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連載12・気(空気)の真髄

46億年前、
誕生したばかりの地球の大気は
高温・高圧で、
水蒸気、二酸化炭素、そして窒素で満ちていました。

その後、数億年かけて地表が冷えて、
水蒸気が雨になって海を作り出して
その海の中に二酸化炭素が溶け込んで
大気はほとんど窒素になりました。

35億年前には生命が誕生しましたが
当時の大気中には酸素はほとんど存在してなくて

その頃の生物に取って酸素は必要なく、
むしろ猛毒でした。

それが27億年前、
太陽の光エネルギーを利用して
光合成を行うラン藻が海中に誕生し、
酸素が生成されるようになると、
大気に酸素が増えはじめて

いずれ環境の変化に伴って
酸素を必要とする動物がこの世に現れ、
陸上に進出して多様化し

酸素を排出する植物も増えて
大気は数十億年かけて、
窒素と酸素が主になる現在の組成になりました。

猛毒と共存する道を選ぶことで
生物は目まぐるしい進化をして、
現在では酸素を必要としない生物の方が
珍しいですし

私達はたった5分間酸素がなければ
死んでしまいます。

5分に満たなくても
脳に酸素が届かなければ
修復不可能な脳障害を伴ってしまうので
比べ物にならないくらい
呼吸は大切です。

そして呼吸の深さ(浅さ)は
健康のバロメーターになります。

生き物は怖れや不安を感じると
現状対処するために
アドレナリンやノルアドレナリンなどの
ストレスホルモンが分泌されて
無理しても身体を動かせるスイッチが入ります。

そうすると浅い呼吸で回数を上げることで
心拍数を増やし、血の巡りを良くして
集中力や注意力も高まります。

そうすると目の前の恐怖や不安に対して、
体と脳が戦闘モードに切り替わり、
立ち向かうことができるようになります。

ただし、この身体能力を上げるシステムは
例えば、
シマウマがライオンから襲われた時に
逃げるために備えられた一時的な対処をするためのものです。

シマウマは一旦危険を逃れたら
まるで喉元過ぎれば熱さ忘れるかのように、
ライオンから追いかけられていた恐怖なんて忘れて
体は通常運転に戻るのですが

現代の人間社会の中では
毎日、常にストレスにさらされているので
本来は長期的にスイッチがオンになっているべきではない
身体機能アップシステムが稼働し続けて

そのうちに内部がオーバーワークして
内側からボロボロになって
精神的には鬱やパニック、
ひどくなると過労死にたどり着きます。

私の生徒さんの整体師さんに聞いたお話ですが
クライエントさんの中には鬱の方が多いそうです。

ストレスや不安を感じると
身体は無意識に強くあろうとして
鎧のように固くしようと筋肉を収縮するので、
肺も圧迫されて呼吸が浅くなってしまいます。

だから不安やストレスに苦しむ人は、
深呼吸を学ぶことも大切で
適切な酸素と二酸化炭素のバランスをとることで
自分を労われるようになる、と仰ってました。

だからと言って酸素はあればあるほど
良いというわけでもなく

酸素の毒素は今も健在で
いまだにあらゆるものを酸化させます。

切ったリンゴは茶色くなりますし、
鉄や銅は錆びついてボロボロになります。

同じように
人の体の中でも多過ぎる酸素は
活性酸素に変わり、
老化と病を引き起こします。

体内で酸素が活性酸素に変化する
要因はストレスです。

つまり、ストレスは身体を錆びさせます。

猛毒である酸素との付き合いは
一筋縄ではいかない、ということでしょうか。

空気の出し入れをコントロールすることは
自分コントロールすることなので
ヨガでは呼吸をコントロールすることが
とても重要です。

また、ヨガでは「気」のことを
生命エネルギーの「プラーナ」と呼ぶので
それが呼吸と関わりがあることは
偶然ではないのでしょう。

ヨガで
体内エネルギーを
意図と知性でコントロールできるように

空気のあり方は
私達、人が持つ知性の在り方とシンクロします。

空気は見ることも掴むこともできないけれど、
軽やかに上下左右に拡散して、
どんな空間にでも必ず入り込みます。

自由気ままに方向チェンジをする
あっちこっちいく空気の在り方は

片方で文明や教養などの素晴らしいものになるけれど、
悪用すると戦争や犯罪や詐欺といったものになる
知性との共通点です。

日本語で「風の噂」という表現がありますよね。
このフレーズは実に言い得て妙です。

風という空気の動きは音や香りを運びます。
その風が噂という言葉と繋がると、
情報が運ばれるというイメージが瞬時に頭に浮かびます。

風が吹くことによって、
周囲に影響を及ぼすことは、
まるで情報が周囲に影響を及ぼしていくこととシンクロします。

あっちこっちに行く空気、
命の存続に欠かせないけれど猛毒である酸素、
良くも悪くもなる知性は

人生は選択次第ということを教えてくれます。

無味無臭で目には見えない空気が示唆するもは
明白性と透明性、そして正直さです。

そんな生き方ができるように
賢明な選択をして

自分の中に巡る「気」にも意識を向けて
空気の流れのようにどこへでもいって
なんでもできる自分を信じてくださいね。

*****

「四大元素思想」連載、続きます😃♪

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参考文献:
https://tenbou.nies.go.jp/learning/note/theme1_1.html

・「人類なら知っておきたい 地球の雑学」(KADOKAWA)雑学総研

・Why Zebras Don't Get Ulcers, Third Edition Paperback by Robert M. Sapolsky

・カシオピアかずえ
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