フランソワ・ポンポン展(佐倉市立美術館)
全国5会場巡回のフランソワ・ポンポン展、うちから一番近い、佐倉市立美術館の展覧会に行ってきた(京都、名古屋、館林は終了。佐倉の後は山梨県立美術館巡回)。展示品の多くが群馬県立館林美術館の収蔵品なので、館林で見た方が楽しそうと思ったが、かなり遠いので…。
わたしが初めてフランソワ・ポンポンの作品を認識したのは、2012年のメトロポリタン美術館展だった。小ぶりのシロクマが来日していて、それまでに見たことのない造形のシロクマ像に心を打ち抜かれた。
パリのオルセー美術館にはもっと大きいシロクマ像があるらしいが、オルセーに行ったときに展示されていなかったのだろうか? 見ていたら記憶に残らない筈がないインパクト。
オーギュスト・ロダンの工房に入り、大理石の下彫りの仕事などに従事。多くの彫刻家の下彫りの仕事を請け負うが、サロンから離れていくロダンとは違い、ポンポンはサロンへの出展を続ける。この頃は、人物像を中心に手掛ける。20世紀に入った頃から、徐々に動物彫刻を手掛けるようになり、鋳造所とも契約を結ぶように。第1次世界大戦時に一旦生活苦から彫刻を手掛けられなくなった時期があったが、戦後、あらためて動物彫刻家として人気を博すようになる。日本でも作品が紹介されたりしたらしい。メトロポリタン美術館が小型大理石のシロクマ(わたしにとっての初ポンポン)を購入したのは1930年。1933年、レジオン・ド・ヌール勲章オフィシエを受章し、同年死去。
今回の展覧会には石膏、テラコッタ、大理石、ブロンズ、石像、磁器、銀合金などの彫刻と、スケッチ類で88点位の作品が展示されている。その大半が動物や鳥の彫刻で、滑らかな曲線で単純化されたフォルムがどれもその動物の特徴を捉えていて、強い印象を与える。また、どの彫刻も目力が強く(動物だけでなく人物像も)、彫刻を真正面から見ると、眼力に射すくめられるような思いがする。
大きい作品はペリカンやカンムリヅル。あとは腕で抱えて運べそうな、小ぶりの作品が多いが、逆に、その位の大きさだと、家の中にでも飾れそうな感じ。家庭で飾っても違和感のない、ゆるやかなフォルムの動物たち。
シロクマも勿論可愛かったし、ブロンズと石膏で同じ形を3作並べたヒグマなども印象的。ヒョウやトラのような動物も、緊張感をはらんだポーズがゆるやかなラインで再現されているし、石の中に埋もれるように刻まれた授乳中のブタとか、モグラとかも、これまでの彫刻作品で見たことのない印象的なモチーフ。ハト、イヌ、カバ、バイソン、アヒル、オランウータン。動物園に通い、スケッチしたり、その場で造形を試みたりもしたらしい。
今回の展示作品の約3分の2が群馬県立館林美術館の収蔵品。館林には、ポンポンのアトリエも再現されており、その中には死後鋳造品であるため、公式にポンポン作品とは認められていない作品も飾られている。前に一度だけ行ったことがあるが、また機会を見て訪れてみたい美術館である。
その他の展示品は、パリのディジョン美術館とソーリューのフランソワ・ポンポン美術館の収蔵品が多い。屋外に展示された大型ブロンズ像などもあるようなので、フランスでも見てみたい。というか、本当は、触れてみたくなる、やわらかい風合い。展示作品に触れられるような展覧会があるといいなぁ、とか色々な欲望を掻き立てる美術展でもあった。
ポンポン展公式
展覧会に合わせて刊行されたはずなのに今日は何故かミュージアムショップで見かけなかったポンポンの絵本。
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