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【ぐるっとパス2024・3周目3】そごう美術館(横浜市)/手塚雄二展 雲は龍に従う

これまでにいくつか行ったギャラリートークの中でも、また画家本人トークのなかでも抜群に!面白かった。そごう美術館でのギャラリートークはあと1回(11月2日)予定されているので、少しでも興味があったら、是非行ってみて下さい。

行く予定がある方のために、その面白さを損なわない程度に手塚氏の略歴を記すと、幼少期に叔父様の影響で「絵」の面白さに目覚め、5浪の末に東京藝術大学に入学した後、平山郁夫に師事。5浪の末と書いたが、東京藝大は多浪が常識と聞いていたので、浪人は驚かなかったが、末は藝大の教授まで務めた方も多浪するんだ、とあらためて感じ入った。
今回はすべての作品が写真撮影することができたので、以下に紹介するが、ご覧いただければわかる通り、もともと静謐な日本画を描く方。その方が、今回の大作、寛永寺の天井絵を制作する際のご苦労、制作方法なども含め、それはそれは楽しいギャラリートーク(2024年10月26日(土))だった。

東叡山とうえいざん寛永寺かんえいじ根本中堂こんぽんちゅうどう奉納ほうのう天井絵『叡嶽えいがく双龍そうりゅう』」2023(令和5)年(70歳)

東叡山寛永寺の創建400年を記念する天井絵を託された手塚氏。
阿吽あうんの双龍が複雑に絡み合いながら、金色の空から降りてくる、縦6×横12メートルの大作。

吽の龍は、中国において皇帝にのみ使用が許された五爪の龍。天から降りてくる龍が持つという宝珠を掲げている。
阿の龍は、寛永寺のご本尊「薬師瑠璃光如来るりこうにょらい」を意味する梵字「ベイ」が瑠璃色のラピスラズリによって入れられている。現在は仮の状態で、奉納する2025年に本書きされる。
東叡山とうえいざん寛永寺かんえいじ根本中堂こんぽんちゅうどう奉納ほうのう天井絵『叡嶽えいがく双龍そうりゅう小下図こしたず」2022(令和4)年(69歳)
阿龍ありゅう」2023(令和5)年(70歳)
吽龍うんりゅう」2023(令和5)年(70歳)

既に終わっているが「日本橋三越本店」でも展示会があった。これは、三越で展示されていた時の見え方。

https://artexhibition.jp/topics/news/20240214-AEJ1865354/
画は「美術展ナビ」からの借り物。

この天井絵が飾られる根本中堂の大きさ的には、「そごう美術館」での展示の方がより近いです、とのこと。

この天井絵の鑑賞ガイドも情報盛りだくさん。

https://www.sogo-seibu.jp/common/museum/archives/24/tezukayuji/pdf/guide.pdf

手塚氏の他の日本画は、
四季の庭
荘厳なる景色
光とともに
の3章のテーマで紹介されていた。作品の一部を、手塚氏の制作順に。

「静刻」1986(昭和61)年(33歳)
「終宴」1994(平成6)年(41歳)第49回春の院展 セレネ美術館蔵
海音うみおと」1997(平成9)年(44歳)
六曲一双の大画面。激しい海の音が聞こえてきそうな、迫力ある作品だった。
麗糸れいし」1999(平成11)年(46歳)
「麗糸」部分
蜘蛛の糸、正対すると見えなかったが、斜めから見ると、銀色に浮かび上がった。


「花夜」2013(平成25)年(60歳)第68回春の院展
雪韻せついん」2016(平成28)年(63歳)
澄音すみね」2018(平成30)年(65歳)
きざし」2019(平成31)年(66歳)
花守はなもり」2022(令和4)年(69歳)第77回春の院展
月葉つきは」2023(令和5)年(70歳)

70歳代とは思えない、溌溂とした方だった。
奥村土牛や小倉遊亀くらい長生きして、これからも作品をたくさん発表して欲しい。

ぐるっとパス2024で3周目、行ったよ
1. 山種美術館 割引額200円(割引前の金額1,400円)
2. 出光美術館 割引額200円(割引前の金額1,200円)
3. 帆船日本丸/横浜みなと博物館 800円
4. 渋谷区立松濤美術館 1,000円
5. そごう美術館 1,400円

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