2019年:国立西洋美術館開館60周年記念 松方コレクション展
過去の展覧会の観覧記録を再掲。2019年9月16日の記録。
国立西洋美術館に来たら、チケット買う人が大行列していて焦ったが(わたしは前売り持ってた)、中はそこまでの混雑ではなく、とはいえそこそこの人垣をかき分け、キャプション読みながらの観覧に。松方コレクションって要するに西美の常設展示じゃん、と思って来たが、松方幸次郎が川崎造船の社長として大儲けした勢いで、私設美術館を作る目的で大量の絵画を買い付け、大恐慌で会社の業績が傾いて社長職を辞し、コレクションの一部を売却し(日本で売却した絵画は、他社のコレクションとして今も日本全国で展示されている)一部はヨーロッパで売られ、ロンドンの倉庫にあった膨大なコレクションが火事で焼け、フランスにあったコレクションは第二次世界大戦中にフランス政府に接収され、戦後返還されるときも一部はフランス国家に召し上げられ、コレクションが膨らんだり縮んだりする様子が、展示で丁寧になぞられていた。そして、かつて松方コレクションに含まれていた多くの作品が、国内外から集められ、展示されている中に、お馴染みの西美の展示物が挟まれて飾られている。喪われた作品のことを思うと哀しいけれど、メセナという言葉が出来る前から、こんなに大規模なコレクションが形成されつつあったことに、改めて感嘆する。もうコレクションは完結し閉じたもののように思っていたが、未だに資料が集められ研究が続いているということを実感させてもくれる展覧会だった。
トップ画像のゴッホ(美術館入り口の看板の写真)は、フランス政府に返して貰えなかったもの。オルセーの収蔵品になってます。
#美術館 #美術展 #国立西洋美術館 #松方コレクション #松方幸次郎
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