収録中の初体験
皆さんこんにちは。春爛漫の週末の朝ですが、えんじろうは土日も朝から新たなCD「3つのオカリナがうたう 名曲の宝箱 第2弾」の製作をがんばっています。
今は収録作業の真っ最中!12曲×3パートなので、36テイクを少しずつ収録しているのですが、そんな昨日に事件は起こりました。
今回はそんなえんじろうが生まれて初めて味わった「思考と魂のぶつかり合い」のような体験談です。
きっかけは痛恨のミス
こちらのオカリナは息が結構いるのですが、それでかなりの高音やロングトーンが入ってくるパートを録音していたときのこと。
何度も失敗を繰り返し、ようやく2パートの旋律が染み込んできた頃、それは起こったのです。
本当に、本当に後一歩で成功するという最後のゆっくりになりながら1小節半伸ばす音がありました。それを1小節の後、残りの半小節を吹き直してしまうという致命的なミスをしてしまったのです。
大抵のミスには原因がありますが、今回のミスり方ほど意味不明なものはありませんでした。だってそのまま伸ばせばもう完成だったものを、わざわざ音を2つに分けるという手間をかけるような間違え方をしているのです。
しかしあれこれ考えているときに、ふと思い出したのです。
引っかかること
終了間際にふっとよぎった不安がありました。あのときの音、少しずれていなかったか?と、演奏中に振り返った瞬間があったのです。そしてその振り返った瞬間の音程にも自信が持てなくなってしまったのです。振り返った瞬間の音程、大丈夫だっただろうか?・・・と。
大抵は問題なし
録音は何度も経験していますが、たいていこういう場合は後で聴いても問題は発生していません。おそらく純粋に聴いた場合ならば、自分であってもオーケーを出す内容になっていることが大半なのです。
でも僕はその収録の瞬間を体験してしまっているのです。そこで迷いや不安が生じたことを覚えているわけですね。
そして取り返しのつかないミスを犯したというわけです。
意図的なミス
はっとしたのです。こんな間違えようのない場所で変なミスをしたのは、わざとなのではないかと。
最後のミスが無ければ迷いや不安の瞬間はあったけれど、それが聴手に伝わらないものだという自信もあったのです。でもそうしたくなかった。
犯人は僕の魂
最後の決定的ミスをする直前の状態。その時こんな事が起こっていたのです。
聴手にどう思われるかの話なんてしているのではない。えんじろうの魂が迷いが乗っかったこのテイクを良しとすることが嫌だと言っている。でも面白いことに脳からくる思考は「大丈夫だ、問題ない。このまま完成とすれば良い」と言っていたのです。
思考と魂の協議の果
そして最終的に魂の「このまま完成なんて嫌だー!」という叫びが、思考結果をド返し。思考側も「仕方ねえなあ」とそれを認めてくれて、あえてもうやり直すしかない致命的なミスを起こしてやり直せる状況を作りあげた。こうして「このテイクをやり直したい」と願った魂が願いを叶えたのでした、めでたしめでたし(なの?)
そんな物語が頭に浮かび、同時に今回の現象がとても納得できました。
意図的でないミス
その後気を取り直してまた収録を続けていくと、これまた間もなく終了となる最後の1音を決めようと吹いた瞬間「パチンッ」という音が!
防音室の壁からラップ現象というやつでしょうか?思い切り最後の音に被せられてしまい、確認するとばっちり収録されているじゃありませんか。
悲しい・・・。
これまでもよくあることですが、自然現象はどうにもなりませんね。頑張ってまた録音し直しました。
ありのままを込める
様々な出来事が起こる収録の時間ですが、それらも自分の生きた土産ですから。このマイクのように、録音にもありのままが入ってしまうと思っています。事実だけでなく行程や感情なんかも。だから精一杯自分のやりたい純粋な音だけになった状態を収録したいと思いながら進めるようにしています。
どうぞ完成を楽しみにしていて下さい。
その翌日
昨日の大敗の原因が判明しました。
どうもえんじろうは深層心理的なやつで、自分が練り上げた編曲に対して少々納得言っていない部分があったようなのです。今朝集中力がある時間に元の楽譜を開いて修正を試みたら、更に気持ちの良いものになってきました。
これならば収録もうまくいくことでしょう。こうなると昨日のミスもラップ現象すらも「この編曲のまま完成させるな」という、深層心理やオカリナや防音室など道具たちからのメッセージだったと思えてきます。
というわけで、結局昨日の収録行程は全てご破産!時間を遡って新たに生まれたフレーズに心を込め直しますね。ほんの少しの変化なのですが、それだけで心の晴れやかさに大きく響く。それは自分の演奏にも大きく影響するということを学びました。
おまけ
ところでアニメなんかで出てくる「考えるより先に体が動いちゃった」とか言うセリフなんかも、もしかしたらこういう現象を指しているのでしょうか?