見出し画像

この若手劇団を見よ!2024@東京圏

お久しぶりです。今年なんとクロスレビューは一本しか上げられなかった演劇クロスレビューです。サボっていたわけでなくスケジュールが合わないんです。という訳でレビュワーが見た若手劇団最前線をお届けします。
去年の↓

今年の(今年も?)レビュワーはヤバイ芝居公社流体力学です。どうぞ。

ヤバイ芝居(観劇者)

正調演劇クロスレビューは1本もできず最後の企画物すら大晦日の濃厚接触業中に殴り書く演劇クロスレビュー。やめちまえ。2025年こそなんどうにかしたいしたいヤバイ芝居。

今年初めて観た若い劇団って劇団ドラハ劇団トマソンの旗揚げくらい?2劇団とも旗揚げらしく荒々しくやりたいことをやっていた。旗揚げなんてそんなのでいいのだ。面白かったかと言われると好み的にはあれでしたが笑。ドラハは俳優集団なのがこれからどうなるか楽しそうだしトマソンは主宰の新井プリュレが戯曲同人誌を出そうと画策していたりするので引き続き注目していきたい。

来年観たいのはもう情報収集は演劇クロスレビューのチームメイトたちが凄すぎるのでこのnoteを読んでから決めたい。他人任せ過ぎるだろ。あ、東京学生演劇祭はまだ行ったことないので行きたい。はねるつみきん坊の国になんと言っても息切れカメレオンだ。旗揚げを観に行ったにその後ついぞ観に行けていない。俺は高校演劇を観ない人なのに主宰の田塊トシタカは高校生の頃から知っている。面白そうな人って何かしら目につく。劇団ヨゴトの北條風知もそうだった。今年のせいこまんじゅう祭は面白かったなあ。それに参加していた現在1番観たい俳優・佐藤正宗が主宰するアヲォートは第2回公演があるので絶対に観たい。てかクロスレビュー候補に上げたい。あ、そして予定通りなら宮元響輝(COM)が上京してくるので活動を始めたら駆けつけたい。『おぼろげサナトリウム』YouTubeで観られるのでよろしくどうぞ。結構、挙げられたな。面白そうな人って何かしら目につく。皆様、よいお年を。来年も演劇クロスレビューをよろしく頼むぜ

公社流体力学(美少女至上主義者)

2024年も新しい若手劇団が台頭してきました。

まずは毎年恒例若手演劇人四天王。これまでは20年代以降の劇団から選出してきましたが、新陳代謝のため5年未満の劇団選出に変更。ということで現名義は2021からだけど改名前含めると2020年結成となる四天王筆頭TeXi’sが卒業。という訳で新四天王がこう


劇団ヅッカ(2022-)
キルハトッテ(2022-)
B子(2021-)
ド・パールシム(2023-)

以前の記事で言及した紙魚宮森みどりを入れたかったが、予定が合わず今年は見れなかったので入れられず。(流石に今年一回も見ていない人をいれる訳にはいかないので)
ということで入れたのが ド・パールシムは、劇団として旗揚げされたがユニットとして再出発。『斜陽族』は人類滅亡が噂される世界で、自分の浮気が原因でAV撮影に巻き込まれる話。見事に登場人物全員の悪いところだけを引き出す、とんでもなく厭な話。・・・なのに、演出テンポや話の進め方が上手いので面白く見れてしまう。戯曲が上手い。

惜しくも四天王から外れた中で今年まず語りたいのが
渋谷/もしくは/私/たち/は/何も知らない

岡田利規、笠木泉、山田由梨が講師のワークショップで出会った中高生たちだけによって作られた劇団。王子小劇場『見本市』に選出され、短編「渋谷/もしくは/私/たち/は/何も知らないの外縁」を上演。その後眼科画廊で本公演『銀河から車窓』を上演。どちらも講師の流れを感じる現代口語演劇なのだが、幻想的な断片と息苦しい現実を行き来する作風は、すでに完成度高い。渋谷の公演はどちらも会場(王子小劇場、渋谷眼科画廊)の構造を生かした見事な空間演出でこのレベルの中高生がいるのは凄いと。
そして同じくらい凄い高校生がCOMの作・演出担当、宮元響輝。
この団体は、秩父の高校生と地域おこし協力隊のメンバーが演劇を作る2人組ユニット。旗揚げ公演『おぼろげサナトリウム』無料公開している映像を見たのだが、サブカルチャーを引用しながらどうしようもできなかった現実を描く。
高校演劇部ではなく、演劇ユニットを旗揚げし高クオリティの二団体。

話は戻って、王子小劇場『見本市』で素晴らしかったのは他にもいて。
演劇ユニットタイダン
「引越し!」は、ハイテンポに描くコミカルな演劇。とある女性が新天地で職場に友人ができて彼女たちと過ごす日々を生演奏を交えてまさに駆け抜ける。
三点倒立
「なみだ」はある一夜を回想する現代口語演劇だが、語り展の時空間が乱れていく演劇ならではの面白さ。その後見た本公演『すべてはポーズでしかない』は、空気感を主軸に置いた演劇で間接照明空間で描かれる何もない日常を生きる、些細で切実な演劇。現代口語マナーに乗っ取りながら質感の違う2作品。

