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「時」を表す前置詞の使い分け

先日、ある人のホームページの記事を、2003年7月15日にプリントアウトしていたものを、たまたま再発見。とても良い記事だったので、今も存在するのであれば、リンクを貼ろうと思って検索したら、今では検索結果にあがってこなかった。よく整理されていて、非常に有益な記事だったので、惜しまれる。ビジネス文書に関することとして記事は書かれているが、その内容は英文契約の作成の場合にも当てはまる。一覧表も有益。
そこで、誠に僭越、かつ、申し訳ありませんが、その記事の主な内容を、掲載します。著作権は、下記のサイトの記事を書かれた方(プリントアウトしたものに氏名の記載が残っていませんでした)にありますので、著作権者の方のご理解・ご容赦をお願い申し上げます。(太字の強調は、このnoteの著者が付けました。)原著作権者の方がいらっしゃれば(そして、この記載を読んでいただいて)、同じ記事をぜひ再度掲載していただきたいです。よろしくお願いします。
http://someya1.hp.infoseek.co.jp/G-timePreposition.html


前書き

ビジネス文書では「…日まで(に)」とか「…日から」あるいは「…以前・以降」のように期限(終期または始期)を指定する内容の文章が頻繁に出てくる。英語ではこのような「時」を表すのに主としてby, until, before, after, from, toなどの前置詞を使うが、たとえばby April 1やfrom April 1といった場合、その当日を含むのかどうかはかならずしも明確ではなく、人によって解釈が違うことがある。以下、最もよく使われ、かつ解釈が分かれることの多い前記6つの前置詞について、それぞれの一般的な解釈と使用上の注意点をまとめておく。

1. by (…までに)

 一般に、ある期間の終期を表現するのに用い、byで指定された日付はその期間中に含まれる。たとえばThe Project must be completed by April 1.では4月1日当日を含んでその終了時点までという意味になる。by 5:00 p.m.のように特定の時刻を指定した場合も同じで、この場合は原則として5時(の時報)きっかりを含み、5時1分およびそれ以降は(5時台であっても)含まないものと解釈する。いずれもnot later thanに置き換え可能である。なお、記載日時を含まないことを明確にするためには後述のbeforeを使ってbefore April 1およびbefore 5:00 p.m.とする。

2. until (=till) (…まで)

 untilは現在からある特定の日時までの時間の継続を表す語で、たとえば1 will be here until 5:00 p.m.(ここに5時までいます)のような使い方をする。これに対して、I will be there by 5:00 p.m.は「そこに5時までにはいきます」という意味になる。両者は使い方がまったく違うので注意が必要である。
 until April 1やuntil 5:00 p.m.がそれぞれの日時を含むかどうかはネイティブスピーカーの間でも解釈がまちまちであるが、一般にはuntil April 1は4月1日当日の終了時点まで含み、until 5:00 p.m.は5:00 p.m.ちょうどの時点を含むものと解釈する(貿易取引に関する一般的ルールを定めた『荷為替信用状に関する統一規則及び慣行』(Unform Customs and Practice for Documentary Credits)でも、untilおよびtillで表示された日時はその期限内に含まれるものと規定している)。ただし、前述のとおり、人によって解釈が異なる可能性があるため、重要な案件については、しばしばuntil and including April 1またはuntil but not including April 1のようにして、当該の日時を含むか含まないかを明示的に表記する。なお、untilが否定文およびこれに準じた文脈で使われた場合は、表記された日時は否定の範囲に含まれない。たとえば、She didn't arrive until Monday.ではMondayは否定されず、したがってこの分はShe arrived on Monday.という意味になる。

3. after (…以降)

 具体的な日時を記載せずに、ある事実が発生する時期を示すケース(たとえばafter receipt of the letter)では、その事実が発生した時点が始期となる。一方、afterの後に具体的な日付が明記されているケース(たとえばafter April 1)では記載された当日を含まず、その翌日が始期となる。したがって、「その当日を含んでそれ以降」という場合はon and after April 1のように表記する。after 5:00 p.m.のように特定の時間が指定されている場合は「5時(の時報)きっかりの時点を除いてそれ以降」ということになる。5時きっかりを含んでそれ以降という場合は at and after 5:00 p.m.とする。なお、on dateはその当日について、at timeは原則としてその時点について言及しているものと解釈する。

4. before (…以前)

 期限を示すために用いた場合、記載当日は含まれない。したがって、The Project must be completed before April 1.といった場合4月1日は含まれず、その前日の3月31日(の終了時)が期限ということになる。したがって、「その当日を含んでそれ以前」という場合on or before April 1のように表記する。before 5.00 p.m.は「4時59分台までに」という意味になる。これも、5時(の時報)きっかりの時点を含んでそれ以前という場合at or before 5:00 p.m.とする。

5. from/to (…から/…まで)

 fromはある期間の始期を、toは終期を表し、原則としてそれぞれ記載された当日を含む。たとえばThe conference will be held from April 1 to April 5.といった場合、4月1日と5日の両日を含むものと解釈する。ただし、現実には当事者によって解釈が異なる場合もある。このため、契約書などでは誤解を防ぐためにfrom April 1 to April 5 (both dates inclusive [or exclusive])やfrom April 1 (inclusive) to April 5 (exclusive)のような念入りな表現をしばしば使う。このようにしておけば、記載当日を含む(inclusive)のか、含まない(exclusive)のか明瞭になる。このほか、記載当日を含むことを明確にするためにon and after April 1のような表現を使うことがある。なお、米国ではtoの代わりにthrough(またはthruと略記)を使ってMonday through Fridayのようにいうことがある。throughは指定された日時を(その終了時点まで)含むことが明らかであるため、toに比べてより明確な表現になる。

時を表す前置詞の使い分け一覧図

 以下、前述の6つの前置詞を含む主要前置詞(句)について、それぞれの使い分けを一覧表にして示しておく。この一覧表は、April 1を起点として、たとえばby April 1やbefore April 1といった場合に、それぞれApril 1当日を含むかどうかを示したものである(「含む」部分を黄色ハイライトで示す)。

時を表す前置詞(句)の使い分け一覧

1)     Throughは主として米語用法。e.g., We are open Monday through Friday.
2)     米国用法ではas ofはonの意味のほか、しばしばbeginning on; on and after; fromの意味にも使う。
3)     このas atは特殊な表現で、as at (the closing [time] of)の意味。ただし、通常はas ofを使う。e.g., The following is the balance of your account as at April 1, 19 … 「19…年4月1日付けの貴殿の口座残高は以下のとおり」。
4)     between A and Bは原則としてそれぞれ指定された日時や年月日を含む。ただし、あいまいになる場合があるのでthree days between March 31 and April 2やfive years between 1990 and 1994のように、期間を示す具体的な数字を併記して使うのが普通。


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