即興詩 | ホワイトリリー | 20210716 | #フラグメント やがて日記、そして詩。07
あなたの部屋をでる
虫が鳴くようになった夜更けのにおい
ひとりになった心地
首にかけたままのヘッドフォン
もうすこし
虫の鳴くのをきいていようと
駅にむかう道すがら
街灯のならぶ坂道で立ち止まる
虫にはLED電球の光は見えないのだとか
他のいきものには見えない光があるということ
丘のうえから
あなたの部屋のあかりをみる
あれはたしかに
わたしには見える光
広がる街の明かり
ほの暗く佇む夜空にひかえめに瞬く星々の光も
たしかにわたしには見える
それが
見えない世界がもうひとつ
ここにはある
遠ざかっていく光
あなたの部屋は
一歩一歩小さくなっていく
見えないけれど
たしかにある世界
遠ざかるほどにかおる
ホワイトリリーの柔軟剤
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