今年は、以前から見たかった劇団をいくつか見れた。
南極ゴジラ
はようやく本公演を見れたが圧巻だった。『(あたらしい)ジュラシックパーク』は壮大な物語を充実の舞台美術に連弩の高い団体芸、そしてユーモラスな戯曲で上演するSFエンターテイメント。

老若男女未来学園
は、『球(kyu)』「一度に全部は無理だとしても」『アワ・マクベス』を見たがどれも映像やロボットなどテクノロジー・メディアアートを利用しながら人間ドラマを立ち上げる。特に『球』は、大学時代の悔恨をユーモラスに描く。特別な何かが起こるわけではないが誰にでもあった時代をちょっとシュールな味わいで。

今年の話題と言えば、松森モヘー作品の出演者が次々と自分の団体を立ち上げ独立したことで
悦楽歌謡シアター劇団ドラハフムひなたごっこ、と一気に4団体。俳優主体なので、作・演出によって作風が変わるのだが全員松森モヘー作品で旗揚げしたので今のところモヘーチルドレン。その中では、悦楽歌謡シアターは怪女優2人組で痩身とぽってりした体格の対照的な二人組だが演技台はどちらも別方向でインパクトあり。最もモヘーイズムの二人組濃い。

何故か気になる団体は早稲田出身が多いのだが
鶴の一声×ロ上派 『ロ上のU霊』
は早稲田の学生による作品だが、田舎のホテルで滞在する男の話だが、白昼夢の中の銃が現実で現れ人を殺してしまうなど超現実的な描写がありスローシネマ的で魅力的。
早大劇研企画公演
『盤獻錯節プロローグ』は佐久山レヱト作・演出による作品。アングラベースに身が錯綜し、空間芸術的面白さなのだが神話的結末に至る筋道が素晴らしい。

テーマでくくって書いてみたがそれに括れない団体は
燦燦たる午餐
は、劇作家、演出家、美術家によるユニット。『凌霄花の家』は、青年座仕込みの正統派に小劇場マナーのお遊びを混ぜ込み、善意だけで舗装された物語が破綻していく芸術家という生き方の物語。完成度が高く安定した面白さだったが、その前の公演『27丁目の残響』(未見)が以前この記事で取り上げた四日目四回目の旦妃奈乃が演出。割と暴れん坊な演出家を呼ぶあたりただお行儀がいいだけの団体じゃないのかも。
アーの人&the Amazing Actors
『鰯のアタマ』は、、名前のない演劇祭で観たがよくできたシチュエーションコメディから故郷に対する複雑な感情を描くよくできた索引。
『流れる涙は嫌でも止めない』
は、作者が上にいるのでここではあまり語らずに。演劇愛に溢れた作品とだけ。
演劇団体のびる
『針の目』は、子供時代に自分たちを支配していた塾長のことを回想する女性二人芝居。最低な塾の話で子供時代の苦しみを描くドラマ、と思ってたら何かがおかしい。少しづつ、今日二人が会っている理由が明かされ気づいた時には漆黒の地獄。イヤミス的心理サスペンスで、その迫力はホラーと評する人もいるほど。ただ、露悪的なのではなく大人の傲慢さによって歪んだ子供を描く切実なドラマだった。
最後は、今年唯一クロスレビュー出来たシーリア企画
有名漫画家がメンバーにいるので割と商業的かなと思ったら、いやいやとんでもない。『メメント・マリー』はとある女性の心象風景を描いた作品なのだが演劇ならではのギミック満載で飽きることない。ちょっとしたお遊びだと思ったら物語のオチに大きく関わってきて背負い投げでぶっ飛ばされた。

では、来年見たい演劇はどこか。
ドライブイン札比内は、日常にちょっとしたSFを合言葉に、不条理会話劇を上演する劇団。第14回せんがわ劇場演劇コンクールで一次審査を通過した実力派。
OPENSITEに選出された現代サーカス集団RUTeN「砂上の楼閣 -Re.creation」は、アートパフォーマンスが強い企画で選ばれた現代サーカスとは一体。
東京学生演劇祭の出場団体も見たい。
現像 は、松尾祐樹によるホラー演劇のユニット。今年上演した作品は一軒家を舞台に失踪した姉の残した映像をめぐるホラーでJホラー的な重苦しさがありそう。
消えた王国は、女優、木原 春菜によるユニットでリチャード三世を3人芝居で上演した作品が気になっていたが見れず。
都路拓未(想像余暇研究会)は、遊びに着目したパフォーマー。


来年こそは毎月クロスレビューをしたい。
演劇クロスレビューは随時メンバー募集中です。一銭にもなりませんが楽しいです。

ヤバイ芝居
(1971生。ヤバいくらいに演劇を観ない観劇アカウント。since2018秋。Twitterでヤバイ芝居たちを応援していたら九龍ジョーに指名されて『Didion 03 演劇は面白い』に寄稿したのが、人生唯一のスマッシュヒット。
noteを始める。)

公社流体力学
(2015年旗揚げの演劇ユニットであり主宰の名前でもある。美少女至上主義啓蒙公演を行い、美少女様の強さを知らしめる活動をしている。やってることが演劇かどうかは知らんが10代目せんがわ劇場演劇コンクールグランプリ。
note


いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集