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【美術展】山梨モダン1912~1945/山梨県立美術館
リストラに手を挙げて退職するので、もう(もうというかだいぶ前から)現在の職場へのモチベーションが枯渇している。かねてから行きたいと思っていた温泉ホテルが、平日だとお安く予約できる!えい、やで予約をしてしまった。
自宅から旅館までのグーグルマップ上で、美術館を検索したら、ヒットした「山梨県立美術館」。ミレーの「種をまくひと」を所蔵していることで知られている。
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地方の美術館は大き目な公園を併設していることが多く、どこを訪れてもとても気分が良い。
大正期から昭和初期の、山梨にゆかりのある画家の絵を中止に構成された特別展。会期、2024年9月14日(土)~11月4日(月)。ミレーが見られるコレクション展と特別展、両方が見られる観覧料が1,260円だった。
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撮影が許された絵と、印象深かった絵をいくか紹介。
★「下京の夜」近藤浩一路 1913(大正2)年
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山梨県南巨摩郡睦合村(現、南部町)に生れる。東京美術学校に入学。二度にわたる渡仏によって印象派の影響下にある西洋画に触れ、光と影の効果を生かした独自の水墨画様式を確立した。二度目の渡仏に際して、フランスで個展を開催。これを機に識り合ったアンドレ・マルローとは生涯にわたっての親交を持つに至った。
マルローは近藤の画境について、「憂愁が幸福を約束しているような世界」といっている。
流石、文豪、上手いことを言う。
マルローの名前を久しぶりに目にして、確か、山田太一の小説だったがこの一節を思い出した。
「ド・ゴールが、アンドレ・マルロオにいったそうだ。いや、バカなことをいい出した」
「最後に勝つのは死だって」
「それはーまた随分、当たり前のことを」
「マルロオが、こういい返した。」
「大切なのは、おそらく、死がただちに勝利をおさめるのではない、ということではないでしょうか?」
★「大原野立夏(京洛重大)」近藤浩一路 1924(大正13)年
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古来、墨の変幻きわまりない色合いの変化を称して、「墨に五彩あり」という。こうした東洋の美学を、印象派の華麗かつ微妙な光の効果に触発されつつも、あくまでも筆一本で実現しようとしたところに、この孤高な画家の持ち味がある。
「墨に五彩」、とはこういうことなのね。
★「赤い本」埴原久和夜 1927(昭和2)年
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山梨県中巨摩郡源村|《みなもとむら》飯野新田(現、南アルプス市)に生まれた。10代で結婚したが間もなく離婚し、再婚せずに 洋画の道に進むことを決め、東京女子美術学校(現在の女子美術大学)西洋画科に入学した。
★この展覧会で一番気に入った「趁春」望月春江
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「「趁春」望月春江 1928(昭和3)年 山種美術館蔵
はるえさん?と思ったら、男性だった。
山梨県西山梨郡住吉村(現、甲府市)に生まれる。東京美術学校(現、東京藝術大学)日本画科で結城素明に学んだ。花鳥画を得意とした春江は、常に写生を怠ることなく真摯に対象と向き合った。作風は伝統的な大和絵、なかでも墨、極彩色、そして金に重きを置いた桃山障壁画の雄渾さや琳派の装飾美に傾倒している。
山種美術館が所蔵しているのは嬉しい。この絵が東京に帰ってきたら、見られる機会が増えるだろう。
金、極彩色、見る者の身に降りかかるかのような迫力ある絵だった。
★「風景」萩原英雄
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萩原氏は山梨県甲府市相川町の生まれ
ミレー館に入る前に、10分弱のアニメーションでミレーの生涯を予習。
生前に名声を得ることが出来たミレーは、紆余曲折があったにしても幸せな人生だったことだろう。
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★「鶏に餌をやる女」ジャン=フランソワ・ミレー 1853-56年頃
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女性の手からこぼれ落ちる餌をめがけて鶏が集まっている。鶏もそれぞれ個性的に描かれており、離れたところからあわてて駆けつけるものもいれば、気づかないままのんびりしているものもいる。ここは家の裏庭。壁には農具が立てかけられている。柵の向こう側には、庭仕事をする男性の姿が見える。大きく育った庭の木に生い茂った葉は、陽光を浴びて輝いている。
ランチは美術館併設の、
ユニバーサルカフェ&レストラン COLEREで、
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レストランの隣がミュージアムショップになっている。ミレーの落穂ひろいのグッズなど商品のラインナップが充実している中、1枚の絵葉書が目に飛び込んできた!うそっ!
松濤美術館で購入したかった絵葉書が、何故ここにある!もしかして、坂本トクロウ氏は山梨県出身?
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1975年11月11日 山梨県塩山市生まれ
1999年 東京芸術大学 美術学部絵画科日本画専攻卒業
この画像だけみると、この絵の良さが伝わらないと思うが、実物はすんごいんです。
他に、2種類、彼の絵の絵葉書があったが、絵葉書でしか見たことがないと、何かいてあるん?な、感想。実物が見てみたい~。
この美術館がある「芸術の森公園」の広々とした空間と
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雨が上がった後の、緑の中の澄んだ空気を堪能して、次の目的地へ。
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