明日の今日は元気になあれ
誕生日だった。
ドイツで迎える3度目の誕生日。
28歳から29歳、なんの感慨もない。
強いて言うなれば、ドイツでも、ロックダウン下でもお祝いしてくれる人がいること、相変わらず連絡をくれる人の多いこと、それらには驚いて、ありがたいなあと思う。
26歳で何も考えずに日本を出て、外国なんて全然好きじゃなかったのに一人でヨーロッパに来た。いろんなことがあって、毎日トラブルだらけで、今もそうだけど、助けてくれる人や手を取り合える仲間にも出会えた。時には頼りにされることだって、ある。
何も変わっていないつもりで時間は着実に過ぎている。1年前を振り返ると、あんな状態でよくやっていたなと思う。こんなことも知らずによく生きていた、とか。こんなことも出来なかったんだっけ、と驚いたり。こんなの一生できる気がしない、と思っていたはずなのに、いつの間にか当たり前にできるようになっていたり。だいたいドイツ語の話なんだけど。で、そんなのは誰だって時間とお金をかけたらできるようになるのだ。だから別に私はすごくないし、才能もないし、なんならただの親のすねかじりを勉強とか外国暮らしで誤魔化しているだけなのだけれど、それでも15年くらいぶりに「毎日なにかしら進んでいる」という実感が持てて非常によかった。とはいえこの冬も全くもって前向きではなく、例年通り1月中旬から一昨日くらいまで毎日吐き気がするほど生きるのが辛くて、起きているのがやっとだった。いや起きていられなくて寝転がる時間も長かった。そのくせ眠れなかったりもすれば集中も出来ず、全てに関するやる気がなく、毎日泣いていた。もともとこの時期は昔からダメで、初めて入院したのも2月の頭だった。加えてドイツの冬は暗い。北欧の人たちには鼻で笑われるかもしれないが、暗いのだ。朝は9時を過ぎないと空が色をつけない。その後も天井が全部落っこちてきたみたいな狭さがある。重たいのだ。光がなく、拓けていない。霧か靄かわからないが、そこらじゅうがぼんやりと霞んでいる。そうして暗いなと動けないでいるうち、15時ごろにまた空が落ちてくる。真っ暗になってのしかかってくる。ああ、今日も終わり。今日も何も出来なかった。死にたい。そんな風に思う。
それでも、まあ、なんとか今年も生き延びた、と思う。だいたいこの2−3日前から急に天気がよくなって、空が光ったりするのだ。眩しい!驚く。そうだ、太陽ってこういうのだよね。空って明るくなるんだった。空が明るいってこういう色だったよね。毎年忘れる。冬の脅威も、太陽の眩しさも、重要さも。そして誕生日さえ超えてしまえばまあなんとかなってきた。ここから急激に落ちることはだいたいない。空が光っているのだもの。すべてに諦めがつく。
だから、1週間前くらいから「あと少し、あと少しだから耐えてねわたし。大丈夫だよ」って、一人で大丈夫大丈夫してた。なんとか今日を迎えて、ああもう大丈夫、わたしは死のうとしたりなんかしない、って安堵できるはずだった。なんでだろう、できない。
恋人が横にいようが、お世話になった人たちからメッセージをもらおうが、昔からの友達と会話をしようが。まったく落ち着かない。生きてていいとか、これから楽しみとか、そんな風に思えないのは今に始まったことじゃなくて、そんな考え方できるようになるなんて期待もしてない。
けど、もう少しマシになる予定だったのに。この日を超えたらもう少し、いろんなことを「まあいっかしょうがない」って思えるはずだったのに。
そんな風に思えないのは、多分、というか絶対、
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