれたり
迷子にならない程度に、次の時間に戻ってこれる程度なら、
ステージ見に行ってもいいよとか言ってくれた。
そして、バックステージ側ではなく、
お客さん側から見た景色と歓声も今でも鮮明に覚えている。
その世界は普通のファッションショーではなかった。
有名なアーティストのライブみたいな歓声が上がっていて。
すごい熱気だった。
この何千人もの人たちがステージで見ているあの人が、
一歩、この黒幕の裏に入れば、そこに居るのに。
そこの世界とここの世界は
全く違う世界に見えている。
同じ場所に居るのにな。
そして、私も、
師匠と一緒にいられる時は、
アシスタントとして、
スタッフのステッカーをつけていれば
どこでも出入りできる。
でもその師匠の肩書きがなければ
ただの人。
バックステージも入れないし、
何も時別ではない人だな。と
そんな事を感じたりしていた。
4度目?(アシスタント2年目過ぎてから)ぐらいに入ったTGCの現場では、
なんと、モデル2人のヘアを仕上げまで任せてくれた。(チェンジのアレンジだけだけど)
それが私が師匠について入る最後のTGCになった。
本当に優しい。
今回は自慢話になってしまいました。
続きはまた