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My Dear 山極先生

少し前のこと。
近くにあった書店でふと目をひかれたゴリラの本。

美しく繊細で、哀しい愛しい生きもの。
「ゴリラ」
私は大好きだ。

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手にとった本の著者は、山極寿一先生。

おもしろかった。
理系の山極先生の文が明快でうまかった。
ゴリラって歌うんだ。猫と同じだ。

ゴリラへの愛が満ちていて、ワクワクした。

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そののち程なく、宮崎市にて京都大霊長類研究所のサル学記念講演学会が行われることを知って、すぐに飛んだ。

その頃ご存命であられた河合隼雄先生、幸島の三戸サツエ氏もみえておられた。もちろん、山極先生も。髪の毛も黒々としてお若かった。

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先生が一番親しかったゴリラが人間に殺され、首だけが残っていた写真をみせて頂いた。

胸中お察ししたが、そこは感傷的にならず、淡々と科学者らしく語られていた。先生は、「時折、自分が人間の体をもっていることが疎ましく思えるときがある」とおっしゃっていた。

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その後、女性カメラマンの随筆から、ルワンダで26年ぶりに再会した山極先生とゴリラの心あたたまるエピソード等を読ませていただいたり、人類学者中沢新一氏との対談や共著などで、ご活躍を知ってはいた。

図らずも、久しぶりにNHKテレビで山極先生のお姿を拝見できた。今もますます、恰幅よく立派になられていた。

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あの頃「ヤマギワセンセ、ステキ、カッコイイ」と騒いでいた女の子たち。年月を経ても変わらぬ研究を貫いておられ、言葉を越えて身体で通じ合うゴリラの愛。

筋の通った科学者、思想家としてのありかた。
とても興味深く、遠くから尊敬している。

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